南部地域調査と宮内緑地公園鑑定料など約1億6千万円を増額補正(北本市令和元年度一般会計補正予算)

平成31年4月の市長・市議会議員選挙後はじめての定例会が6月10日から26日まで17日間の日程で開催されました。

今回市長から提出された議案は、条例の改正が7件、予算が2件、その他の議決が4件、報告が4件でした。

一般会計予算について、約1億6,192万円の増額補正が市長から提出されました。その主な内容は次のとおりです。

◆主な事業
民間保育所建設補助金 103,845千円
都市公園整備事業費(不動産鑑定委託料)485千円
南部地域整備経費(調査委託料) 20,000千円
幼保無償化に伴うシステム改修事業 14,922千円
介護保険特別会計繰出金 20,149千円

南部地域整備経費 調査委託料として2,000万円を計上

今回の補正予算の目玉は南部地域整備経費の2千万円です。三宮市長は市長選出馬に当たり配布したチラシで「すぐに取り組みます・10のお約束」の二番目に「南部新駅、圏央道・上尾道路沿線開発のあらゆる調査を実施」を掲げていました。これを早速実行に移した形です。

対象となる南部地域とは、新駅周辺や久保特定土地区画整理事業地に限らず、南大通線(北本郵便局の南側の大通り)よりも南側全体(北本市の南半分)を指すとの説明がありました。

建設経済常任委員会では「調査については、現在進めている企業誘致の内容を盛り込むとともに、経済の発展や開発の可能性を含めた調査をしようとするものです。圏央道2か所のインターチェンジの開設により人と物の流れが増加し、上尾道路の延伸計画により、南部地域の活性化が見込まれれば、新駅の立地可能性も調査できるものと考えています。」と執行部から説明がありました。

市長としては、とにかく迅速にということでまずは予算要求をしたのだと思いますが、どのような調査を行うのか、その中身がしっかりと検討・議論がなされてきた感じはありません。検討するための材料として調査をするのではなく、徹底的に市民と議論して方向性を決定しなければいけません。目的は調査でなく、調査を踏まえた方針の策定です。調査結果を元に市が方向性を勝手に決め、住民に説明するようなやり方では、市民の理解・納得を得られないでしょう。地域住民・地権者を含めた市民の皆さまの意見を丁寧に聴き、何度も協議し、方向性を決めることが重要と考えます。

同常任委員会では、調査結果を踏まえ市の方針を明確にしないのであれば、今後もまた同様の調査の繰り返しになることが懸念されるとして、予算執行に当たり次の3点を十分留意するよう求める附帯決議を工藤日出夫委員が提出しました(委員長を除く全委員が賛成、委員長はこれに加われない)。本会議では南部地域整備事業を含む一般会計補正予算を挙手全員で可決しました。

  1. 第五次北本市総合振興計画、北本市都市マスタープラン、北本市産業振興ビジョン等の外、過去の計画や調査結果を踏まえた調査を行うこと
  2. 調査の実施に当たっては、例えば「南部地域整備に関する調査会議」のような公募市民を含めた会議体を設置し、市民と協働で行うことも検討すること
  3. 調査結果を踏まえ、南部新駅、圏央道・上尾道路沿線開発、久保特定土地区画整理事業、デーノタメ遺跡等について、早急に市の方針を明確にすること

見切り発車の感は否めませんが、市長は南部地域の方向づけに着手しました。本来ならば、前市長が取り組まなければいけなかったことです。市と市民にとって痛みを伴う結果になるかもしれませんが、致命傷にしないためにも決断が必要です。これから市民参画の機会も用意されると思いますので、ぜひ関心を持ち、参加していただければと思います。

民間保育所建設補助金 1億384万5千円

今回の補正予算で、補正額が最も大きいのは民間保育所整備事業です。これは、幼児教育・保育の無償化により1、2才児について保育需要が増加し、受入枠の不足が予測されるため、民間が建設する保育所の建設費を補助するものです。これにより受入枠が19人増えるとのことです。予算額は1億384万5千円ですが財源のうち国庫補助金が9,230万7千円で、市の負担は1,153万8千円です(負担割合は国8/12、市1/12、事業者3/12)。

介護保険特別会計繰出金 2,014万9千円

次に補正額が大きいのは、介護保険特別会計繰出金2,014万9千円です。財源は、国負担金9,672万円、県負担金4,836万円、市一般財源564万1千円です。消費税の税率引上げに伴い、税率引上げ分を原資として、低所得者の介護保険料を軽減する措置が講じられたものです。

都市公園整備事業費(不動産鑑定委託料) 48万5千円

宮内緑地公園を公有地化するための不動産鑑定委託料48万5千円も計上されました。宮内緑地公園の公有地化は平成27年第1回定例会に請願が提出され、採択されたものの、公有地化が進まず、平成31年第1回定例会に改めて請願が提出(採択)された経緯があります。不動産鑑定の後、次の定例会には用地取得費に係る一般会計予算の増額補正が提出される見込みです。