◆一般質問 学童保育事業における保育の質の確保について

私が議員になって最初の定例会(令和元年第2回定例会)で「学童保育室の保育の質の確保について」取り上げましたが、その後も過密状態が解消されていません。令和3年度の利用児童数が再び増加することが判明したことから、保育環境の改善を促すために再びこの問題を取り上げました。

要旨1 令和3年度の利用児童数の見込みについて。

令和3年度の利用児童数の見込みは。

令和3年度の学童保育室利用者は、現時点で700人の申込み。前年度4月時点から47人、約7%増加する見込み。小学生の児童数が、5年間で約2割減少しているが、学童保育室利用者は、平成25年度から平成29年度までの5年間で1.5倍に増加した。この直近3年間はほぼ横ばい傾向を示していたが令和3年度は再び申込者が増加する状況。
学童保育室ごとに分析すると、前年4月の登録者数との比較で、東学童保育室は4人増で84人、西学童保育室は15人増で169人、南学童保育室は20人増で97人、北学童保育室は6人増で95人、石戸学童保育室は5人増で67人、栄学童保育室は8人減で10人、中丸東学童保育室は2人増で44人、中丸学童保育室は3人増で134人となる見込みで、特に西学童保育室と南学童保育室は、前年度から登録者が大きく増加する見込み。

令和2年3月に第2期子ども・子育て支援事業計画を策定しているが、当該計画での利用児童数の見込みと、計画による見込みと実際の入室予定者数の乖離の状況は。

利用者の将来見込みは、令和元年度に第2期北本市子ども・子育て支援事業計画を策定する際に、市内の小学生児童がいる1,000世帯を任意で抽出して、利用規模に関するアンケート調査を行い、ここで算出された利用規模割合に将来の推計児童数を掛け合わせる形で、学童保育室の量の見込みを算出している。計画では、将来見込みとして、令和2年度は646人、令和3年度は633人、令和4年度は613人と、それぞれ想定をしていた。令和3年度は計画の数値と70人近い乖離が生じる可能性がある。
計画と実際の利用者に乖離が生じている理由は、本市の中でも特に西学童と南学童の利用希望者が増えているが、必ずしも西小学校と南小学校の児童数の変動とは相関関係がなく、新たに都市開発のあった一部の地域の中で共働きの家庭が増え、学童保育室のニーズが増加してきているのではないかと考えている。

要旨2 支援の単位の適正化に向けた取組について

北本市では、平成26年9月に放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定める条例を制定した。この条例の第10条第4項において「一の支援の単位における児童の数は、おおむね40人以下とする。」と定めているが、実際には40人を上回っている学童保育室がある。支援の単位の改善に向けたこれまでの取組と現在の状況、また今後の改善の取組について伺う。

令和2年4月から支援単位の人数が多かった中丸学童と西学童で、それぞれ支援単位を分割した。中丸学童については、それまで分室として使っていた校舎給食棟の教室内に新たな支援単位を設け、西学童保育室については、施設を増加させずに保育室内に支援員を増員する形で、新たな支援単位を設けることとした。それに併せて令和2年4月から指定管理者に対する指定管理料を前年度比で約20%、金額で約2,500万円増額し、支援単位ごとに適切な支援員や設備を配置できるよう予算措置した。
現在の状況は、令和3年1月末時点で、支援単位の人数が40人を超えている学童保育室は4か所。特に、西学童と南学童は令和3年度の申込者数が増加しており、児童1人当たりの専用区画面積の確保についても、基準を満たすことが難しい見込みとなってきている。
施設の適正規模以上に利用人数が増えると、支援単位の分割だけではかえって配置する支援員の人数が増えて混雑状況を悪化させることとなるため、まずは混雑状況の解消について担当課で学童保育室の指定管理者とも協議しながら、対応策の検討を進めている。
また本市としても、この問題は早急に改善すべき課題として認識しており、今月1日に副市長をトップに担当部課長で情報を共有し、課題解決に向けた対応策を現在協議している。いずれにしても、4月の児童数を確認した上で、適正規模を大きく超える学童は、早急に対応してまいりたい。

これは、県内の各市町村の学童保育に関する県の調査結果から、設備運営の基準を満たしている学童数について、平成28年度から令和元年度までの推移を表にしたもの。
この表の4年間を見ていただくと、北本市においては変わっていないが、桶川市と鴻巣市では大幅に改善している。県内の市の合計で見ても、全体的に改善が進んでいることが分かる。
北本市は子育て日本一を目指しているが、学童保育室の環境の改善という点では、周りの自治体の流れから取り残されていることをしっかりと理解していただきたい。この県の調査について、令和2年度の北本市の状況は。

本市の令和2年度の支援単位数は13。中丸学童と西学童の2か所が増えたが、児童館の学童保育室がゼロとなり減少したため、差し引きで1か所増となった。40人以下の支援単位数は、3か所とで昨年度と同じ。児童1人当たりの専用区画面積1.65㎡以上を満たすクラブ数は4か所で1か所減。減少は児童館の学童保育室がなくなったため。

昨年は新型コロナウイルスの感染症が流行し、小学校は休校になったが、その間も学童保育室には時間を延長して運営を続けていただいた。感染拡大防止の観点からも、今まで以上に迅速に密の状況を改善しなければいけない。
取り急ぎ、学童保育室における生活の時間が長くなる夏休みまでに、密の状態が解消できるように、指定管理者ともしっかり協議をして取り組んでいただきたいと思います。
桶川市や鴻巣市では、民間による学童保育室の設置も進んでいるが、本市では民間による学童保育室の設置の検討はされているか。

これまで本市では、小学校の敷地内、もしくは、隣接地等において市が学童保育室を建設して、管理運営は民間が行う、いわゆる公設民営形式によって学童保育室を運営してきた。利用する児童にとっては、下校から学童保育室までの移動が短時間で済み、安全かつ便利に利用いただいている。
近隣他市では、民間が学童保育室を建設し、児童の送迎等も含めて運営は全て民間が行う、いわゆる民設民営形式の学童保育室が設置されており、鴻巣市では5つの支援単位が、桶川市でも5つの支援単位が民設民営形式で運営されている状況。
本市でも増加傾向にある学童保育室のニーズに対応するため、現在担当課で今後の学童保育室の対応策を検討しているが、その中には民設民営形式の学童保育室についても含まれている。
民設民営形式で学童保育室を行う場合、一般的には委託する事業者を募集し、選定された事業者は、所有もしくは、賃貸している物件を改修して、学童保育室ができるような体制を整える必要があるため、事業の開始までにはある程度期間が必要となる。取り急ぎの改善策というより、中長期的な改善策として有効な方法である。
先行して実施している自治体の状況等も伺いながら、メリット、デメリット等についても検証し、優れている手法は取り入れ、学童保育室の環境改善に努める。

民設を含めてしっかりと検討し、解消をしていただきたい。その際に特に注意していただきたいのは、この事業は放課後児童健全育成事業であって、学校が終わって家に帰るまでの子どもたちの居場所であり、生活の場。単に安全を見守っていればいいという事業ではない。子どもたち同士の関係性や、子どもたちと支援員さんたちの関係性があってこそ。単に場所を移して対処するということではなく、それによって児童たちの生活や心情がどう変化するかというところまで気を配っていただいて、適切な対策を講じていただくことを切に願う。