令和元年第3回定例会における一般質問 9月17日(火)
件名1 高齢者等の交通弱者の移動手段の確保について
要旨1 高齢者等の居場所づくりを進める上での移動手段の確保について
要旨2 デマンドバスの利用エリアの拡大について
要旨3 デマンドバス導入の効果について
要旨4 多様な主体による移動手段の確保について
要旨1 高齢者等の居場所づくりを進める上での移動手段の確保について
質問
市長が居場所づくりを進めようとする理由、目的は。高齢者の居場所をつくることでどのような効果があると考えているか。また、せっかく居場所があっても行くことができなければ意味がない。例えば西部地域では西部公民館で定期的にサロンが開催されているが、会場が遠くて行くことができない人もいる。高齢者の居場所づくりとあわせて、居場所までの移動手段を確保することが急務ではないか。
答弁(三宮市長)
公約として位置付けた理由は、高齢者がいつまでも元気で健康でいるために、高齢者同士が集い交流すること、社会参加を積極的に推進していくことが重要だと考えたため。高齢者が居場所に集い、住民同士が交流し、積極的に社会参加をすることで、健康増進が図られるだけでなく見守りや認知症予防の効果が期待できることから、市としても新たな居場所づくりや既存の居場所への支援を行っている。
しかし、高齢者の中には足腰が弱くなり歩行に不安を感じることや、自宅から居場所までが遠いといった理由から、居場所へ通うことができない方がいる。交通手段の確保を含めた高齢者の日常生活上の支援体制を充実させるため、生活支援体制整備事業を実施している。市内8つのコミュニティ圏域において、地域の実情に応じた具体的な話し合いを行うための協議体を設置し、生活支援コーディネーターが中心となって地域で助け合いや支え合い意識を醸成するとともに、地域資源を発掘し、高齢者の支援ニーズとのマッチングを図っている。
既に一部の地域においては、居場所へ通うことができない高齢者の移動手段を確保するため、近所の住民同士が助け合い、自宅から居場所までの付き添いや自動車による送迎等の支え合い活動が行われている。これらの取り組みが一層充実するよう、ボランティア等の担い手の育成に努めていきたい。また、勤労福祉センターにおいて、東地域コミュニティなどの住民の方々が中心となって開催されている高齢者サロンでは、生活支援コーディネーターが調整役となり地域の民間事業者と連携することで、事業者が所有する車両を活用した自宅からサロン会場までの送迎を10月から開始する予定と伺っている。この取り組みにより、これまでサロンへ通うことができなかった方への移動手段の確保につながることが期待される。
要旨2 デマンドバスの利用エリアの拡大について
質問
市長は、隣接市町の医療機関までデマンドバスのエリアを拡大すると約束をしているが、地域公共交通の現状や市民のニーズをどのように認識し、デマンドバスの利用エリアを隣接市町の医療機関まで拡大しようと考えたのか。また、今後どのような手続きを経てエリアの拡大を図るのか。
答弁(三宮市長)
デマンドバスは、平成23年度以降本運行を開始。平成30年度に実施した利用者アンケートでは、隣接市の医療機関への延伸の要望が寄せられた。ドア・ツー・ドアで利用できるデマンドバスを市外に延伸させることで、高齢者等の交通弱者にとって利便性が向上する。延伸に際しては、市内のバス・タクシー事業者及び市民の代表者等で組織する北本市地域公共交通会議での承認及び国の許可が必要。とりわけ市域を越えて近隣市町への医療機関の延伸とするには、デマンドバスの運行形態と類似しているタクシー事業者との事前の利害調整等が極めて重要であり、市外の医療機関の選定とともに、各交通事業者との調整を行い、利用エリアの拡大に向け取り組む。
再質問
Q.デマンドバスのエリアの拡大を予定しているが、この隣接市町の医療機関として具体的に想定しているところはどこか。
A.(三宮市長)国民健康保険被保険者の医療機関の利用状況から市民が多く利用する市外の医療機関のうち、鴻巣市の埼玉脳神経外科病院、桶川市の埼玉県央病院等の総合病院、救急指定病院などを現在では想定している。また、今後検討する。
Q.デマンドバスの運営上のメリットとは乗り合いだと思うが、今答弁にあった病院まで行くことになれば乗り合いが減る可能性もあり、また台数を増やせば財政的に厳しくなり、今の台数のままだと予約がさらにとりにくくなるなど利便性が低下するように思うがいかがか。
A.(新井市民経済部長)現行のデマンドバスの運行形態のまま利用エリアを拡大すると、一運行当たりの所要時間が増加をすることで、予約が取りにくくなる可能性がある。増車も考えられるが1台増車する場合でも一千万円以上の経費がかかる。また、予約がとりにくくなる可能性もあることから、現在の電話予約に加え、空車情報がすぐに確認できるようなウェブ予約の導入を検討している。空き状況を可視化することで、車が空いている時間に乗車、同じ目的地であれば同乗することができるので、乗り合い率の向上に寄与できる。今後、市外医療機関の選定とともに、こういった利便性の向上の対策についても検討の上で、市長公約の実現に向けて努力する。
要旨3 デマンドバス導入の効果について
質問
デマンドバスの現状について、利用者数、利用者の年齢、性別、行き先として多い場所、施設について説明を求める。また、現状での課題、市民の評価について簡潔に説明を求める。
答弁(新井市民経済部長)
平成30年度の利用者は2万7,718人。平成29年度の利用者数は2万6,912人、前年度比で806人、3%の増。また、利用者の年齢、性別は、平成31年3月末現在で男女とも70代、80代の高齢者が多く、女性の利用が男性の約3倍となっている。行き先として多い場所、施設は、北里大学メディカルセンターが最も多く、次いで北本駅東口、西口。北里メディカルセンターと駅で上位10カ所のうち約63%を占めている。
課題は乗り合い率の低さ。1人乗車の時間帯が大半となっており、利用の際の乗り合い率は約半分、50%。また、予約が取りづらい、当日のキャンセルが多いといった課題もある。市民の評価は、平成29年度に広報で募集したデマンドバスに関する市民アンケートでは、認知度では「知っている」が99%。「公共交通の確保に役立っている」という方が83%。利用意向では「利用したい」が80%とおおむね高い評価をいただいている。
要旨4 多様な主体による移動手段の確保について
質問
デマンドバスを導入の当初の目的は、高齢者等の交通弱者の移動手段の確保。しかし、依然として交通手段に困っている人たちがいる。厳しい財政状況の中、多額の税金を投じてさらなる移動手段を確保するのも非現実的。地域住民が主体となるなど、多様な主体による移動手段の確保が必要ではないか。また、市としてはどのような支援、後押しが可能か。
答弁(新井市民経済部長)
地域における移動手段の確保に当たっては、まず既存のバス・タクシー等の交通事業者の活用を十分に検討し、確保、維持、充実を図る必要がある。その上で、バス・タクシー事業者による輸送サービスが成り立たない場合に、地域の関係者による協議を経た上で様々な移動手段を活用することとなる。本市では、デマンドバスを運行することで、交通弱者の移動手段の確保及び交通空白の地域の改修を図っている。一方で高齢者の生活実態や公共交通へのニーズ等を鑑みると、バスやタクシー、デマンドバスだけではなく、ボランティア団体の活動や地域の助け合い、互助による移動手段の確保も今後、重要性を増す可能性がある。市内でも、NPOや社会福祉協議会等が送迎等のサービスも予定をしている。互助による移動手段の確保、いかにバス・タクシー事業者など民業を圧迫しない範囲で実施していくかが課題となる。今後、こういったサービスを提供しようと考えている団体や地域に対して、情報提供等を行いながら一緒に考えて、確保していきたい。
再質問(要旨3、要旨4について)
Q.まちづくり市民アンケートによると、あなたは病院や日常の買い物に行くときの交通手段がなく「困っている」、「どちらかといえば困っている」と回答した人の割合が、平成28年度が11.8%、29年度が12.3%、30年度が12.7%と徐々に上昇している。デマンドバスだけで高齢者の移動のニーズをカバーするのは無理があるのではないか。受益者負担の見直しや既存の公共交通以外の移動手段も検討する必要があるのではないかと考えるがいかがか。
A.(新井市民経済部長)デマンドバス運行経費は、平成30年度の実績で1人当たり970円が市の負担。前年の1,112円と比較すると、142円減少しているが、いまだ千円近く市が負担している。料金の見直しの議論は必要であると認識している。また、移動に制約のある高齢者の方の交通機関へのニーズを鑑みて、ボランティア団体や地域の互助による移動手段の確保についても検討してまいりたい。
Q.生活支援体制整備事業の中で、社協が中心になってかなり熱心に移動手段の検討を始めている。具体的にボランティアの市民が主体となって移動支援を行うことに関して、どのようなリスク、ハードルがあるとお考えか。
A.(赤沼健康推進部長)住民が主体的に移動支援を行う場合、自動車による送迎中の事故やその保障に関すること、車両の確保等が課題として挙げられる。市としても、このような課題の解決に向けて、先進事例の研究や県から移動支援アドバイザーの派遣支援を受け取組みを進めている。
要望
厳しい財政状況を考えると、市民との協働も含めて、例えばコミュニティバスの再編や、デマンドバスの見直しなど、幅広な検討を行う必要がある。全国の様々な先進事例も参考にしながら、デマンドバスに固執せずに北本市の公共交通や移動支援のあり方について、部を越えて検討していただきたい。