◆一般質問 生活保護に関する事務について

令和4年9月定例会における私の一般質問について、その概要をお知らせします。

件名1 生活保護に関する事務について
(1)扶養義務の取扱いについて
(2)無料低額宿泊所等の利用について
(3)物価高騰への対応について
(4)エアコンの利用について

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(1)扶養義務の取扱いについて

Q.生活保護法第4条第2項において、扶養義務者による扶養は保護の要件ではなく「保護に優先して行われるもの」とされている。令和3年2月26日付けの事務連絡では「扶養義務の履行が期待できないと判断される扶養義務者には、基本的には直接の照会を行わない取扱いとしている」と改めて周知されている。扶養照会は生活保護を申請しようとする人にとって大きなストレスになる。本市では生活保護受給の申請や相談に来た人に対し、扶養義務・扶養照会についてどのように説明しているか。また、令和3年度の新規受給者数と、そのうち扶養照会を行った件数、親族等から金銭的援助が得られた件数について伺う。

A.本市では令和3年の通知以前から、生活保護申請後の訪問調査に際して個別具体的に扶養義務者に係る状況を聴き取り、明らかに扶養の履行が期待できない者には照会しない取扱いとしていた。令和3年の通知後には改めて所内で周知徹底し、今年5月からは生活保護の相談時に説明資料として用いる『生活保護のしおり』の添付資料として具体例を示した説明文書(下の画像)を作成し、これを用いて説明している。令和3年度の生活保護申請件数は109件で、このうち65世帯・153人の親族等に書面で照会し、約半数から回答を得ている。多くは支援が難しいとの回答だが、中には精神的な支援を実施してくださる方や金銭的な支援を実施してくださる方もいました(4世帯)。

Q.親族に知られたくない(扶養照会を避けたい)として、生活保護申請を断念したケースはあったか。

A.本市ではそうしたケースはない。

Q.令和3年度の申請件数109件に対し、扶養照会を行ったのが65件。明らかに扶養の履行が期待できない場合は照会しないとしている割には照会を行った件数が多いと感じるが。

A.扶養能力の調査は保護の実施要領において「金銭的な扶養の可能性のほか、被保護者に対する定期的な訪問・架電・書簡のやり取り、一時的な子どもの預かり等」の精神的な支援の可能性についても確認することとされている。精神的な支援も含めて照会しているため、けっして多くはない。

Q.精神的な支援も期待できるとのことだが、保護の支給開始に合わせて行う必要はない。また、重層的支援体制の中の参加支援や地域づくり(居場所への参加)で対応していくのが今の地域共生社会の考え方に合った本人支援の方法でないか。

A.保護の要件ではないことから、必ずしも支給開始に合わせて扶養照会を実施しているわけではない。入院、施設入所、転居、就労等に際して親族による緊急連絡先を求められることも多く、親族による精神的支援は本人の自立助長に資する現状がある。重層的支援体制の整備状況等も踏まえつつ、個々の要保護者に寄り添った対応を行っていく。

(2)無料低額宿泊所等の利用について

Q.ホームレスなど、現に住居がない方への生活保護に当たっては、平成15年7月の厚労省の通知により「居宅生活を送ることが可能と認められる場合には、居宅の確保を図った上で居宅において生活保護を適用する一方で、直ちに居宅生活を送ることが困難な場合には、保護施設や無料低額宿泊所等において保護を行う」こととされている。保護の原則は「居宅保護」であるが、本市で無料低額宿泊所・日常生活支援住居施設を利用している者の人数について伺う。

A.令和4年8月末現在で14名。全てが居宅生活へ移行するまでの間の一時的な居所の場として利用しているケースである。入所者へはケースワーカーが定期的に訪問調査を実施している。あくまで一時的な居所の場であり、居宅への移行に係る資金や家具什器費等が支給できることから、訪問の機会等を捉え、原則として居宅生活への意向を促している。令和3年度に入居した6名のうち4名はサ高住等に入居する等により無料低額宿泊所等から退去している。転居の準備が整わない者、居宅生活を希望しない者もおり、全ての人が居宅生活に移行するのは難しい。

【要望】
無料的額宿泊所等にも引き続き継続的に訪問し、搾取されたり、不当な取扱いを受けていないかなど、確認するようお願いする。

(3)物価高騰への対応について

Q.食料と光熱水道費の物価高騰が著しく、生活保護世帯ではこれらの経費の割合が高いことが想像できる。一方で、生活保護費は物価の変動に対し敏感に増減するものではない。現状の生活保護の支給額では憲法25条に定められた健康で文化的な最低限度の生活を送れないのではないかと思うが、物価高騰が生活保護受給者に及ぼす影響と現状の対応について伺う。

A.現場の実感として直ちに困窮した、困ったという話はないが、徐々に、やりくりが大変等の声を聞くようになってきた。国でも生活扶助基準の検討をしているが、令和5年度の見直しを予定しているとのこと。市として独自に受給額を増やすことはできない。昨年末に支給した「住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金」や今年5月支給の「子育て世帯生活支援給付金」等は生活保護世帯も対象で、収入認定しないこととなっている。これらの給付金で家電製品等の更新を行ったなどの話は聞いている。また、やむを得ず食料がなくなってしまった方には、社協とも連携し、フードパントリーを活用して食糧支援を実施している。今後も訪問等により被保護世帯の状況を把握し、必要な支援につなげたい。

Q.今年度に入って、フードパントリーの食料を提供した事例はあるか。

A.社協では24件提供している。多くは新規の保護世帯だが、生活費が不足した被保護者に提供した事例もある。

Q.本市では6月の補正予算で、食料や生活用品を購入する予算を計上した。生活用品も食料と同様に収入認定されないと理解してよいか。

A.生活保護問答集では、社会事業団等からの事前的な恵与物で最低生活の内容として保有を認められるものは収入認定しないとされている。フードバンク等から提供されるような生活用品については収入認定しない取扱いである。

【要望】
政府では住民税非課税世帯に対し5万円の電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金の支給を決定した。本市においても速やかな支給をお願いする。

(4)エアコンの利用について

Q.今年の7月は特に気温が高かった。健康で文化的な最低限度の生活を送るためにはエアコンの利用が欠かせなかったと考えるが、生活保護世帯におけるエアコンの所有状況は。

A.生活保護世帯のエアコン所有状況は統計等で把握しているものではないが、ケースワーカーによる確認では、令和4年7月末現在で569世帯のうち未設置は16世帯で、95%を超える世帯でエアコンを設置している。エアコンは本来は経常的な生活費の範囲内で計画的に購入するものとなっているが、平成23年7月から社協の生活福祉資金の貸付に関し収入認定されない取扱いとされたことから、エアコンを保有していない世帯には当該貸付を活用して設置できる旨を周知し、導入を促してきた。また、平成30年7月からは新規の受給者でエアコン等の冷房器具の保有がない世帯のうち熱中症予防が特に必要とされる者がいる世帯には家具什器費としてエアコンを支給できるようになっている。

議場で配布した参考資料