建設検討委員会(第3回)報告

埼玉中部環境保全組合による『新たなごみ処理施設等建設検討委員会』(第2期)について、令和5年11月7日に第3回委員会が開催されましたので、その概要を報告します。

日時 令和5年11月7日(火)14時~17時20分
場所 埼玉中部環境センター4階大会議室

その他処理施設は、現状では構成市町において処理を行っている(組合では処理をしていない)

①容器プラ
②不燃ごみ(製品プラ・その他)
③有害ごみ(乾電池・蛍光管等)

について、組合として処理施設を整備し、処理するかどうかについて検討をするものです。

現在の処理状況を確認した上で、次の5つのケースに分けて比較検討を行う案が示されました。

委員からは、次のような意見がありました。

  • 循環型社会形成形成推進交付金の補助率は。運営費には補助が出るか。
    ※概ね3分の1、部分的に2分の1。運営費には補助はない。
  • 交付金の補助要件としてのプラスチックの分別処理は。【桜井】
    ※製品プラだけでなく容器プラについても分別処理しないと交付金の対象とならない。容器プラを可燃ごみとして処理する場合は、熱回収する場合でも交付金対象とはならない。
  • 比較項目は示されているが、具体的な評価の方法は。
    ※3段階で評価したいと考えている。
  • ケース1(現状維持)の場合、製品プラの回収はどうなるか。
    ※各市町において分別処理することとなる。
  • そもそも粗大ごみと不燃ごみを分けて処理する必要があるのか。同じ施設で良いのではないか。
  • 経済性以外の評価項目について、ケースによって差が出ると思えない。経済性の評価だけで良いのではないか。
    ※差がないことを確認することも必要(委員長)。

基本的には案のとおり了承されました。具体的な評価については次回(第4回)検討委員会に示される予定です。

補助的な処理施設の整備については、特に可燃ごみを減らす(焼却を減らすことによるCO2削減や施設の規模を小さくする効果がある)ために検討するものです。次のような案が示されました。

私からは次のような意見を申し上げました。

  • 剪定枝の堆肥化について、分別収集した場合、事業系と家庭系で回収率が異なるはず。組成調査結果では事業系と家庭系が混在しているので、内訳を調査する必要がある。また、分別処理するとしても、組合で処理するのか、民間事業者に委託するのかについて、検討が必要である。分別処理することには賛成である。
  • 廃食用油の燃料化について、再資源化ルートが確立しているのは事業系(産業廃棄物)である。家庭から排出される一般廃棄物としての廃食用油の再資源化が確立しているとは思えないので、対象としない理由として無理がある。
  • トンネルコンポストについて、1件しかない先行事例に倣い、主要な処理方式として「固形燃料化」をすることを前提に検討しているが、先行事例では固形燃料の受入れ(売却)先があることを前提に導入している。本市の場合は受入れ先の確保が困難なため、可燃ごみを減らす前処理としての検討、つまり「トンネルコンポスト+焼却施設のハイブリッド」として検討しなければならない。
  • おむつの処理について、環境省においても積極的に進めているものであり、先行事例において課題があるとしても直ちに検討を止めるべきではない。民間事業者への委託や構成市町で行うことも含め、引き続き検討すべき方式である。

また、他の委員からは次のような意見がありました。

  • 費用対効果の分析がない。
    ※費用面を含めた詳細な検討を行うまでもなく、剪定枝以外については対象外としたものである。
  • おむつについて、生成された固形燃料の利用先がないことが課題とされているが、ボイラーでお湯を沸かしている施設が構成市町の中にあるのではないか。
    ※固形燃料化して燃やすなら、燃やすごみとして熱回収するのと変わりはない(あえて分別処理する理由がない)。利用先の調査はしていない。
  • 剪定枝の堆肥化について、利用先は確保できるのか。
    ※先行事例では、在庫を抱える状況にはなっていない。
  • 剪定枝の堆肥化は、袋に詰めて無料で配布すれば在庫にはならないが、お金を掛けて再資源化して無料配布することが本当に良いのか。有効性について、先行自治体にしっかりとヒアリングすべき。

この議題については今回(第3回)で方針を決定する予定でしたが、各委員から様々な意見が出されたことで、案のとおり決定されることはありませんでした。今後引き続き検討することとなります。

処理方式については、第2回検討委員会において、

①焼却(ストーカ式又は流動床式)
②ハイブリッド(メタン化+焼却)
③ガス化溶融・改質(シャフト式、キルン式又は流動床式)

の3つの方式について、詳細な検討を行うことと決定しました(第一次選定)。

今回は、1つの方式に絞り込むための『評価項目』と『評価基準』について、案が示されました。その案は、次のとおりです。

委員からは、次のような意見がありました。

  • 各項目について10点満点又は20点満点で評価されるが、実際の評価は3段階である。どのような理由により最上位又は最下位の評価になったのか、理由を明確に示していただきたい。【桜井】
  • 経済性の評価に当たっては、具体的な金額についても示していただきたい。【桜井】
  • 環境学習の場の評価に関し、「学習内容が多い」かどうかで評価するのではなく、内容で評価すべき。

なお「合計点が高いものが自動的に選定されるのか」確認したところ、「点数は参考であり、第1位の方式を自動的に採用するものではない」との回答が示されました。

処理方式については、次回(第4回)検討委員会において、具体的な評価が示され、決定する予定です。

水害対策としては、

①内水による浸水
②計画規模(200年に1度)による浸水
③想定最大規模(1000年に1度)

による浸水の3パターンを想定し、費用対効果を踏まえて対策を検討しました。

内水氾濫では浸水深約1.1mが想定されます。これは建設予定地前面の県道とほぼ同じ高さ(1.2m)です。事務局案では、内水氾濫では敷地全体が浸水しないよう、敷地全体を県道+0.5m嵩上げする方法が提案されました。

計画規模の浸水では浸水深2.5~3.2mが想定されます。また、最大規模では3.4~3.75mが想定されます。発生確率は低いですが、発生した場合には甚大な被害の発生が予測されます。これらの規模の浸水に対しては「多少浸水はするが施設の機能は維持される」よう対策を講じます。具体的には、ごみピットや発電機等の電気設備が「絶対に浸水しない」よう、防水シャッターを設けるか、ピットや電気設備部分の床自体を県道+2.75m(GLからは3.95m)嵩上げする方法が提案されました。

地震対策としては、次のような考え方が示されました。

  • 焼却施設は「燃料、高圧ガス等を使用、貯蔵」する施設に該当するため、耐震安全性の分類は「構造体Ⅱ類・建築非構造部材A類・建築設備甲類」となり、地方公共団体が指定する災害活動に必要な施設と同等である(災害拠点の施設基準を満たす)。
  • 新施設で整備する各建築物・設備の耐震安全性の考え方等は、ごみ処理施設に求める役割・機能及び他都市の情報を踏まえて設定する。

委員からは次のような意見がありました。

  • 建設予定地周辺の農地ではこれまでも大雨で冠水することがあった。敷地内に調整池は設置されるか。
    ※敷地内の雨水が処理できるよう調整池の設置が義務付けられている。
  • 県道の高さ自体が内水の浸水深+0.1m。そこからさらに余裕を見て+0.5mとの提案だが、敷地内にも排水のための傾斜が必要で、高い地点では+1.0mにもなる可能性がある。敷地全体の盛り土に影響するもので費用もかさむ。余裕を持ちすぎではないか。【桜井】
    ※敷地全体に傾斜をつけたとき、最高地点が県道から+0.5mになるようにするという提案である。
  • ピットや電気設備は最大規模浸水でも浸水しないようにすべきであり、県道から+2.75mはギリギリなのではないか。【桜井】
  • ※意見を踏まえて次回(第7回)提案したい。

災害対応については、第7回検討委員会において、最終的な検討を行う予定です。