平成29年度 北本市 決算分析【歳入編】

財政状況を調べるためには、継続的に見ること、他市と比較することが重要です。

下の表は、平成25年度から平成29年度までの5年間の決算のうち「歳入」について、北本市と近隣市、類似市を比較したものです。比較のため、人口1人当たりの決算額としています。人口は各年度10月1日現在の推計人口を使用しています。近隣市として、鴻巣市、上尾市、桶川市を、類似市として北本市と人口や東京からの距離感の近い蓮田市、鶴ヶ島市、日高市を取り上げています。

北本市の歳入総額は、近3年は約30万円前後で推移しています。H25,26年度の金額が大きいのは、市役所庁舎の建設を実施していたためです。こうした大規模な投資事業があれば人口一人当たり歳入合計も膨らみます。その際に増える財源は、地方債です。

地方税を見ると、北本市は約13万5千円で、上尾市や桶川市とほぼ同レベルです。大企業がない中で健闘していると言えます。鴻巣市は約12万6千円で北本市や桶川市よりも少なく、その分地方交付税の額が多く交付されています。蓮田市の税収は北本市とほぼ同レベルですが、鶴ヶ島市や日高市はかなり多いことが分かります。その原因については、税目ごとの税収額を見なければ分かりません(埼玉県から税収のデータが公表され次第、分析を行います)。

地方消費税清算金は、埼玉県の地方消費税の2分の1を人口と従業者数により按分した額が埼玉県から交付されているものです。比較した7市では日高市だけが多くなっていることが分かります。人口に対する従業者数の割合が、他の6市が3割前後なのに対し、日高市だけが4割を超えているためと考えられます。市内に従業員を多く抱える企業があれば、地方消費税交付金の増収にもつながります。

地方債の割合は、市役所新庁舎建設が始まった桶川市を除き、ほとんどの市で低下しています。特に蓮田市は5%台で推移しています。北本市は平成29年度に地方債の割合が増えていますが、増えた分の約半分は臨時財政対策債(地方交付税の振替措置)です。

人口1人当たりで見ると、北本市は近隣市や類似市と比較して、特に大きな問題は発生していないように思います。もちろん、人口が減ればスケールメリットが働きにくくなるため、財政的には苦しくなる可能性が高くなりますので、今後も継続的に注意深く観察していきたいと思います。