令和6年5月19日(日)に桜井すぐるVoter’s Cafe vol.4を開催しました。今回は、能登半島地震の災害ボランティアとしてご活躍されているお二方を招き、能登半島地震の復旧状況やボランティアの活動の現状・課題などについて伺いました。
また、私地震も災害ボランティアとして参加したので、その報告やボランティアの参加方法についてお話ししました。
これらの内容は『きたもとウェルビーイング通信第40号(2024年6月発行)』にも掲載していますが、紙面の都合上詳しく触れることができなかったので、ここで改めて説明します。
能登半島地震の被害状況
石川県における能登半島地震に被害状況は、石川県のホームページに掲載されています。
https://www.pref.ishikawa.lg.jp/saigai/202401jishin-taisakuhonbu.html#higai
被害状況を見ると、死者数や全壊棟数は能登半島北部の市町に集中しています。具体的には、輪島市、珠洲市、能登町、志賀町、穴水町、七尾市の3市3町です。
能登半島地震のその後【復旧状況など】
令和6年5月15日に金沢駅から七尾線で七尾駅まで向かいましたが、羽咋市辺りから瓦屋根の棟の部分がブルーシートで覆われた家屋や倒壊してそのままになった古い建物が見られるようになり、七尾市に近づくにつれて目立って増えていきました。
翌16日はボランティア活動のためにバスで輪島市に向かいましたが、七尾市を過ぎてから倒壊したままの住宅が目立って増え、幹線道路は通行こそ可能になっているもののところどころで凹凸があり、速度を上げて走行するのは危険な状態でした。輪島市に入ると、土砂崩れをした場所が下部に土嚢が置かれただけになっていたり、全壊した住宅や傾いた電柱がそのままになっていたりという状況を目の当たりにしました。火災が発生した輪島市場もそのままの状態です。
一見すると復旧が進んでいないように感じますが、まずは最低限の移動を確保できるよう応急処置を優先して行ったのだと理解しました。全半壊した家屋がそのままになっているのも、一時的な住まいである避難所や仮設住宅の確保をすることが最優先であり、片付けはこれから進められるものと思います。
なお、石川県では『石川県創造的復興プラン』を定め、令和7年度末までの短期、令和10年度末までの中期、令和14年度末までの長期に分け、県成長戦略の目標年次である令和14年度までに復興することを目標に、対策を講じようとしています。復興には相当な時間を要することになりそうです。
石川県令和6年(2024年)能登半島地震復旧・復興本部ホームページ
https://www.pref.ishikawa.lg.jp/kikaku/r6notohantoujishinfukkouhonbu.html
災害ボランティアは足りていないのか?
一部報道では災害ボランティアが足りていないという報道がされています。実際はどうなのでしょうか?
個人の災害ボランティアは1月下旬から活動を始めていますが、石川県は繰り返し「被災地には来ないで」とメッセージを発していたことが、多くの方の記憶に残っていると思います。その後は県が中心となり個人ボランティアの募集を始めました。県が募集をしているため、申し込む方には分かりやすい仕組みになっていますが、1自治体だけが窓口となっているため、処理できる人数にも限りがあります。
県が募集するボランティアは、輪島市輪島地区の場合、1日わずか40人です。しかも1日の活動時間は4時間程度しかありません。私が過去に参加した常総市(水害)や富津市(台風)のボランティアでは、市町村のボランティアセンターに1日100人以上が集まっていました。被災地が都市部から遠く離れており、現地の自治体や社会福祉協議会も被災していたり、宿泊場所も被災していることで、市町村によるボランティア受入れが難しいという事情もあります。
様々な要因により、過去の大地震と比較しても、活動するボランティアの人数が少ないのは事実のようです。北本市民の皆様にも、もし時間とお金に余裕があれば、災害ボランティアへの参加をご検討いただきたいと思います。
現地で必要とされている支援
災害ボランティアの活動というと、がれきなどの片付けが思い浮かぶと思います。しかし、今回のような大地震では全壊・半壊となった建物が多く、一般の人が建物に入って活動するのは危険を伴います。現地では、全壊・半壊した多くの建物がそのまま残されていますが、一般の災害ボランティアでは片付けるのは難しく、私が参加した時も家の外での活動や、壊れていないお宅での活動に限定されました。
全壊・半壊した建物の片づけには重機が不可欠で、一般のボランティアではなく専門業者や災害NPO・NGO、プロボノ(専門的なスキルを活かしたボランティア)といった人たちが行わざるを得ません。国や県の主導により事業者に委託又は依頼をして、片付けを進めるべきものと考えます(その際、貴重品の捜索などで一般ボランティアにも活躍の余地はあると思います)。
また、避難をしている高齢者や障がい者も多く、避難所から自宅に戻ったり仮設住宅に入居した後には、食料の提供などの支援が減り、自立した生活を送ることが求められます。孤立や災害関連死を防ぐためには、福祉的な支援も必要となります。従前の集落全体が同じ仮設住宅に入るとは限らず、仮設住宅では新たなコミュニティが形成されることになります。つながり作りを支援するため、居場所カフェを開くなどの取組がすでに行われているようです。なお、能登町では、在宅避難者へは社会福祉協議会が、仮設住宅入居者には一般社団法人JOCA(青年海外協力協会)が生活支援を行うことになっているとのことです。また、輪島市社会福祉協議会においても、福祉的なボランティアを募集する予定があるとのことでした。
もちろん、引き続き片付けなどのボランティアも必要と思われます。輪島市、珠洲市、能登町では、ボランティアはボラバスで参加する人が多く、集合場所となる金沢駅から遠いため、一日の活動時間は限られます。処理できる件数も少ないうえ、避難所や入院先から自宅に戻る人が増えれば新たなニーズも生まれます。通常の災害ボランティアの募集状況は石川県の災害ボランティアホームページから確認できるので、募集が続いている限りはボランティアが必要とされている思ってください。
災害準備を怠らないようにしよう
「防災」という言葉がありますが、実際には地震を防ぐことはできません。地震が起こることを前提として、準備を徹底し、被害を最小限に防ぐ必要があります。大事なのは『災害準備』です。
北本市は比較的地震が少なく、近隣市と比べても震度が低いことが多いまちですが、大地震が発生する可能性はゼロではありません。北本市の地域防災計画は、発生確率が高い(今後30年以内に70%の確率)と言われている『東京湾北部地震』を想定していますが、震源地が北本市から遠いため北本市での被害は限定的です。一方『関東平野北西縁断層帯地震』は、発生確率は低い(今後30年以内の発生確率はほぼ0%~0.008%)ものの、万が一発生した場合には北本市が被害の中心となり、震度は7、市内で2割以上の住宅が全壊すると予測されています。北本市は安全だからと油断せず、大地震の発生に備えておくことが重要です。
【参考】
平成24・25年度埼玉県地震被害想定調査報告書(本編)
※建物被害の想定は第7章を参照
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0401/higaisoutei/higaisouteihoukoku.html
北本市では大地震への備えとして、家具の固定や備蓄をするよう、ホームページで呼びかけています。食糧や飲料水は3~7日分の備蓄を推奨しています。避難所を確認したり、家族との連絡方法を決めておくことも必要です。
https://www.city.kitamoto.lg.jp/soshiki/shiminkeizai/kurashi/gyomu/g14/1416918740225.html
また、高齢者や障がい者、医療的ケアが必要な方の個別避難計画の策定、避難訓練の実施などを進める必要があります。令和3年には福祉避難所の確保・運営ガイドラインが改定されており、福祉避難所への直接避難の促進(現状では指定避難所に避難してから福祉避難所に避難)も明記されました。本市でも対応が急務です。
災害ボランティア参加方法
最も参加しやすい方法は、石川県の災害ボランティアに登録して、自分の参加したい日時・場所に参加を申し込む方法です。
石川県災害ボランティア情報ホームページ
https://prefvc-ishikawa.jimdofree.com/
まずは『事前登録』を行います。事前登録でメールアドレスを登録すると、募集の都度(ほぼ毎週)メールが届きます。また石川県の災害ボランティアホームページにも、募集情報が掲載されます。
募集は概ね1週間単位です。活動する場所(市町)、支援内容、集合・解散時間などが示されます。参加申込も同じホームページから行います。複数日参加したい場合でも、日にちごとに申し込む必要があります。場所や日付によっては、募集を開始すると1時間以内に定員に達してしまうこともあるようです。
このボランティアには、現地集合型とボラバス型があります。現地集合型はその名のとおり、現地に集合し、活動した後、現地で解散となるものです。下の表は、2024年5月23日時点のものです。ご覧のとおり8:30~9:30に現地に集合する必要があるため、集合場所までの交通機関は自分で確保する必要があります。
ボラバス型は、金沢駅又は輪島ベースキャンプ(能登空港隣接)に集合し、バス(無料)で現地に向かい、活動終了後、再びバスで集合場所まで戻る方法です。下の表は、2024年5月23日時点のものです。金沢駅に早朝に集合する必要があります。
私はボラバス型で輪島市輪島地区の活動に参加しました。6:35集合のため、金沢駅近くに前泊し、活動終了後はその日のうちに新幹線で帰ってきました。3~5日続けて参加する人が多いようで、金沢駅近くのホテルやゲストハウスに連泊する人、県外から自家用車で来て駅近くのコインパーキングに停めて車中泊をしている人などがいました。輪島ベースキャンプは交通不便地にありますが、利用料金は無料なので、連泊する方はベースキャンプの利用を検討するとよいと思います。
下の写真は、ボラバスと輪島市災害たすけあいセンター、輪島市場付近の写真です(2024年5月16日撮影)。今後も時間が許せばボランティアに参加したいと思っています。