北本市の学校給食費無償化は縮小か?

三宮市長が公約に掲げていた「小・中学校給食費の完全無償化」。令和5年度は国の交付金を活用して実現しましたが、令和6年度の先行きは不透明となってきました。

令和5年12月定例会に提案された、令和5年度北本市一般会計補正予算(第8号)には、小学校・中学校給食費負担軽減事業(市外就学分含む)が計上されましたが、その内容は、中学生については無償化を継続するものの、小学生については物価上昇相当分(給食費の15%分)のみに縮小されました。

令和5年4月の北本市長選挙の選挙公報

補正予算に計上された予算の内容

小学校給食費負担軽減事業(市外就学分含む)2,065万7千円
月額4,500円の物価上昇分(15%・675円)を補助
675円×11か月×2,782人=20,656,350円
この他に郵便料として38千円を計上

中学校給食費負担軽減事業(市外就学分含む)9,827万6千円
月額5,200円と物価上昇分(15%・780円)を補助
(5,200円+780円)×11か月×1,494人=98,275,320円
この他に郵便料として39千円を計上。

小学生の給食費無償化が予算化されなかった理由

令和5年度の給食費無償化は、国の交付金を活用して実現したものです。令和5年3月定例会では令和4年度の交付金を活用して6か月分のみが予算計上され、その後令和5年度にも国から交付金が交付されたため、これを活用して残り5か月分を予算計上しました。

今回、国において補正予算が可決され、令和5年度に重点支援交付金が交付されることが決まりましたが、交付見込額は前年度を大きく下回りました。示された額では、令和6年度の小・中学校給食費を完全無償化することができない(不足する)ため、中学生のみを完全無償化し、小学生については物価上昇相当分のみを無償化することとなりました。

なお、無償化を縮小しても国からの交付金だけでは足りないため、市の一般財源1,124万8千円も使います。

小学生の完全無償化継続の可能性は?

小・中学校給食費完全無償化は、令和6年度当初予算の要求段階では継続する前提で、2億5,532万4千円が計上されていました。しかし、予算要求段階で約34億円の財源不足となったことから、予算審査の中で慎重に検討を行っているようです。

北本市ではふるさと納税寄附額が毎年度増加を続けていますし、令和6年度からは下水道使用料や国民健康保険税の引上げなども予定されており、市民に負担の増加を求める一方で、国からの交付金が不足することを理由に無償化を縮小することは、市民の理解が得られるものではありません。

今議会の議案質疑で小学校給食費の無償化継続の意向を確認しましたが、令和6年度予算編成の中で検討していくという答弁にとどまっています。国からの交付金が示されなければ無償化を終了するつもりなのではないかと、心配しています。

補正予算には賛成も完全無償化を強く求める

小・中学校給食費負担軽減事業を含む補正予算案には、他にも低所得世帯への給付金や給与改定に伴う職員人件費の増額など、必要不可欠な予算が含まれていたため、否決することができませんでした。

また、予算の増額修正については、市長の予算の提出の権限を侵さない範囲でしか認められておらず(地方自治法第97条第2項)、1億円を超える増額修正は市長の権限を侵す恐れがあることから、すべきでないと判断しました。

そこで、討論において完全無償化の継続を強く求め、補正予算には賛成しました。次の定例会で、令和6年度当初予算として計上されることを願っています。