◆新型コロナウイルス対策に関する緊急質問(令和2年第1回定例会)

令和2年第1回定例会における緊急質問(3月2日)

臨時休校について

1.臨時休校を決定した経緯について

2月27日に安倍総理は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、3月2日から全国の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校を臨時休校とするよう要請したと発表。これを受けて本市でも、3月2日から春休みまでの間、全ての小学校、中学校を臨時休校とすることを28日に決定した。

休校とする理由について、子どもたちに決して感染を広げないとの思いから判断したと市長メッセージを発表しているが、一方で学童保育室は開室する。令和2年2月28日付の文部科学事務次官通知では、臨時休業の期間や形態については地域や学校の実情を踏まえ、各学校の設置者において判断いただくことを妨げるものではないとされている。

実際に群馬県の太田市では小学校は休校とせず、茨城県のつくば市においては休校とするものの登校を認め、給食についても希望者には用意するとしている。

本市では、学校を休校し学童保育室が開室されるが、学校と比較して格段に狭い学童保育室で保育を行うことは、万が一、感染者が登室をしていた場合、多くの児童、支援員が濃厚接触者となり集団感染、いわゆるクラスターが発生する危険性が高くなる。

様々な影響、リスクを検討の上、休校を決定したと思うが、具体的にどのような検討を行ったのか。

答弁(清水教育長)

1月31日に第1回の新型コロナウイルス対策会議が本市で開かれた。それを受け、各連絡調整会議も実施し、教育委員会として臨時庁議の決定や教育委員会の中での部会での会議、さらには臨時の校長会等を通じて情報を共有し、また近隣の市町村の教育委員会との情報交換を行い、決定した。

総理大臣の急な発表があってできる限りの対応をした。なお、市長から、この臨時休校は子どもたちに決して感染を広げないとの思いから判断したと、保護者の皆様、児童・生徒の皆様へメッセージも付け加えている。

答弁(原口教育部長)

1月31日の第1回の対策会議から様々な検討を重ねてまいりました。この時には休校まで想像できなかったが、その後、刻々と被害が広がっていく中、2月19日の臨時庁議において「リスク回避を第一にする」という市の方針が示され、①不特定多数の者が参加するもの、②屋内で行うもの、③今やらなければならないものであるかどうか、そういう3つの観点から2月24日のデーノタメのシンポジウムの延期を決定した。

2月21日に卒業式について、感染を予防する観点から対策をしなければならないということで、庁議でも検討をして、挨拶をできうる限り短くする等々の対応を進めていきました。

さらに、安倍総理がメッセージを発した2月27日の夕方も、庁議でさらなる検討を進めていたのですが、とにかくこのコロナウイルスの状況が大変分かりにくく、潜伏期間がとても長く、陰性の判定が出た人が陽性になるなど、今まで経験したものや予想しうるものを越えていました。

そういう中で、今は子どもたちにかかりにくいとか重症化しにくいと言われているものが変異したり、本市の高齢化率を考えたときには、大変リスクが高い高齢者への感染を防止することが大変重要ではないかと考えていました。

総理からの休校要請がこんなに早いとは思わなかったが、実はそれよりも数日前に市内の小中学校に、もしかしたら臨時の休校があるかもしれないから、子どもたちに家庭内で学習できるような教材を準備しておくようにという指示をしていました。

しかし、指示をしてすぐに安倍総理から3月3日からの臨時休校を要請するという報道がありましたので、その日の7時過ぎに市内の校長会長また中学校長会の代表に来てもらって検討しました。

翌日28日金曜日だけでは学校の準備も子どもたちに対する指導も十分できないということで、3月2日午前中は登校日としています。この中で休み期間中の生活や学習のことなど、できうる限りの説明を学校のほうで行うよう指示をしています。卒業式に関しては人数を絞り、在校生等の出席をしない上で、卒業生、保護者、教職員で行います。修了式の日は、午前中2時間の登校としております。

28日に配布した保護者への通知の7番目で、新型コロナウイルス感染症の今後の状況によって対応を変更させていただく場合があります、その際はまた連絡しますと、この一、二週間の間が分水嶺と言われていますので、できる限りの対応をした上で、今後状況が変わった場合にはそれに対応していきたいと考えております。

再質問

答弁を聞く限り、国や県から休校せよという要請があったから応じたと受け取った。国からの通知でも、地域や学校の実情を踏まえて各学校の設置者において判断を頂くことを妨げるものではないと言っている。市としてどういったリスク分析をして、判断をしたのか改めて伺う。

答弁(清水教育長)

2月28日の文科省通知は市が休校を決定した後に来た。その前に総理が全ての小中高、特別支援学校などについて臨時休校とするように要請するということで、本市でも考えました。先ほど申し上げましたが、本市では子どもたちに決して感染を広げないという思いから判断しました。

再質問

休校に伴い給食も停止された。しかし、夏休みなど長期休業中には十分に栄養のある食事が取れない子がいるように、今回の休校期間中もそうしたリスクが懸念される。また、給食用の食材が余ると困る業者もいる。希望者に給食を提供することも検討されたか。

答弁(原口教育部長)

学校に来る子が何人になるか分からないため、食材をどの程度発注すればいいか見込めない。また、人数が減れば、スケールメリットで食材が安くなることがないので、単価がいくらになるかも見込めない。調理員の家族の監護による休業等も考えられることから、現時点では給食の提供を見合わせた。

2.休校中の児童・生徒の状況確認について

小学校高学年の児童や学童保育を利用していない多くの児童は自宅で過ごすことになる。しかし、保護者が必ずしも家にいるとも限らず、1か月以上にわたる休校の間、十分に栄養が取れているか、発熱やせき等の症状が出ていないかなど、児童・生徒の体調や生活状況を確認することが難しくなることが懸念をされる。子どもへの感染拡大を徹底的に防ぐためには休校だけでは不十分で、休校中の児童・生徒の状況についても、セルフチェックを徹底させることや家庭訪問をするなどにより、定期的に確認をする必要があると考えるがいかがか。

答弁(原口教育部長)

休校中の子どもたちの状況確認について、電話をするのはもちろんですが、家庭訪問という案もありました。しかし、SARSのときに、教員による家庭訪問は感染拡大の危険性があるということがありましたので、一律ではなく、教員が電話した中で、特に心配な場合には、感染に気をつけて家庭訪問を行うことを考えています。

再質問

学童保育室を利用していない児童について、学年にかかわらず自宅で1人で過ごすことが難しい児童について、児童本人や御家族の方が自宅でいることが不安という場合には、学校で受け入れても構わないのではないかと思うがいかがか。

答弁(原口教育部長)

学年にこだわらず受け入れる検討もしたが、多くの子どもたちが集まる環境をなくすことが第一だったので、来ていいよと言いたい気持ちはあるが、それによって臨時休業が無意味になってしまう懸念があり、できる限り集団にならないような形にした。

再質問

文部科学省が2月28日に発出した一斉臨時休校に関するQ&Aでは、学童保育の人的体制を確保する観点から、学校の教師が子どもたちの支援に関する専門家として、各教育委員会の職務命令に基づいて放課後児童クラブ、学童保育ですね、こちらの業務に携わることは可能としている。本市では、教育委員会から学童保育の業務に携わるよう業務命令を行うことは検討しているか。

答弁(原口教育部長)

学童保育で長い時間やってもらうことになったが、人が足りなくなることも予想されたので、こども課にはもし人が足りないようであれば、今、学校で授業等のサポートに入っている支援員にも声をかけます。文科省から学校の職員を活用しても構わないという通知がありましたので、人が不足するようであればできる限り協力したい。

学童保育室の開室について

1.学童保育室の運営について

小学校の休校措置に当たり、学童保育室は学童保育室の利用者を対象として協力保育という形で朝8時から開室をすると伺っている。開室時間は8時から19時まで11時間にも及ぶことになり、支援員の増員が必要になるかと思う。平常時でも支援員の確保が大変難しい状況にある中で、休校中の学生や感染した場合の重症化リスクの高い高齢者を雇用することは難しく、必要な支援員の確保は極めて困難なのではないかと考える。学童保育室の指定管理者が支援員の求人を出す場合には、市としても何らかの形で協力すべきと考えるがいかがか。

また、人件費を含め運営費の不足が見込まれる。国からは1日当たり1万200円を追加で交付するという通知が出ているようだが、果たしてこれで足りるのか。加えて令和元年度予算として執行する必要があると思うが、予算上の手当てはどのように考えているか。

答弁(三橋福祉部長)

春休みと同じ体制としましたが、本当に緊急な措置で、指定管理者でも人員確保に不安があるような話も聞いています。現在のところ非常に困っているという話は聞いていないが、今後不足するようなことあれば、市としても当然協力をさせていただきたい。また、予算上の手当てについては、人員、費用とも増えると考えている。今後かかった費用について適切に計上していただき、契約を結び直して、議会中に間に合えば補正、また必要に応じて流用で対応していかなければならないと考えております。

2.学童保育室における感染予防対策について

本市の学童保育室は大規模化をしており、大変人口密度が高い状態で保育を行っている。万が一にも学童保育室を利用する児童、保護者、支援員に感染者がいた場合、集団感染が発生する可能性が高くなる。これでは学校を休校にする意味がない。学童保育室においては、どのように感染予防を行うのか、また、万が一にも学童保育室において感染者や感染が疑われる者が発生した場合には、どのように対処をしようと考えているのか

答弁(三橋福祉部長)

お子さんをお預かりするときには中に入らずテラスで子どもの受渡しを行う。また、入室の際にはアルコールで手、指の消毒をしっかり行っていただく。また、登室時に必ず検温を行って、平熱より体温が大分高い場合であって、発熱など風邪のような症状が見られた場合には、保護者の方に連絡を取らせていただいて至急迎えに来ていただく。マスクを着用できる方についてはしていただくようにお願いをしていくと聞いています。感染者や感染が疑われる者が発生した場合の対応ですが、児童や学童の職員が感染した場合には適切な処置をしていただくとともに、学童については閉鎖をしていかざるを得ないと考えています。

再質問

普段、学童保育室を利用している低学年であっても、まずは学校で受け入れて、通常どおり放課後の時間帯だけを学童が受け入れるということにした方が、感染リスク、運営コストを抑えられるのではないか。なぜ午前中から学童保育室を開室することとしたのか。

答弁(三橋福祉部長)

必要最小限の児童は学校で一時預かりすると教育委員会で決定をしたことを受け、庁議でも学童も含めて休むべきでという議論はありました。しかしながら、子どもを預けて働かなければならない方や、職業によって働かないと社会がうまく回っていかないような状況もあり、やはり福祉をやめるわけにはいかないという判断で、学童保育室を開室させていただくと決めました。午後からでは意味がないので、指定管理者にお願いをして午前から開けていただく決定をしたところです。

再質問

パート、アルバイトの方など、保護者の中でも突然仕事がなくなってしまった方もいるのではないかと思う。一方で学童保育室や学校を開いているものの、集団での生活が望ましくないと考える方もいると思う。これを機会に、ファミリーサポートセンターの制度を改めて周知して、積極的に活用していくことを検討すべきと思うがいかがか。

答弁(三橋福祉部長)

非常事態のときにはファミサポが有効ですが、ファミサポを受けている方は高齢者が多く、感染や重症化のリスクが高まるため、現在はファミサポの活動を一時やめています。今回のようなケース以外にも活用が有効な場合があると思いますので、広報等通じて周知をして積極的に活用してもらうように努めてまいりたいと考えております。

再々質問

学校が子どもたちへの感染を防がなくてはいけないと強い決意をもって休校にしたのはわかったが、学校を休めば学童保育室を使わざるを得ない、あるいは子どもが家で留守番をせざるを得ない。それは子どもの感染拡大防止につながっているのか。どうやったら子どもへの感染を防ぐことができるのかということを、改めて全庁でご検討いただきたい。

答弁(三宮市長)

現場主義にのっとってしっかり当たらせたい。先般は教室開放についても検討した。必要であればそういう措置もさせていただきたい。