増えた元日休業。労働時間だけでなく一人当たりの業務量の削減を。

今年のお正月、ここ数年と違った光景を目にしました。スーパーや外食チェーン店の休業です。わたしが子どもの頃は、元日や三が日は休業という店がほとんどで、年末に買い込んだり、年明けはずっとお餅を食べていたりしていたことを思い出します。コンビニが増えて休日も夜中もお店が開いていることが当たり前になっていましたが、少し風向きが変わってきたようです。

外食チェーンの幸楽苑は新聞に「2億円事件。」と題した全面広告を掲載し、大晦日15時から元日まで休業することを発表しました。ヤオコーは元日に加え、1月2日も定休日とすることを決めました。幸楽苑はその広告の中で「働く社員のために」休業を決めたとしています。ヤオコーの川野社長はもう少し具体的に「人員の採用が厳しい中、働きやすさの実現、家との時間を持てるよう1月2日を定休日とする。」と仰っています。

幸楽苑の全面広告「2億円事件。」

日銀短観を見ても宿泊・飲食サービス業は全業種で最も人手が不足しており、小売業も平均より不足しています。できるだけ社員が休みやすい状況を作り出す、働きやすい環境を整備することが人手の確保につながります。定休日があることや深夜にお店が閉まっていることはむしろ当たり前なわけで、こうした動きがどんどん広まると良いと思います。

ただ一つ、懸念もあります。例えば小池都知事は2016年10月から夜8時以降の残業を禁止すると発表しました。このとき知り合いの東京都職員に聞いたのですが、仕事が減ったわけでも、職員が増えたわけでもなく、仕事を効率的にやって早く帰りなさいという指示だったそうです。休日を増やした企業での売上目標は一体どうなっているのでしょうか?

有給の取得義務化も進められていますが、強制的に定時退社させたり、休暇を取得させたりしても、一人当たりの仕事の絶対量が減らない限り、負担は軽減されません。いや、むしろ短時間で仕事を終わらせなければならなくなるため、本来やるべきチェックを省いてしまうなど、どこかでムリが生じる可能性が高くなります。

単に労働時間を減らすのではなく、実質的な負担を減らさなければ、真の働き方改革とは言えないでしょう。

厚生労働省リーフレット『「働き方」が変わります!!』