新ごみ処理施設の概算事業費

埼玉中部環境保全組合による概算事業費(令和6年8月)

令和6年8月21日に開催された埼玉中部環境保全組合第10回新たなごみ処理施設等建設検討委員会において、新たなごみ処理施設の概算事業費が示されました。

表2の概算事業費合計約463億円のうち「造成工事費約41億円」は、本体工事に先立ち別途発注する予定のものです。VFMを算定するために算出された表3の事業費(整備段階約465億円)には含まれていません。

また、表3の事業費(整備段階)のうち「地方債利息43.6億円」は表2の概算事業費に含まれていません。表3の支出合計(711億円)に表2の造成工事費(41億円)を加えた額が、現時点での総事業費となります。なお、ここには用地取得費や周辺環境整備費、余熱施設整備費などは含まれていません。

久喜市

久喜宮代衛生組合には久喜市内に3つの清掃センターがありますが、老朽化に伴いこれらを統合した新施設を久喜市が整備することとしています。令和4年5月30日に事業者が決定しています。焼却処理施設の規模は埼玉中部環境保全組合よりもやや大きい日量155トン。建設地の地盤の状態も埼玉中部環境保全組合の新施設と似通っており、参考になります。20年間の運営・維持管理業務を含めた落札価格は、422億円(税込)でした。

行田羽生資源環境組合 

鴻巣市・行田市・北本市の3市による新ごみ処理施設の整備が白紙解消になった後、行田市は羽生市とともに新ごみ処理施設を整備することになりました。令和6年7月22日に事業者が決定しています。焼却処理施設の規模は埼玉中部環境保全組合よりも少し小さい日量126トン。20年間の運営・維持管理業務を含めた落札価格は、413.6億円(税込)でした。このうち建設工事費について、令和5年3月に策定した施設整備基本計画では275.3億円(税込)でしたが、入札では254.2億円でした。

鴻巣行田北本環境資源組合による概算事業費(令和元年10月)

鴻巣行田北本環境資源組合は、現在の2市1町(鴻巣市・北本市・吉見町)の枠組みの前、平成25年5月7日に2市1町で基本合意書を締結し、新ごみ処理施設を整備する主体として検討を進めていた組合で、令和元年12月12日に基本合意が白紙解消となり、令和2年3月31日に北本市が離脱しました(鴻巣市と行田市はその後も広域でごみ処理を継続するため「彩北広域清掃組合」に戻りました)。

鴻巣行田北本環境資源組合では、平成29年2月に『鴻巣行田北本環境資源組合施設整備基本計画』を策定し、その中で20年間の運営・維持管理費を含む概算事業費を約418億円(税別)としていましたが、この中には用地費や土地造成費が含まれておらず、構成市や議会から再三にわたり総事業費の明示を求められていました。

令和元年10月になり、ようやく下表のとおり概算事業費611.4億円(税込)が示されましたが、行田市長が行田市小針に建設した場合との比較検討を求めるなど、建設地について構成3市の方向性の一致が見込めないとの判断に至り、基本合意を白紙とすることが決定されました。

なお、下表には、用地取得費、造成費、余熱施設整備費、周辺環境(道路・水路等)整備費、特別高圧負担金などを含んでおり、最終的に組合が負担する金額に近いものとなっています。

白紙解消に至った経緯については北本市作成の検証報告書をご覧ください。

『新ごみ処理施設整備事業の廃止に関する検証報告書』(北本市)
shingomikensyo.pdf (kitamoto.lg.jp)

比較

項目埼玉中部
環境保全組合
鴻巣行田北本
環境資源組合
久喜市
(+宮代町)
行田羽生
資源環境組合
段階概算事業費概算事業費事業者決定
(日立造船グループ)
事業者決定
(タクマグループ)
金額(税込)
【基本計画時】
711億円
【策定中】
611.4億円
【459.8億円】
421.98億円
【記載なし】
413.6億円
【275.3億円(施設整備費のみ)】
人口(R6.4)19.8万人25.7万人18.2万人12.9万人
焼却施設の
処理能力
日量147トン
(ストーカ方式)
日量239トン日量155トン日量126トン
その他施設の
処理能力
粗大不燃 16.5トン/日
プラ資源化 20.8トン/日
剪定枝 4.1トン/日
ストックヤード
不燃粗大 25トン/日
プラ資源化 17トン/日
ストックヤード
不燃粗大 11トン/5h
有害ごみ 127トン/年
ストックヤード
不燃粗大 12トン/5h
かん類 1.2トン/5h
ペットボトル 2.2トン/5h
剪定枝 5トン/日
資源物ストックヤード
施設解体含まない含まない含む含まない
稼働開始予定令和14年度(平成35年度)令和9年4月令和10年4月
備考用地取得費、造成費(41億円)、余熱利用施設整備費、周辺環境整備費は含まない。用地取得費、造成費、余熱利用施設整備費、周辺環境整備費を含む。予定価格541.01億円
応札3社
予定価格431.93億円
応札1社
金額の内運営費は159.39億円
入札説明書未作成未作成00_nyuusatusetumei.pdf (kuki.lg.jp)入札説明書 (ichikumi.jp)
要求水準書未作成未作成01_youkyuusuijun.pdf (kuki.lg.jp)要求水準書 (ichikumi.jp)

検討委員会で示された現時点での概算事業費を他の事例と比較しました。久喜市と行田羽生資源環境組合は確定した事業費であるのに対し、埼玉中部環境保全組合と鴻巣行田北本環境資源組合の概算事業費はアンケートに基づくものでかなりアバウトです。

埼玉中部環境保全組合の概算事業費は、今後事業の精査によりこれよりも安くなる可能性がありますが、物価上昇等により高くなる可能性もあります。現時点ではあくまでも目安として考えてください。