北本市の財政状況を近隣市・類似市と比較してみた

埼玉県が公表している市町村決算データを元に、北本市の財政状況を近隣市、類似市と比較してみました。

近隣市とは、鴻巣市、桶川市、上尾市。類似市とは北本市と人口規模が近い、蓮田市、鶴ヶ島市、日高市です。

なお、エクセルデータはこちら(R02 北本市財政状況 近隣・類似市比較)からダウンロードできます。

歳入

まずは歳入です。北本市は税収が減少傾向にあるのが気になります。これは後で税目別に見てみます。地方消費税交付金は税率引上げがあったので全市増加しています。税収が少ない市は一般的に地方交付税と地方交付税の代替措置である臨時財政対策債が多くなります。令和2年度は新型コロナの影響で国庫支出金県支出金が大きく増加していることがわかります。地方債は、地方債から「うち臨財債」を引いた数値が、建設事業に係る実質的な借入金です。鴻巣市と桶川市が比較的多くなっています。その他には寄附金などが含まれ、ふるさと納税が増えるとここが増えます。

税収

北本市の税収を見ると、法人市民税が大きく減少していることがわかります。平成29年度に大きく減り、その時点では近隣・類似市と同程度でしたが、その後も減り続け、令和2年度は近隣・類似市の中で最も少なくなっています。個人市民税はどの市も大差なく、傾向としてもやや増加傾向にあります。固定資産税は、人口1人当たりでは北本市は近隣市の中では高い方ですが、鴻巣市や桶川市が増加傾向にあるところ、北本市はほぼ横ばいです。

北本市の課題としては、法人市民税と固定資産税を増やすことと言えます。

歳出(目的別)

次に歳出を目的別に見てみます。総務費は令和2年度に跳ね上がっていますが、これは新型コロナの特別定額給付金(1人10万円)などの影響です。北本市の場合は、ふるさと納税寄附の増加に伴う返礼品費・手数料なども増加要因です。民生費は高齢化や幼保無償化の影響でどの市も同じように増加傾向になっています。衛生費は主に保健医療とごみ処理の関係です。令和2年度に急増した市はワクチン接種費用を令和2年度に計上していた可能性があります。また、桶川市は平成30年度から増加していますが、ごみ処理の関係だと思います。労働費、農林水産業費、商工費は元々予算額が少ない中でも市によって大きな差があります。大きな差の要因はさらに具体的に調べてみないとわかりません。土木費は道路・河川・公園・都市計画・市営住宅などの予算です。北本市はかなり渋っていることがわかります教育費も意外に差が大きいことがわかります。北本市はGIGAスクール対応や西小学校給食室整備の影響で大きく増えています。上尾市がほとんど増えていないのは不思議に思います。公債費は、北本市では増加傾向にありますが、主に市役所新庁舎建設の影響で、ここ数年がピークとなることが中期財政計画でも示されています。市債残高については、この後詳しく見てみます。

積立金・市債

最後に積立金市債の残高です。北本市では財政調整基金と特定目的基金が増加傾向減債基金は減少傾向にあります。減債基金の減少は、先ほど歳出で説明したとおり、公債費の増加を見込んで積み立てていたものを、今は取り崩して償還に充てているためであり、計画通りです。特定目的基金は、南部地域整備基金や新ごみ処理施設の整備のための基金、ふるさと納税の受入れのための基金が増加しています。近隣・類似市と比較しても、積立金の残高は多い方と言えます

市債残高について、地方交付税の代替措置である臨財債(臨時財政対策債)は償還時に地方交付税が措置されるので、その他債の残高を見てください。市役所庁舎建設以後、大規模な建設事業を行っていないため、市債残高は減少傾向にあります。北本市は、現在は建設事業を控えていますが、今後久保特定土地区画整理事業が進むと、歳出の土木費が増え、市債も増える可能性があります。