一般質問(衛生組合)汚泥の下水道投入について

私は北本市議会議員ですが、一部事務組合である北本地区衛生組合の議員でもあります。北本地区衛生組合では、北本市・鴻巣市・吉見町・久喜市(旧菖蒲町)の浄化槽汚泥やし尿の処理を行っています。

7月28日の組合議会において一般質問をしたので、簡単に報告します。

今回の質問は、汚泥の下水道投入についてです。かなりマニアックな質問です。

し尿・汚泥の下水道投入とは

衛生組合では下水道に接続していない家庭で発生した浄化槽汚泥や農業集落排水の汚泥、生し尿などを収集し、高度処理を行った上で、放流しています。一方、下水道に接続している場合は、市が管理する公共下水道から県が管理する流域下水道へと流れ、県の終末処理場で処理されます。

衛生組合における処理量(下表)はほぼ横ばいですが、今後下水道への接続率が上昇したり、人口が減少すれば、処理量の減少が見込まれます。処理量が減少しても、施設自体の大きさを変えることはできませんから、維持管理費用は処理量ほどは減りません。

北本地区衛生組合におけるし尿等処理量
2017年度 11,975.14㎘
2018年度 11,808.52㎘
2019年度 12,506.52㎘

将来的に人口が大きく減少すれば、し尿・浄化槽汚泥を処理する衛生組合でも、下水を処理する終末処理場でも、利用者当たりの処理費用が増加することが懸念されます。それならば、し尿や浄化槽汚泥も下水道に投入し、終末処理場で一括で処理する方がトータルコストが抑えられるのでは、というのが今回の質問の主旨です(もちろんその場合の処理費用は流域下水道に支払います)。

環境省の一般廃棄物処理実態調査によれば、神奈川県では浄化槽汚泥の49.4%が下水道投入されています(平成30年度)。埼玉県においても、所沢市、春日部市、狭山市、深谷市、朝霞地区一部事務組合、入間東部地区衛生組合、坂戸地区衛生組合、東埼玉資源環境組合で下水道投入が実施されています(平成29年度実績)。

※一般質問の参考資料 sankoushiryou.pdf

下水道投入のメリットと課題

下水道投入する場合には、高度処理までは必要とせず、生物処理工程後に水で希釈して放流することになるそうです。下水道へ接続する工事と希釈するための施設整備などが必要となりますが、生物処理工程後の処理に掛かっていた薬品等や当該施設の維持管理費用、汚泥搬出処分量などが削減されることから、トータルではコスト削減につながりそうです。

しかしながら、埼玉県に確認したところ、下水道投入の際には、まずは北本市の公共下水道に投入し、公共下水道から流域下水道に接続することが大前提という説明を受けたそうです。流域下水道の函渠は衛生組合(クリーンセンターあさひ)のすぐ前を通っていますが、公共下水道まではかなり距離があります(ワコーレ北本南側の信号の辺り)。これでははっきり言って非効率です。具体的な下水道投入を行う場合には、市と組合が協力して、粘り強く県と交渉を行う必要がありそうです。

当面は衛生組合における処理量も減少しておらず、衛生組合の施設が老朽化しているものの長期修理等計画を策定して適切な管理に努めていることから、慌てて下水道投入を行う必要はありません。将来的な処理方法の一つとして、北本市と共に、調査、検討を進めてもらいたいと思います。