北本市令和7年第4回定例会ダイジェスト

北本市の令和7年第4回定例会は令和7年11月27日から12月19日まで23日間の日程で開催されました。市長から提案された議案は全て原案どおり可決されました。

市長から提案された議案と採決結果は、北本市議会ホームページからご覧いただけます。
https://www.city.kitamoto.lg.jp/shigikai/katsudo/gian/2/reiwa7nen_1/17384.html

このページでは今定例会で可決された主な議案について、その内容をお知らせします。

第5次計画からの変更点

主な質疑

桜井
桜井

子育ての経済的負担の軽減、支援を必要とするこども・家庭へのきめ細かな取組の充実、特別支援教育の充実、平和と人権の尊重などが重点事業になっていない。支援が必要な人たちに対する事業が軽視されていないか。

政策推進部長
政策推進部長

市の最上位計画であることに鑑み、全ての事業をしっかりと実施していく。

桜井
桜井

移動手段の確保について、バス・タクシー・デマンドバスなど公共交通のみが取り上げられている。公共交通以外の移動手段の確保が重要なのではないか。

市民経済部長
市民経済部長

徒歩や自転車も重要な移動手段であり、新たな交通手段の検討も必要である。

桜井
桜井

二ツ家地域は市街地形成推進ゾーンに位置付けられたが、前計画にあった「交通・交流拠点の整備」も引き続き必要ではないか。

都市整備部長
都市整備部長

久保区画整理と関連する基盤整備を重点的に進める。二ツ家地域を含め市全体の公共交通の活用策を充実させる必要がある。

桜井
桜井

『確かな学力の育成』に関する指標は、前計画の「学力が伸びた児童・生徒の割合」がふさわしいのではないか?

教育部長
教育部長

確かな学力の定着を見取るため、「平均正答率が県を上回った教科の割合」と「『学校に行くのが楽しい』と肯定的な回答をした児童生徒の割合」を成果指標とした。

緑風会の賛成討論

今年第2回定例会に提案された総合振興計画・基本構想には修正案を提出したため、原案に反対したが、原案が可決された。
その後、行政経営会議等の手続を経て、今回の基本計画案が提案された。パブリック・コメントでは緑風会が提出した意見も多く反映していただいた。これらの点を尊重し、賛成をする。しかし、いくつか残念な点があったので指摘する。

①重点基本事業について
子育ての経済的負担の軽減、支援を必要とするこども・家庭へのきめ細かな取組の充実、特別支援教育の充実、虐待・体罰・暴言等への禁止、いじめの防止への取組、生活困窮者への支援施策の適切な執行、人権意識の高揚が事業が重点基本事業から外れた。障がい者や生活困窮者など、支援が必要な方々への事業が軒並み重点から外れており、市民の命や生活、尊厳を守ることが行政の使命と考える当会派としては、極めて遺憾と言わざるを得ない。支援が必要な人たちに対する事業が軽んじられることがないよう、特に注意していきたい。

②指標の設定について
重要な指標である「学力が伸びた児童・生徒の割合」や「火災による負傷者及び死亡者数」が、第6次計画では指標から外れた。達成が困難な目標を、あえて達成しやすい指標に切り替えたように見える。学力については、一人ひとりに合わせた指導・支援を行うという施策の目指す姿を計るのに最適な指標。「火災による負傷者・死亡者数」は、近年の重大な火災により負傷者や死亡者が出ていることを踏まえれば、改めてこれを指標とし、防火や避難の注意喚起を強化する必要があった。窃盗等の犯罪が大きく増加していることから、防犯カメラ設置件数が目標10件なのはあまりにも少ない。温室効果ガスの総排出量も、計画に記載された取組で目標が達成できるとは思えない。今回基本計画上の成果指標や指標から外れた指標についても、引き続き強く意識し、チェックを継続していただきたい。

③二ツ家地域について
第5次計画で「商業・業務ゾーン」とされていた二ツ家交差点付近の新駅候補地周辺地域について、第6次計画では対象区域を二ツ家交差点付近から久保区画整理事業地内まで範囲を拡大した上で「商業・業務ゾーン」ではなく「市街地形成推進ゾーン」とされた。都市計画マスタープランや立地適正化計画でも、本市の第二の拠点という位置づけは完全に失われている。二ツ家周辺は、古くから住宅や商業施設立地しているにも関わらず、駅から遠く新駅に変わる交通・交流拠点が必要であることは明らか。何ら特別な施策や事業がないことは、不十分であり不誠実と言わざるを得ない。基本計画の実施や、都市計画マスタープランや立地適正化計画の策定に当たり、十分に配慮されることを希望する。

以上の課題については、引き続き、今後の予算、決算の審査、さらには一般質問において当会派としてしっかりと確認していくことを申し上げ、賛成討論とする。

議案の概要

令和8年度からのこども誰でも通園制度(乳児等通園支援事業)の実施に向け、条例において運営基準及び認可基準を規定する。本市では、国が定める基準をもって本市の基準とする(本市では条例に基準を定めず、国の基準を本市の基準とすると定める)。このような定め方をした場合、国の基準が改正された場合にも、本市条例の改正は不要となる。

【問題点】
国の基準には「従うべき基準」と「参酌する基準(国の基準を参考に市が独自に決められる基準)」があり、参酌する基準については、市が実情を踏まえ設定する必要があるが、議会にその是非を検討する機会を与えないことになる。ただし、議会が独自に改正の必要性を検討し、議員提案することは可能。

国の基準

認可基準として、設備の基準が従うべき基準として定められています。乳児室は乳児1人当たり1.65㎡以上、保育室は幼児1人当たり1.98㎡以上です。また、職員配置も従うべき基準として定められています。乳児おおむね3人につき乳児等通園支援従事者1人以上、幼児おおむね6人につき1人以上で、半数以上は保育士とするとされています。開室日数や時間については、特に基準はありませんが、利用可能時間は月10時間以内としています。

国民健康保険税の賦課限度額を引き上げるため、条例を改正します。新たな賦課限度額は、医療分が66万円(1万円増)、後期高齢者支援金分が26万円(2万円増)で、合計では109万円(3万円増)となります。影響を受けるのは一部の高所得者で、本市では医療費分が103世帯、後期高齢者支援金分が95世帯です。

賦課限度額を引き上げる理由

国民健康保険制度を「持続可能」にするためです。
医療費の増加: 高齢化や医療技術の進歩により、一人あたりの医療費が年々増加しています。
所得格差への配慮: 必要な財源を確保するために「税率」を一律に上げてしまうと、中間所得層の負担が急増します。そのため、「上限(限度額)」を引き上げることで、より負担能力のある高所得層に相応の負担を求め、中間所得層の負担を相対的に抑える仕組みをとっています。
1.5%ルール: 厚生労働省の方針として、限度額に達する世帯の割合が全体の「約1.5%」程度になるよう、定期的に上限を調整しています。

議案の概要

小中学校屋内運動場の空調設備等設置事業の実施に伴い、これまで主に電気代として徴収していた使用料については、照明設備のLED化に伴い1回につき1,000円から200円に減額するとともに、新設された空調設備の使用については30分につき500円を徴収することとする改正を行うもの。

桜井の反対討論

基本方針にそぐわないとの説明について
本市においては、『使用料・手数料の適正化に関する基本方針』を定めているが、本件については基本方針「2 見直しの対象」の(2)のうち「本方針の算定方法によることが、施設又はサービスの性質上そぐわない」ものに該当するとして、基本方針による算定方法を用いていない。そぐわない理由として、①学校によって電気料金には差があるが、学校体育施設の照明設備を利用するという観点では差がないこと、②学校施設である性質上、学校が使用しない時間を限定的に利用いただくということの2点を挙げている。

しかし、理由①は、昨年6月に改正された公民館の利用料金において、利用目的は同じなのに金額に差を設けていることとの整合性が取れない。理由②は、学校の施設を本来の目的とは違う形で例外的に使用を認めるものであり、むしろ基本方針に則って利用料金をいただくべき理由である。基本方針における原価計算に当たっては、人件費、需用費、委託料等の費用を含めることとしており、その点からは本来は学校施設であるため、これらの費用を原価計算に含めることは困難という説明であれば理解できるが、電気料金に限れば算定は容易であり、原価を電気料金に限り、あとは基本方針のとおり算定することが最も合理的な方法と言える。実際にそのような算定方法を用いている。

原価よりも安く、全施設一律の料金設定としたこと
電気料金を原価として計算した場合、1時間当たりの照明設備の電気料金については最低が99円なのに対し、最高が198円。30分当たりの空調設備の電気料金については、最低が456円に対し最高が938円と学校によって約2倍の差がある。これを最低料金に寄せる形で「全ての体育館で一律の」利用料金を設定したことについて、①使われる照明の照度や空調の温度等の使っていただく水準が一定であること、②学校の施設である性質上、学校が使用しない時間を限定的に利用いただく施設であること、③生涯スポーツの推進を図る意味でもこれらの試算した料金の最低に寄せたとの、3つの理由が示された。

しかし、公民館施設の利用料金についても、照明の照度や空調の温度等はほぼ同水準であるはずだが、基本方針に従い施設ごとに利用料金を算定し設定した。また基本方針においては、公益的な役割を考慮し、公民館等の場合は利用者負担を2分の1としている。スポーツの振興や文化の振興を図る観点は、利用料金の算定方法において十分に考慮されている。

今回の学校体育館の利用料金の設定の方法については、それ単体で考えれば一定の合理性があると言えなくもないが、せっかく定めた基本方針を無視するものであり、昨年6月に改定した公民館の利用料金の算定と比較しても、一貫性を著しく欠いており、容認できるものではない。もし、学校体育館について今回のような考え方により利用料金を一律で設定するのであれば、公民館についても改めて同様に改定しなければ、一貫性を保てない。

夜間のみ電気料金を徴収することの公平性
照明設備の電気料金としての利用料金を1回につき200円としたが、今回の改正により夜間に限定した開放から、昼間を含めた開放に拡大しており、照明設備については昼間については無料とされた。体育館内は昼間であっても薄暗いことが多く、特に球技を実施する場合には、昼間でも安全確保のために照明を使用することは多いと考えられるが、昼間の使用については無料とすることは、公平性の観点から妥当性を欠いている。

議案提案前に可決を想定した工事が実施されたことについて
空調設備の利用料金についてはプリペイドカードによりお支払いいただくことを想定しており、すでに設計段階から想定されており、工事も実施されているとの答弁があった。当初の設計・工事の契約の中にプリペイドカード読取機の設置が含まれていることの説明はこれまでなかった。本議案が可決される前に、すでに可決を前提として工事が実施されているとは一体どういうことなのか。議会は追認機関ではない。このような議案の提案の仕方は極めて遺憾である。

以上のとおり、公共施設における利用料金設定の一貫性並びに利用者間の公平性及び議案提案の手続きの観点から、到底容認できるものではない。

議案の概要

総合福祉センターの指定管理者として、社会福祉法人北本市社会福祉協議会を指定する。指定期間は令和8年度~令和12年度の5年間。

桜井の討論

総合福祉センターの指定管理者は、社会福祉協議会以外ありえない。議案には異論がないが、公募により選定したことに問題があることを指摘する。

3年前、総合福祉センターの指定管理者を指定した際、附帯決議を提案し、前回一致で可決されたにも関わらず、今回も公募された。指定管理者仕様書にある指定管理者が行う業務のうち、(6)各種福祉団体・ボランティア等の育成に関することや、(7)地域福祉の推進に関することは、社会福祉協議会の業務である。

社会福祉協議会は社会福祉法第109条に基づく団体で、地域住民や市内福祉事業経営者等が参加することや社会福祉に関する活動への住民の参加のための援助などを行うことが位置付けられているからこそ、福祉団体やボランティアの育成に関することが任されている。

社会福祉協議会が総合福祉センターの指定管理者から外れた場合、社会福祉協議会が別の場所で行う事業であって、総合福祉センターの指定管理者が行うものではない。公募により選定したことに関しては、強く抗議する。

補正予算の概要

ふるさと納税事業 1億円増額
ふるさと納税寄附が当初の想定を上回って推移しているため、増額補正を行う。令和7年4月1日から11月24日までの寄附実績は6,006件で57.2%増、寄付金額は7億2,774万5千円で51.3%増となっている。

児童手当の増額 4,044万円
今年度の児童手当制度の変更に関して当初予算において、給与で手当が支給される(市の予算外)公務員数が想定よりも少なく、児童手当として支給する対象者が多かったため、増額補正する。

保育所等賄材料費の増額 250万円
物価高騰に伴い保育所等の給食に必要な経費を増額する。

国・県支出金返納金の増額 4,835万2千円
令和6年度事業の確定に伴う清算で国・県に返納する。

補正予算の概要

令和7年1月に八潮市で発生した下水管路の破損に起因すると考えらえる道路陥没事故を受け、埼玉県が管理している流域下水道の管を緊急に補修するための工事を行うことから、県に負担金を支払うもの。

桶川市の終末処理場から元荒川幹線に熊谷幹線が合流するまでの約20kmのうち、平成6年度以前に設置された管径2m以上の管路を調査したところ、3か所の改修が必要となったことから、工事を行う。

北本市は全体工事費の13.72%、2,290万円を負担する。