◆一般質問 校則について ~細かすぎる校則を見直そう!~

動画による解説

 

質問の趣旨

市立中学校の校則は細かいという印象はありましたが、取り寄せて調べてみると本当に細かく、目的や理由が分からないものが多々ありました。また、校則に基づく画一的な指導について、保護者の方からご指摘をいただきました。県外では、校則の見直しに関する議論も進んでいます。本市における校則についての考え方や見直しの意向について伺いました。

質問と答弁の要旨

世田谷区桜丘中学校の校則は、1「礼儀を大切にする」、2「出会いを大切にする」、3「自分を大切にする」の3つだけ。それに対し北本中学校の校則はA4版で5頁にも及ぶ。内容も非常に細かい。校則を定める意義は?

(参考)世田谷区立桜丘中学校ホームページ

(参考)北本市立各中学校の校則 北本中学校東中学校西中学校宮内中学校

校則は、全ての児童生徒が健全な学校生活を営み、よりよく成長・発達していくために、各学校の責任と判断の下、定められている一定の決まりです。学校が教育目的を達成するために、児童生徒が主体的にどう行動すべきか、という行動上の基準を具体的に示すものであり、教育的意義を有するものでもあります。児童生徒を取り締まる規則として捉えられがちですが、特に中学生にとっては、子どもが大人へと成長する過渡期に自らを律する内的規範を見失いがちになるため、また、人格の完成を目指すという学校教育の目的を達成するために、生徒の生活に密着した行動上の基準を与えるという点において、重要な意義を持つと考えます。

北本市では令和2年11月からパートナーシップ宣誓制度が導入され、多様な性的指向・性自認を積極的に認めていこうとしている中、性別のみによって服装や頭髪を規定することは適切か

『生徒指導提要』に「学校を取り巻く社会環境や児童生徒の状況は変化するため、校則の内容は、児童生徒の実情、保護者の考え方、地域の状況、社会の常識、時代の進展などを踏まえたものになっているか、絶えず積極的に見直さなければならない。」と記述されてあるとおり、時代の進展等を踏まえてより適切なものとなるように配慮していく必要があると考えます。なお一層、児童生徒の人権に配慮し、一人一人を大切にする教育の推進に努めていくとともに、校則が教育的配慮のもと運用されるよう今後も各学校に指導してまいりたい。

(参考)校則の見直し(出典:『生徒指導提要』H22.3文部科学省)

(桜井意見)今の校則は性別によって服装・頭髪が規定されており、この校則のもとで運用してもダメ。長崎市ではスラックスを選択できるようにするという報道があった。北本市でもきちんと見直していただきたい。

どの学校も整髪料の使用や眉毛を整えることを禁止している。髪質の関係上、整髪料をつけないとまとまらないとか、眉毛の形がコンプレックスになっている生徒もいるのではないか。一律に禁止せず、柔軟に対応するべきでは?

『生徒指導提要』を受け、市内各小・中学校に一人一人の児童生徒に応じて適切な指導を行うよう指導・支援をしています。校則は、学校における他の教育活動と同様、教育上の生徒指導の必要性と妥当性とによって、具体的な状況における対処の合理性が判断されると考えます。各学校においても、特に髪型や身体上な配慮が必要な児童生徒に対して、教育上の必要性と妥当性という観点のもと、生徒の指導に当たるよう指導しています。

教育上の生徒指導の必要性と妥当性とは?

生徒指導の「必要性」とは、社会の中で自分らしく生きることができる大人へと児童生徒が育つように、その成長発達を促したり支えたりする意図でなされる働きかけのこと。また「妥当性」とは、これまで学校が児童生徒を指導する中で、様々な生徒指導の局面で試行錯誤しながら対応して積み重ねてきたもの。学校が児童生徒を成長させるための教育を行う場、自律した人間として社会に出るための準備をする場である以上、社会の中で扱われる法・規則の存在、それに基づく行動について児童生徒に考えさせることは教育上の必要性と妥当性があると言えます。ただ、髪型や身体上のことで悩んでいる児童生徒には特に配慮するとともに、市内各小中学校の一人一人の児童生徒に応じた適切な指導を行うよう、引き続き各学校に指導してまいります。

体罰に至らなくとも、度重なる注意、強い口調での指導、保護者の呼び出しなどから、生徒が自殺に追い込まれる「指導死」が全国で発生している。学校教育法第11条は体罰を禁止しているが、懲戒は認めている。懲戒を行う場合の手続き、手法、報告等のルールは定められているか。

(参考)懲戒に関する手続き(出典:『生徒指導提要』H22.3文部科学省)

各中学校において、指導手順や内容、保護者や関係諸機関への連絡・相談等の生徒指導手順を整えています。教員間で生徒指導の共通理解を図り、教員が組織的に児童生徒に適切な指導を行うために必要なものと考えています。校長会等を通じ、行き過ぎた指導等の教員による不祥事を取り上げ、周知するとともに、全体の奉仕者として児童生徒の成長に関わる使命感を全教職員が持つよう繰り返し指導しています。

佐賀県弁護士会は2020年10月30日に提言を行っており、非常に納得ができる内容になっている。こうした提言を参考に、本市においても見直しを行うべきではないか。

(参考)中学校校則の見直しに関する提言佐賀県弁護士会ホームページ

各学校では、生徒会執行部が中心となり、生活の決まりや委員会の在り方等について討議し、生徒総会等で確認する機会を設ける等、指導の工夫を図っています。「子どもの権利条約」も踏まえながら、なお一層、児童生徒の人権に配慮し、一人一人を大切にする教育の推進に努めていくとともに、生徒自身が主体的に考える機会を設けることで、校則を自分たちのものとして自主的に守っていこうとする態度が養われるよう各学校に指導してまいりたい。佐賀県弁護士会の提言や、他市町村の取組等を参考にしながら、一人一人の児童生徒に応じて適切な指導を行うよう市内各小中学校に指導するとともに、校則の見直しも含め本教育委員会でも研究を重ねてまいります。