容器包装プラスチックを可燃ごみにできないか?

「北本市に転居してきたら分別が細かくなって不便になった。」
「前に住んでいたところでは容器ごみも可燃ごみで出せたのに、北本市ではなぜ分別しなければいけないのか?」

このような声を聴くことがあります。私も20年以上前にはさいたま市に住んでおり、その時は容器プラも可燃ごみで出していたと記憶しています。

北本市は、埼玉中部環境保全組合(鴻巣市・北本市・吉見町)として新たなごみ処理施設(焼却施設)を建設することになっていますが、この機会に容器包装プラスチックを可燃ごみにすることはできないのでしょうか?

さいたま市の現状

さいたま市では、食品包装プラスチックに関しては分別収集をしていますが、その他のプラスチックは可燃ごみで出せることになっています。しかし、それもあと数年のようです。

さいたま市が令和5年3月に策定した『第4次さいたま市一般廃棄物処理基本計画』では、令和4年4月1日にプラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律が施行となったことを踏まえ、プラスチック製品全体の分別収集と資源化を目標にしています。

令和5年度から段階的に取り組み、令和8年度以降に分別収集・資源化の対象を食品包装プラスチックから容器包装プラスチック全体に拡大するとともに、製品プラスチックについても分別収集・資源化を開始するとしています。

上尾市の現状

上尾市も、容器包装プラスチックを可燃ごみとして収集している自治体の一つです。

上尾市は、平成30年6月11日に伊奈町と「上尾市伊奈町ごみ処理広域化の推進に関する基本合意書」を締結し 、令和15年度を目途に広域でごみ処理を行うことになっています。

上尾市では容器包装プラスチックを分別収集していませんが、伊奈町ではすでに分別収集を行っています。上尾市と伊奈町は令和4年3月に『上尾・伊奈広域ごみ処理基本計画』を策定しました。基本計画では、容器包装プラスチックは分別を行う、製品プラスチックについては国の方針に併せて柔軟に対応するとしています。

しかし、新たな処理施設の稼働は令和15年度の予定で、まだ10年先です。令和5年3月に策定された『上尾市一般廃棄物処理基本計画(令和5年度~令和14年度)』では、広域処理により分別方法が統一されることは記載されていますが、上尾市として独自にプラスチックを分別することについては言及してません。おそらくは、新施設が稼働するまでは、可燃ごみとして処理されるのではないかと思います。

令和4年上尾市議会 6月定例会における新藤孝子議員の一般質問に対する環境経済部長の答弁

現在の西貝塚環境センターの焼却施設では、プラスチックを他の可燃物と一緒に焼却し、高温で処理する方式となっており、プラスチック製容器包装の分別が再資源化の観点から求められていますが、分別処理の対応が困難な施設となっております。そのため、現時点では新たなごみ処理施設が建設予定の令和15年度に分別することとしております。ただし、プラスチック製容器包装のうち、ペットボトルについては既に分別収集をし、業者に委託してリサイクルを行っております。

北本市の今後の方針

北本市は、埼玉中部環境保全組合として新たなごみ処理施設の整備に取り組んでいるところです。ごみ処理施設の整備には多額の事業費を必要となります。そのため、国から補助金をもらって整備するのが一般的です。

新ごみ処理施設の整備に当たり交付される補助金は『循環型社会形成推進交付金』というものです。単にごみを焼却する施設の整備には、交付金は交付されません。『エネルギー回収型廃棄物処理施設』として、熱回収したり、固形燃料等が生成される場合に、概ね事業費の3分の1の交付金が交付されます。

また『循環型社会形成推進交付金交付取扱要領』では、21.交付対象事業者の範囲として「プラスチック使用製品廃棄物の分別収集及び再商品化に必要な措置を行っている(又は計画している)市町村」とされています。つまり、容器包装プラスチックのみならず、製品プラスチックの分別収集・資源化を行っていない市町村には、交付金が交付されません。

国からの交付金を使わずに新ごみ処理施設を整備するのは、財政面から極めて困難です。交付金を活用する以上、新施設が完成しても、容器包装プラスチックを可燃ごみとして処理することはできません。

参考資料

プラスチックを取り巻く国内外の状況』(平成30年8月 環境省)

プラスチック資源循環戦略』(令和元年5月31日 消費者庁ほか)