◆一般質問 学童保育室の過密解消策について

令和3年12月定例会における一般質問の概要

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参考資料(議場で配布したもの)

要旨1 民設民営放課後児童クラブの開設に向けて

学童保育室における過密解消策について、令和3年9月定例会で、民設民営学童保育室を設置するための補正予算が計上されたことは評価できるが、その募集要項は疑問の残るものだった。募集の状況や募集要項の内容について伺う。

ア:募集の状況について伺います。

令和3年度の登録児童数の増加に伴い、実際に利用する児童数が施設の適正規模を上回ると見込まれる南小学校区と西小学校区で募集を行い、南小学校区に1者、西小学校区に2者の応募があった。

イ:募集要項における施設整備に係る補助金の上限を160万円とした根拠について。

平成28年7月20日付の内閣総理大臣通知、子ども・子育て支援交付金の放課後子ども環境整備事業の金額に準拠している。礼金及び賃借料を含めた開設に必要な準備経費を補助するものである。

国の実施要綱を見ると160万円というのは「放課後児童クラブ環境改善事業」の上限額。民家、アパートなど既存施設の改修を行った上、必要に応じ設備整備・修繕及び備品の購入を行う事業として、「放課後児童クラブ設置促進事業」があり、こちらは上限額が1,200万から1,260万円。改修もせずに、設備だけ入れれば学童保育事業が実施できる都合のいい物件は少なく、改修、リフォームを行う補助金として設置するべきだったのではないか。なぜ「放課後児童クラブ設置促進事業」の上限額を採用しなかったのか。

庁内で検討したが、財政状況等も勘案し、今回は160万円の補助金ということで設定した。

(意見)議案調査では国庫補助の上限は160万円と説明された。他のメニューがあるが財政上の都合で採用しなかったのであれば、それも含めて説明すべき。

ウ:募集要項では利用料金を市の学童保育室の利用料金と同等の水準とすることが望ましいとしているが、市の学童は当該児童の属する世帯の所得額の状況に応じて月額1万円を超えない範囲において規則で定める額としている。北本市の学童の利用料金は県平均や近隣市と比較しても安い。市の学童は保護者からの利用料金のほかに市から指定管理料が投入されているから運営ができているが、公設と同じ利用料金で持続的な運営が可能とお考えか

民営放課後児童クラブの運営に当たり、現行の本市の学童保育料金を参考にしていただいている。事業者募集の際には、民営放課後児童クラブの施設の規模や特別活動等の徴収を含めて費用を算出していただき、運営計画を御提案いただいている。市としては、提出された収支予算計画や将来を見越した運営計画を審査し、選考を行っているところである。

エ:募集要項で、少なくとも5年以上継続することとした理由について。

小学生を対象とした低学年から高学年までの児童の一定程度の利用の安定を図る必要から提示したものである。また、新設の放課後児童クラブの運営上の安定が見込める期間としても5年が適当である。

(意見)最低5年の事業継続を求めるならば、市としても、その間、国が用意している交付金を漏れなく活用できるようにしっかりと予算を確保していただきたい。

オ:市の学童では世帯所得に応じた利用料金となっているが、民設学童利用者で低所得者への利用料金の補助はあるか。

新たに開設する民設放課後児童クラブでは、一定の利用料を見込んでの運営になりますので、利用者には民設民営放課後児童クラブが設定する利用料をお支払いいただくことになる。低所得者への利用料金の補助については、手続等を含め、現在検討している。

低所得者への利用料金の補助について、現状、市の学童ではどのような扱いになっているか。

低所得者の方は減免の措置を取らせていただいている。民設学童の利用料金については、現在、その仕組み、在り方につきましても検討を進めている。

(意見)公設と民設とで利用者の不利益が生じないように、しっかり均衡を図っていただきたい。

カ:国の実施要綱では通常の運営費の補助のほかに、支援員の処遇を改善するための補助制度があり市の学童でもこの処遇改善の補助金を活用しているが、募集要項においてこの補助金の記載がない理由は。

民設放課後児童クラブ実施事業者の公募に当たり、運営に係る補助金は国・県の交付金基準基づき交付することを予定している。その内容は、子ども・子育て支援交付金における放課後児童健全育成事業の基本額、開所日数加算、長時間開所加算のほか、送迎支援、賃借料補助、埼玉県の運営費加算を対象としており、全ての補助メニューを対象としているものではない。応募に当たっては、この条件を踏まえた中で申請いただくこととしている。

北本市は、平成27年度から政策的な理由で学童保育の利用料金が引き下げられている。もともと学童保育の利用料は、基本的な部分は事業費のうちの半分が保護者負担、残りの半分を国と県と市それぞれが3分の1ずつ負担する。ただ、これでは処遇改善、質の向上が図れないため、処遇改善費として、これは保護者負担がない形で国・県・市が3分の1ずつ負担する処遇改善費を乗せている。ところが、今回民設学童については、この処遇改善、質の改善を図る部分がない。なおかつ利用料金も政策的にかなり引き下げられている。これで民設学童を運営しなさいというのはあまりに酷。本当にこれで持続可能な運営ができるのか。質が担保されるのか。

処遇改善の補助金についても庁内で検討し、多々ある補助金のメニューの中から基本的と思われる補助メニューを採用した。今回、それぞれの小学校区で事業者の方から提案、応募があったが、今後、もし万が一不都合等が生じるような状況があれば、事業者の方等とも協議検討してまいりたい。

(意見)運営費についての補助金は来年度の当初予算の中でまたしっかりと審査をさせていただく。一番大事なことは、保育の質を確保することなので、予算をしっかりと確保していただきたい。

要旨2 民設民営放課後児童クラブへの利用者の誘導について

北本市放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定める条例において、その専用区画の面積は、児童1人につきおおむね1.65平方メートル、1つの支援の単位はおおむね40人以下としているが、県の調査では、面積基準を満たしているのは13学童のうち4つ、40人以下なのは13学童中3つ。

ア:市が条例の基準を満たすためには、市の公設の今の学童が基準を満たすようになるためには、一体どのくらいの利用者が民設のほうに流れなければいけないのか。

具体的な移行利用人数は設定していないが、募集要項では新設の学童保育室の人数は40人程度としている。民設民営放課後児童クラブはあくまでも利用者の希望に合わせた利用と考えているので、児童の誘導、移籍措置等は考えていない。

イ:どのようにしてそれでは市の学童から民設の学童保育へ誘導しようとしているのか。

利用者の希望状況にもよるが、現在の西小学校区、南小学校区の登録人数は増加しており、実際の利用児童数の増加も見込まれる。施設の適正規模を超えるなど御希望に沿えない状況が起こることも想定されるので、その際には各事業所の受入れについて意見を頂戴しながら、利用者の方々に混乱を招かないよう助言、指導、また協議してまいりたい。

市の学童保育室が過密状態にあるのは、一体誰の責任か。

空き教室等の活用等も今まで進めてきたが、追いつかないような状況もあり、今回西小学校区と南小学校区で民設民営の事業を開始することとした。市としても反省してまいりたい。民設学童がスムーズに運営が行くように進めてまいりたい。

指定管理者は運営は預かってはいるが、新しく施設を造ることはできない。これまで民設を市として認めてこなかった。市の条例では、学童保育室ごとに定員を定めていない。基本的に希望があれば全員が利用できるため、過密状態になっている。これは明確に市の責任である。市では民設学童への誘導策をしないとのことだが、良いか悪いかということは別として、公設学童に定員を設ければ必然的に民設学童に流れる。定員の設定は考えているか。

現在のところ定員の設定は検討していないが、今後一つの方策として検討を進めてまいりたい。

(意見)定員の設定は本当に難しい。これまで希望者はできるだけ利用してもらおうと学童保育室でも取り組んできた。北本市としての大きなセールスポイントだった。公設の方は校庭を使えるとか、学校からすぐ安全に移動できるとか、本当に利点が多い。そうした中で、民設のほうを選択してもらうのは簡単ではない。ましてそれを市場原理で、事業者任せでお願いするのは本当に難しい。児童福祉法では、市町村は、市町村以外の事業所と連携をしてこの放課後児童健全育成事業の利用の促進に努めなければならないとしている。指定管理者や事業者任せにしないように、市が責任を持って子どもたちの放課後の生活の場の環境改善を図っていただきたい。