栄小学校を廃止する条例に反対した理由

令和2年第1回定例会に「北本市立学校設置及び管理条例の一部を改正する条例」が提案されました。これは、栄小学校を令和3年4月1日に廃校とする内容の条例です。

北本市立学校設置及び管理条例の一部を改正する条例
http://www.city.kitamoto.saitama.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/30/giann2020021.pdf

私はこの議案に対し、次のように討論で述べて反対しました。

◆反対討論◆

学校の主役は、児童です。廃校は、児童にとって大変重要な事柄です。

我が国が1994年に批准している、「児童の権利に関する条約」の第12条には「締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。」と規定されています。

総務文教常任委員会での質疑により、栄小を廃止することについて、栄小児童の保護者や地域住民には意見を聴いているものの、児童には説明をせず、意見を聴いていないことが分かりました。

我が国においては、子どもの意見表明権が具体的に法制化されていないとはいえ、保護者や地域住民の意見は聴きながら、子どもの意見は聴かないという態度は、子どもの権利を蔑ろにするものであり、到底是認できるものではありません。

栄小の廃止の決定に当たっては、児童に対し丁寧に説明し、児童が意見を表明する機会を確保すべきであることを申し上げ、反対討論といたします。

◆ここまで◆

この議案は賛成多数(反対:桜井、今関、退席:工藤、日高、保角)で可決されましたが、附帯決議が提出され可決されました(全員が賛成)。
※栄小の児童に廃止に至った経緯等に関する説明を十分に行うように、という内容の附帯決議です。重要なのは、児童が意見を表明する機会を確保することなので、説明するだけでは不十分ですが、しないよりは良いと考え、附帯決議には賛成しました。

附帯決議(PDFファイル)

子どもたちに意見を聴いて「なくさないで」と言われたら、廃校できなくなってしまうという声も聴きました。しかし、保護者や地域住民には説明をし、意見を聴いているのです。なぜ同列に扱えないのでしょうか?この問題の本質は「子どもの人権を軽視している」ことにあります。これは北本市の教育全般に通じる本質的な問題点です。

今回の定例会で可決されなかったとしても、廃校までには時間があります。次の定例会で間に合わないなら、すぐにでも子どもたちに説明し、意見を聴いて、臨時会に提案することもできたはずです(平成29年には「北本市営駐車場設置及び管理に関する条例の一部改正する条例」が第2回定例会で否決された翌月に臨時会が招集・提案され、可決されている)。

子どもの意見を聴かず、子どもの人権を軽視したままでこのような決定になってしまったことをとても残念に思います。子どもの人権を守るためのルール「子どもの権利条例」を制定できるよう他の議員にも協力を呼びかけ、力を注いでいきたいと思います。