北本での大地震の可能性は?発生確率が高いのは東京湾北部地震

2019年1月3日の夕方、熊本県で最大震度6弱の地震が発生しました。2016年4月にも震度7の地震が発生したばかりでまたかと思いましたが、幸いにも人的・物的被害は少なかったようです。不幸にも被害に遭われた方にはお見舞いを申し上げます。

さて、2011年に発生した東日本大震災以後、全国各地で震度6以上の地震が発生しています。埼玉県では大地震は近年発生していませんが、将来的に北本市で大地震が発生する可能性はあるのでしょうか?

北本市では平成29年(2017年)3月に『地震防災マップ』を作成し、各家庭に配布しています。地震ハザードマップには関東平野北西縁断層帯地震(想定マグニチュード8.1)が発生した場合の想定震度分布図が掲載されており、北本市内は震度6強から7と予想されています。過去に国内で発生した震度6強以上の地震ではいずれも甚大な被害が発生しています。実際に発生したら大変なことですが、関東平野北西縁断層帯地震の今後30年以内の地震発生確率は0.008%以下とされていますから、発生の確率は極めて低いようです。

(参照)北本市地震ハザードマップ

ここ100年以内で発生した大地震と言えば、1923(大正12)年9月に発生した関東大震災が挙げられます。北本付近の震度は6程度だったようですが、石戸で死傷者1名(別の報告では被害なし)との記録が残っています。記憶に新しい2011(平成23)年の東日本大震災での北本市の震度は5弱でした。

今もっとも発生の可能性が高いと言われているのが東京湾北部地震です。今後30年以内に南関東地域でM7級の地震が発生する確率は70%と言われています(地震調査研究推進本部による)から極めて高い確率です。埼玉県が作成した被害想定によれば、北本市の震度は震度5強とされています。

東京湾北部地震による予測震度分布(平成 24・25 年度埼玉県地震被害想定調査報告書)

震度5強であれば、多くの家屋が倒壊するような事態は避けられると思いますが、被害の中心は東京都北部になりますから、発生する時間帯によっては北本市民の多くが帰宅できなくなる可能性が高いことが想像できます。埼玉県によれば、東京湾北部地震が発生した場合の北本市の帰宅困難者は、冬18時に発生した場合で7,648人、夏12時に発生した場合は12,317人と想定されています。

実際に県南部や都内で働く多くの人が帰宅できなくなった場合、北本に居る子どもたちの生活を誰がどうやって守るのでしょうか?『首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 最終報告』では、「児童・生徒等の学校内もしくは他の安全な場所での待機、その他児童・生徒等の安全確保のために必要な措置を行う。」とされています。果たして北本市では十分な対策が講じられているでしょうか?こうした「容易に想定できる、発生する可能性が高い困難」にしっかりと対策を講じておくことが極めて重要ではないかと考えます。