市政懇話会 vol.1(2020.1.20)

2020年1月20日に谷足会館(西19自治会館)において第1回市政懇話会を開催しました。平日午前の開催ということで時間に都合のつかなかった方も多かったと思いますので、その概要を報告します。

今回は初めての懇話会でしたので、市が進めている施策や抱えている課題について説明しました。

当日配布資料はこちら 20200120 市政懇話会001.pdf

第五次北本市総合振興計画に基づく市政運営

はじめに、北本市がどういうまちづくりを目指しているのか、何を根拠に政策を進めているのか説明する。
第五次北本市総合振興計画は、市の最上位の計画。
北本市自治基本条例第11条第2項には、「市長等は、総合計画に基づく市政運営を行わなければならない。」と規定されている。
新市長でも、前市長が策定した計画に基づいて市政運営を行わなければならない。
基本理念は「市民との協働による持続可能なまちづくり」。
将来都市像は「緑にかこまれた健康な文化都市~市民一人ひとりが輝くまち 北本~」。これが大きな方向性。
具体的な政策は、政策は1~7まである。
政策1は、子育て・教育関連。政策2は、医療・福祉。政策3は市民参加・協働。政策4は、安心・安全なまちづくり。政策5は産業振興。政策6は行財政運営。政策7は人口減少に対応するためのリーディングプロジェクト。
各施策で目標数値を設定し、進捗管理を行っている。

第五次北本市総合振興計画(概要版)表

北本市の課題

総合振興計画の概要版にも将来人口の推計と目標が記載されている。
推計では令和2年度末の人口が65,023人、令和7年度末の人口が61,265人。
これを、目標としては令和2年度末が66,000人にするとしているが、現在の人口はすでに66,200人。
桶川市や鴻巣市と比べても人口減少は著しく、食い止めるのは難しい。
そこで、一つ目の課題は人口減少への対応ということになる。
人口減少の何が問題か?
一つは、税収が減るということ。北本市は市民税の割合が高い。人口減少は税収減に直結する。
高齢化により社会保障費の増大が予想される。
だから、収入を確保しつつ、支出を減らす必要がある。

(1)どうやって収入を確保するか

ア シティプロモーションとリーディングプロジェクト

昨年3月にシティプロモーション推進方針が策定された。
シティプロモーションとは「本市の魅力の創造、 磨き上げを行い、市内外へ戦略的にPRすることで、まちの知名度とイメージの向上を図り、将来にわたって活力を維持していくための取組」。
ターゲットを20歳代~40歳代前半に絞り込み、広報やイベントを通じて、北本市の魅力を知ってもらい、住み続けたい、住みたいと、応援されるまちづくりを目指している。
昨年9月に開催されたマルシェ「みどりといち」には市外から多くの若い方が来ていた。また、現在、桜国屋を改修中。ここに観光の拠点を作る計画になっている。
今、観光協会が非常に一生懸命に取り組んでいるので、暖かく見守っていただきたい。
こうしたプロモーション(宣伝)とともに、0歳児おむつ無料化、ベビーベッドの無料貸し出し、子ども医療費対象拡大(高校生まで)など、具体的な施策を打っている。
給食費の無償化は断念したが、小中学校自校給食方式というのは珍しい(県内13市だけ)。こうしたこともセールスポイントになる。
北本市の場合は開発余地が限られていることから、現状ではソフト事業を中心にやっている。

イ 税以外の収入

北本市は、ふるさと納税による収入が多い。平成30年度は1億6千万円。控除額は6,500万円。差引で9,500万円のプラス、県内5位。
返礼品の銀座英國屋のスーツの仕立券が好評。
ふるさと納税制度自体は、ただちに廃止すべきものと考えているが、ルールとしてある以上は、有効に活用せざるを得ない。
使用料・手数料の見直しについて、今年4月から住民票の写し150円から300円に30年ぶりに値上げなど行う。
昨年10月に使用料・手数料の適正化に関する基本方針を策定。手数料は、実費相当額。使用料は、施設の性質に応じていただくこととした。

ウ 増税

市の取組ではないが、消費税が10%に引き上げられたことに伴い、地方消費税も増え、市への配分額が増える。
平成24年度に都市計画税が0.25%から0.20%に減税されたままになっているが、これにより約1億円の減収。このままでよいのかどうか、議論が必要と考えている。

(2)どうやって支出を減らすか

ア 公共施設マネジメント

人口減少に合わせて公共施設を減らしていく。コストを減らすことが重要。人口減少そのものよりも、それに合わせてコストを減らせないことが問題。
平成29年度に今後40年で公共施設を半減させる方針を定め、現在具体的な削減策に関する計画を策定している。
体育センターについては廃止して、中学校に機能移転するなど。
この計画について、1月15日からパブリックコメントを開始した(2月14日まで)。ぜひ意見を出していただきたい。3月末に市民説明会も予定されている。

イ 大規模プロジェクト

久保特定土地区画整理事業については、デーノタメ遺跡をどうするか(記録保存の上、開発するのか、遺跡として残すのか)を決められず、デーノタメ遺跡を除いた場所で虫食い的に進められてきた。新市長は、遺跡を国史跡化する方針。
また、都市計画道・西仲通線がデーノタメ遺跡を貫く計画になっている。デーノタメを残すなら、西仲通線はやめるか、迂回するかになるが、桶川市までは完成しており、鴻巣市も途中までできている。北本市だけ手付かず。やめるのも難しい。
新ごみ処理施設の建設については、各市の思惑が交錯している。非常に難しい。
個人的には現在の埼玉中部環境センターを延命した上で、今後について近隣市とも協議して方向性を検討していくべきと考える。

ウ 社会保障の適正化・効率化、自助・共助の拡大

国が進める地域共生社会は、まずは自分・家族で、次は地域で。行政は最後というもの。
この方向性で本当に良いのか?地域には専門性も余力もない?一番困るのは、支援が必要な人。
介護や子育てなどケアの社会化を進めることが大事ではないか。
税負担を抑えて社会保障を削って自己責任で何とかする社会を継続するのか、税負担を増やしてでも社会保障を充実させて安心して暮らせる社会を目指すのか。
私は後者を進めたいと考えている。

三宮新市長の公約の実行状況

①消滅可能性都市一掃のための女性・子ども・若者1億円プロジェクト

②南部新駅、圏央道・上尾道路沿線開発のあらゆる調査を実施
調査を実施中

③子どもの命・学びの権利を守る「教育改革市民会議」(仮称)の設置

④「子どもの本のまちづくり」の推進

⑤高齢者(特に一人暮らしの方)・障がいのある方の元気のでる居場所づくり(全市50箇所)
市から委託を受けた市社協が居場所づくりを一生懸命進めている

⑥デマンドバスの利用エリアの拡大(隣接市町の医療機関)
来年度から実施

⑦駅東口広場の利便性向上のための歩道部分の屋根かけ

⑧市街地の中の緑の保全(宮内緑地 等)
宮内緑地の公有地化を実施

⑨芸術文化と雑木林・里山をコラボした史跡回遊路の整備

⑩北本の暮らしの原点、「デーノタメ遺跡」の国史跡化
国史跡化の要件2つのうちの1つ(報告書の作成)が完了。もう1つは、7割の地権者の同意だが、その前に市として国史跡化を進めることの意思決定が必要。

質疑

南部新駅については、平成25年の住民投票で、大差で否決されたはず。なぜ今でも新駅の話が出てくるのか。

新市長は公約で南部新駅を含めたあらゆる調査を実施と公約に掲げて当選し、調査を実施している。ただ、総合振興計画にも位置付けられていない。我々の会派としては、総合振興計画に位置付けられていないものを進めることはできないと考えている。