北本市 令和4年度当初予算の説明

北本市令和4年度当初予算のあらまし
https://www.city.kitamoto.lg.jp/shisei/unei/2/3/13650.html

令和4年2月定例記者会見(新規事業など)
https://www.city.kitamoto.lg.jp/shisei/koho/koho/4/13612.html

一般会計 議案第2号

予算の修正

令和4年度一般会計当初予算は、議員から修正案(PDF)が提案され、賛成多数(賛成10、反対9)で可決されました。よって、以下の予算額は可決された修正後の予算額となっていますので、ご承知おきください。

修正案については、市民の力の機関紙(PDF)Youtubeの動画で解説しています。

歳入

予算総額は、前年度から8億4,823万2千円(3.9%)増となる223億2,641万円です。増額となった主な要因は、ふるさと納税寄附の増額や新中央保育所整備事業、高齢化の進展に伴う特別会計繰出金等の増です。これから解説していきます。

市税は約4.3億円の増、地方交付税は2億円の増を見込んでいます。

市税は、令和3年度の当初予算において、人口減少、高齢化、新型コロナの影響などにより大幅な減少を見込んでいたものの、実際にはほとんど落ち込まなかったことから、令和4年度は前年度と比較すると大幅増を見込んでいます(実際にはほぼ横ばいのイメージです)。

税収が増えれば地方交付税は減るのが地方財政の仕組みですが、近年は地方交付税の代替財源(下の用語解説を参照)である臨時財政対策債の発行可能額が増加していたところ、令和4年度は令和3年度に引き続き国税収入の増加により地方交付税として措置される額が増える見込みであることから、本市の予算においても、地方交付税が増え、臨時財政対策債が減る(市債全体では534,300千円の減)と見込んでいます。

寄附金については、本市に対するふるさと納税寄附額が増加傾向にあることから、令和4年度も増額(令和3年度の受入額並み)を見込んでいます。

【参考】寄附金の推移
H30決算 196,685千円
R01決算 252,587千円
R02決算 605,206千円
R03最終予算 930,544千円

◆用語解説

 

地方交付税:地方公共団体間の財源の不均衡を調整し、どの地域に住む国民にも一定の行政サービスを提供できるよう財源を保障するもの。財源は、国税(所得税・法人税・酒税・消費税の一定割合と地方法人税の全額)。

 

臨時財政対策債:地方交付税として交付するべき財源が不足した場合に、地方交付税の交付額を減らして、その穴埋めとして、該当する地方公共団体自らに地方債を発行させる制度。形式的には、その自治体が地方債を発行する形式をとるが、償還に要する費用は後年度の地方交付税で措置されるため、実質的には地方交付税の代替財源とみて差し支えない。

歳出

大きく増加しているのは総務費、民生費、衛生費、土木費。反対に、大きく減少しているのは教育費です。これらの主な増減理由について解説します。

総務費:ふるさと納税寄附金の増加に伴い、ふるさと納税業務経費(返礼品費、手数料、ふるさと応援基金積立金)が339,088千円増加したことにより、大幅な増加となりました。

民生費:(仮称)新中央保育所整備事業(617,490千円、前年度比548,187千円増)、特別会計繰出金(後期高齢者医療 28,955千円増、国民健康保険 69,581千円増、介護保険 23,816千円増)、後期高齢者医療広域連合負担金(48,223千円)、障害福祉サービス費(115,131千円増)、生活保護扶助経費(28,573千円増)の増加などにより、大幅な増加となりました。

衛生費:保健衛生総務費の職員人件費(51,486千円増)、埼玉中部環境保全組合負担金(23,005千円増=新ごみ処理施設整備のため)の増加などにより、大幅な増加となりました。

土木費:新規事業として、通学路安全対策事業(56,057千円)、中央緑地公有地化(31,959千円)を実施することとしたほか、南部地域整備基金積立金を前年度から5千万円増額(倍増)したため、大幅な増加となりました。

教育費:西小学校給食室の建替事業(学校給食施設整備事業経費 R3当初 403,709千円)、オリンピック・パラリンピック業務経費(同 63,219千円)などが終了したことにより、大幅な減少となりました。

主な事業の予算額の推移は、下表のとおりです。

市債・基金の残高

市債のうち普通債は、新中央保育所や道路の整備、公園用地の取得などのため、新たに943,100千円を借り入れる予定ですが、令和3年度中に1,250,612千円を償還(返済)するため、残高は307,512千円減少します。

また、市債のうちその他は、臨時財政対策債の起債額が前年度より735,400千円減少し、こちらも償還額を起債額が上回るため、残高は590,064千円減少します。

基金残高は増加傾向にあります。ふるさと納税寄附が増加していることに加え、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により国から交付金が支給されたことや事業の中止・延期が相次いだことで、歳入が歳出を上回る状態が続いています。令和3年度末の財政調整基金の残高が20億円を上回っただけでなく、その他の基金にも積み増しができています。ふるさと応援基金は前年度の寄附額に応じて繰入額(事業への充当額)を決めていますが、例年前年度を大幅に上回る寄附受入があるため、残高は増え続けています。

市債残高は減少し、基金残高は増加しています。北本市の財政状況は比較的健全であると言えると思います。

★コラム

令和4年度当初予算では南部地域整備基金に1億円を積み立てていますが、この基金の使途は具体的に決まっていません。将来的には久保特定土地区画整理事業に優先的に充当されるべきものと考えます。本来は負担と受益を一致させるため、その年度の歳入はその年の歳出に充てられるべきです(年度途中に剰余金が発生する見込みとなって積み立てるなら理解できます)。事実上、使途の自由度が高い財政調整基金から使途が限定される南部地域整備基金への移し替えであり、財政上は全く意味のない予算です。財政上の意味はなくても、政治的には大きな意味を持っているのかもしれませんが…。

令和4年度の主な事業

九都県市合同防災訓練 10,887千円〔新規〕
消防団第一分団ポンプ自動車更新 22,883千円〔新規〕
重層的支援体制整備事業 749千円
(仮称)新中央保育所整備事業 617,490千円〔新規〕
産婦健康診査事業 1,950千円〔新規〕
成人歯科個別検診 2,802千円〔新規〕
住宅リフォーム補助金交付事業 6,000千円〔新規〕
北本中央緑地用地取得 31,959千円〔新規〕
市民緑地1・2号地再生事業 8,059千円〔新規〕
久保特定土地区画整理事業見直し事業 5,698千円〔新規〕
北本駅東口駅前広場の屋根整備事業 15,000千円〔新規〕
通学路安全対策事業 56,057千円〔新規〕
石戸蒲ザクラ国指定100年記念事業 1,030千円〔新規〕
石戸蒲ザクラの育成環境整備 1,868千円〔新規〕
企業版ふるさと納税の実施・促進 1,100千円〔新規〕
シティプロモーション事業 12,110千円

上記事業の記者発表資料(PDF)
R04-2月 定例記者会見資料(新規事業)

特別会計・企業会計

後期高齢者医療特別会計

後期高齢者医療保険料の改定により、保険料収入が増加します。また、被保険者数の増加により、保険料収入と広域連合への納付金が増加します。被保険者数は令和元年度に1万人を超え、令和2年度末が10,563人。令和3年度予算時が11,047人、令和4年度予算時が11,577人を見込んでいます。

久保特定土地区画整理事業特別会計

久保特定土地区画整理事業の予算額は、前年度から28,600千円(5.6%)増です。このうち事業費は9.3%増となっています。久保特定土地区画整理事業と都市計画道路・西仲通線の見直し(計画の変更)が完了するまでは、見直しに影響しない箇所の工事を進めます。事業費が本格的に増加するのは、見直し完了後となる見込みです。

公債費の増加が懸念されるところですが、令和4年度はほぼ前年度並みとなっています。

国民健康保険特別会計

歳入は、令和4年度から国民健康保険税の税率が引き上げられる(こちらで解説しています。)ことで、国民健康保険税が増加します。一方で、税率引上げの影響と新たに未就学児の均等割が5割軽減されることに伴い、一般会計からの繰入金が増加します(一般会計繰入金は69,581千円増)。また、国民健康保険財政調整基金からの繰入金が抑制され(154,475千円減)、基金残高を保ち、国保財政の健全性を維持しています。

歳出は、保険給付費の減少を見込んでいます。令和2年度は新型コロナの影響で受診を控える方が多く、保険給付費が減少しました。このため、積算に当たっては、令和2年度の決算額を除外し、平成29年度から令和元年度までの平均伸び率を使用したとの説明がありました。新型コロナの影響を見込んでもなお、保険給付費は減少傾向にあるということです。

介護保険特別会計

高齢化の進展により保険給付費が増加しています。保険給付費のうち、居宅介護サービス等給付費が10,569千円、施設介護サービス等給付費が152,874千円増加します。介護が必要な人が増えるとともに、市内に特別養護老人ホームが建設され、その利用者が増えることなどから、特に施設介護サービス等給付費が大幅に増加する見通しです。市の財政的な負担は増えますが、介護サービスの向上につながるものと考えます。