北本市議会令和6年第1回定例会に提案された議案のうち、予算以外に関するものは条例10件、事件議決3件(市道の路線の廃止1件、人事議案2件)の計13件です。議案の概要と審査の結果についてお伝えします。
議案名をクリックすると議案(PDF)を見ることができます。
組織機構の改正に伴い、規定の整備を行う。施行日は令和6年4月1日。
改正の内容
北本市都市計画審議会条例 第8条「都市整備部 都市計画政策課」を「都市整備部 都市計画課」に改める。
北本市子ども・子育て会議条例 第6条「福祉部保育課」を「こども健康部保育課」に改める。
行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(いわゆるマイナンバー利用法)の一部改正を踏まえ、定義の追加等を行う。施行日は法律の施行日。
改正の内容
番号利用法改正に伴う改正。これまでは国が新規の事務でマイナンバーの利用や情報連携事務の追加をするためには、その都度番号利用法と主務省令の改正を行う必要があり、1年近くの時間を要していました。番号利用法の改正により主務省令のみの改正で追加が可能となりました。番号利用法別表第2が廃止されたため、本条例において別表第2を参照している箇所を改正する必要が生じました。本市の事務については、これまでと変わるところはありません。
特殊勤務手当のうち、ごみ、汚泥等の収集業務に従事した職員に支給する現場業務手当を日額により支給することとする。施行日は令和6年4月1日。
改正の内容
現場業務手当のうち、月額で支給することとされている「ごみ、汚でい等の収集業務」について、日額250円に改定する。
議案質疑の概要
条例の改正が必要となった経緯は。
昨年10月に埼玉県市町村課のヒアリングにおいて、特殊勤務手当の支給方法について総務省から指摘があったことが伝えられた。給与と別に支給するのであれば、業務執行の都度支払われるべきで、一律月額とするのは好ましくないという内容。令和6年度から必ず是正するよう指導されたもの。
令和5年度中に当該手当を支給した人数は。
令和5年4月から令和6年2月までの実績は、現業職1名、一般行政職5名の計6名。延べ人数は32名となる。
手当の額を1日250円とした根拠と近隣自治体の状況は。
月8回程度の勤務実績で月額2,000円とし、1回当たり250円とした。廃棄物処理業務手当の一時保管場における分別業務と同額である。鴻巣市は1回550円、桶川市は月額5,500円、上尾市は規定がない。県内の平均は1回266円。
育児休業をしている会計年度職員に勤勉手当を支給することとするとともに既定の整備を行う。施行日は令和6年4月1日。
議案質疑の内容
会計年度任用職員で今までに育児休業を取得した事例はあるか。
これまでには事例はない。
育児休業を取得することによりその後の任用で不利益になることはないか。
取得の有無で今後の任用決定で影響はない。
職務復帰後の号給調整に関しては会計年度任用職員は除外されているが、なぜか。
会計年度任用職員は会計年度ごとの採用となる。次の採用に当たり職務経験を考慮するもので、号給調整という形では行わないためである。
国家公務員における夏季休暇の使用可能期間の見直しを踏まえ、業務の事情により使用可能期間内に夏季休暇を使用することが困難である職員に係る夏季休暇の使用可能期間を拡大する。施行日は令和6年4月1日。
改正の内容
夏季休業の期間 7月1日から9月30日まで
拡大後の期間 6月1日から10月31日まで
拡大の要件 本来の期間が業務の繁忙期であることその他の業務の事情により当該期間中の休暇の全部又は一部の使用が困難であると認められる場合
質疑の内容
令和5年度の夏季休暇の取得率は。
令和5年度、1日以上取得した職員は99%、7日全てを取得した職員は90%。
どのような業務(課室)において取得率が低いか。
産業観光課、農業委員会事務局、高齢介護課、選挙管理委員会事務局が少なかった。
北本市土地開発公社の清算が結了し、同公社が消滅したことに伴い、規定の整備を行う。施行日は公布の日。
改正の内容
第2条(2)の実施機関から、土地開発公社を削除する。
犯罪被害者等基本法に基づき、犯罪被害者等の支援に関し基本理念を定め、並びに市、市民等及び事業者の責務を明らかにするとともに、犯罪被害者等の支援の基本となる事項を定めることにより、犯罪被害者等が必要とする施策等を総合的に推進し、犯罪被害者等が受けた被害の回復又は軽減を図り、再び平穏な生活を営むことができるように支援することで、犯罪被害者等の権利利益の保護が図れる地域社会の実現に寄与することを目的として定める。施行日は令和6年4月1日。
(参考)第4次犯罪被害者等基本計画(警察庁)
制定の経緯
犯罪被害者等基本法に基づき、令和3年3月に定められた第四次犯罪被害者等基本計画において、警察庁は地方公共団体に対して犯罪被害者等に対する見舞金等の支給制度等の整備を要請するとされた。これを踏まえ、令和3・4年度に、鴻巣警察署長から本市に対し条例制定の強い要望があった。同じ鴻巣警察署管内である鴻巣市とも打合せをし、令和6年4月1日施行で条例を制定することとした。
見舞金の支給について
対象となる「犯罪被害」とは、犯罪行為による被害で、死亡・傷害(3日以上入院かつ療養が1か月以上)要したもの。精神疾患の場合は療養に1か月以上・3日以上労務に服することができない程度のもの。
対象となる「犯罪行為」とは、国内又は国外にある日本船舶・航空機内において行われた人の生命又は身体を害する罪に当たる行為(刑法第37条第1項本文、第39条第1項又は第41条の規定により罰せられない行為を含む。刑法第35条又は第36条第1項の規定により罰せられない行為及び過失による行為を除く。)
見舞金の支給申請は、犯罪行為による死亡・傷害の発生を知った日から2年を経過する日、又は、犯罪行為による死亡・傷害が発生した日から7年を経過する日のいずれか早い日までに、市長に申請しなければならない。
傷害見舞金を受けた者が死亡した場合は、差額を支給する。
主な質疑
Q.見舞金の単価の根拠は
A.他の自治体を参考にした。県内34市町村中29市町村が同額。全国的にも約9割が同額。
Q.二次的被害をどのように特定していくか。
A.二次的被害とは、犯罪被害者等が犯罪等による直接的な被害を受けた後に、周囲の偏見、無理解による心ない言動、インターネットなどを通じて行われる誹謗中傷、報道機関等による過激な取材などで、犯罪被害者等が受ける精神的な苦痛、名誉の毀損、平穏な生活・プライバシーの侵害、経済的な損失等の被害を指す。特定・把握は、犯罪被害者等の支援の相談、警察等への相談によって特定されていく。
Q.二次的被害の相談として想定される訴訟案件等への対応方法は。
A.二次的被害の相談に対しては、市の人権相談や法律相談等につないでいく。市の法律相談は1回限りとなるため、相談が継続する案件は民間支援団体の埼玉犯罪被害者援助センター等と連携して対応する。
桜井の討論
条例の内容に概ね問題ないが、第4条の市の責務は「犯罪被害者等の支援等」と、第17条は「意見の反映及び透明性の確保」とすべきだった。法律の文言を省略することで、法律よりも後退した印象となってしまうことを避けるためにも、法律どおりで良かった。
法第14条の(保健医療サービス及び福祉サービスの提供)、第15条の(安全の確保)、第16条の(居住の安定)については、市としてできることも多く、本市の条例に規定することについて、慎重に検討すべきだった。
条例に規定しなくても、法律に規定されていればやらざるを得ないし、常任委員会の質疑でもやらないから省略したのではないことを確認できたので、原案のとおり認める。
児童福祉法の一部改正に伴い、児童発達支援センターの趣旨を整理するとともに既定の整備を行う。施行日は令和6年4月1日。
従来は、医療型と福祉型があり、医療型は肢体不自由児を対象に福祉的支援と治療(リハビリテーション)を行っていたが、これを一元化する。北本市の児童発達支援センターは福祉型であり、従前と変わることはない。
介護保険事業計画の改定に伴い、令和6年度から令和8年度までの保険料率を定めるとともに、規定の整備を行う。施行日は令和6年4月1日。
本議案は賛成多数により可決。反対したのは、湯沢議員と毛呂議員。中村議員が退席(健康福祉委員会では賛成)。
厚生労働省が示した第9期計画期間の第1号保険料
北本市の保険料設定の考え方
所得段階については、第1号被保険者間の所得再分配機能の強化を図るため、国の案に合わせ13段階とした。
国では、第11段階520万円以上、第12段階620万円以上、第13段階720万円以上と100万円刻みで最高段階を720万円以上としたが、北本市では第12段階を720万円以上、第13段階を1,020万円以上とした。100万円刻みだと第11,12段階の人数が極端に少なくなること、720万円の人と1020万円の人では生活状況も大きく違うので、徐々に乗率を上げ負担感を和らげた。
第1~3段階と第10~13段階について、乗率を低く設定し、引上げ率を抑えた。
なお国の乗率をそのまま適用したとしても、第10段階以上は798人しかおらず、低所得層や中間層の乗率を下げる効果がないことを確認している。
桜井の討論
今回の改正は、第9期介護保険事業計画の策定に合わせ、介護保険料を改定するもの。標準となる第5段階の保険料に対する倍率を示す乗率は、第8期では最上位の第11段階で1.9だったが、今回国が示した案では第11段階で2.1、第12段階で2.3、第13段階で2.4という大幅な引き上げとなっており、前年の所得が720万円以上の場合、5万3千円、実に46.5%もの大幅引上げになるものだった。
本市では、第1段階から第3段階と、第10段階から第13段階までの乗率を国が示す標準の乗率よりも低く設定しており、低所得者の引上額に配慮するとともに、高所得者にあっても極端な引上げ額とならないよう配慮されている点は、高く評価できる。
なお、国や県に対し公費負担を増やすよう求めるべきという意見もあるが、介護保険事業はその財源の半分を税金、残りの半分を保険料で賄う設計で、公費負担分については国が25%、県と市町村が12.5%を負担する。保険料の割合を引き下げれば、その分は公費負担が増えるが、結局その財源は税として住民が負担しなければならない。
介護保険事業は市町村事業であり、市町村において介護事業の在り方を決めることができるから、半分を保険料で賄うことには一定の合理性がある。介護サービスを充実させ、介護サービスの利用が増えれば、より多くの介護サービス給付費が必要となるので、より多くの保険料が必要となる。介護保険料は、実際に使うかどうかに関わらず、使う場合に備えて介護サービスを充実させておくための、市民の責任と言い換えることができる。
介護保険事業は、所得に応じて一定の負担をしていただくことで、介護が必要になったときにできるだけ少ない自己負担で介護サービスを受けられるようにするためのもの。そのためには、保険料の負担について市民の皆様に理解を求めなければならない。私たち議員にもその責任はある。
介護保険料の引上げ反対と言えば市民に寄り添っているように聞こえるかもしれないが、もし国や県の負担割合が引き上げられていない状態で介護保険料の引き上げを行わなければ、介護保険事業の財源が不足することは明らか。介護事業者に対して、介護サービス給付費が支払うことができなくなる恐れがある。本市における介護保険事業を確実に実施するためには介護保険料の見直しが必要であるということを申し上げ、賛成の討論とする。
埼玉県証紙条例が廃止され、保有する証紙に係る還付手続等が終了したことから、基金の対象から埼玉県証紙を削除するとともに、基金の額を減額する(500万円→300万円)。施行日は令和6年3月29日。
市道の路線の認定をされている土地の所有者から路線の廃止の求めを踏まえ、路線を廃止する。
対象の路線
市道3093号線(石戸8丁目303番地先から297番地先まで)
延長41.31m、幅1.87~1.98m
当該路線の所有者は市ではなく個人であるため、所有権の移転はない。同様の事例は他にはない。
教育委員会委員のうち1名が退任したため、後任として北条規氏を任命することについて、議会の同意を求める。
北条氏は、昭和31年生まれ。平成26年4月から大正大学地域構想研究所教授、平成5年7月から北本市自治基本条例審議会委員を務めている。
現委員の柴田雅幸氏の任期満了に伴い、引き続き同氏を選任するため、議会の同意を求める。
柴田氏は昭和24年生まれ。平成31年2月から同委員。
地方税法等の一部改正に伴い、令和6年能登半島地震災害に係る個人市民税の雑損控除額等の特例措置を講ずるとともに、規定の整備を行う。施行年月日は公布の日。
改正の概要
令和6年1月1日に発生した災害の損失は、本来、令和6年分の所得税の計算に反映されますが、特例対応として、発災前年の令和5年分の所得税への適用が認められます。これにより税額の軽減や還付を実質的に1年早く受けることができます。
災害減免法の特例
今般の災害により住宅や家財について甚大な被害(時価の2分の1以上)を受けたときは、令和5年分の所得税について、災害減免法による所得税の軽減・免除を受けることができます。ただし「雑損控除」との選択制となっていますので、双方の制度の適用要件を満たしている場合は、どちらか有利な方を選んで申告する必要があります。
詳しい内容については、政府広報オンラインをご覧ください。
https://www.gov-online.go.jp/tokusyu/tax_deduction/