子育て支援を考える③ 小学生の学校外活動格差にどう対処するか

今回は、小学生の学校外活動費について見てみます。文部科学省の「子供の学習費調査」では、学校外活動費は補助学習費その他の学校外活動費に区別されています。それぞれの内容は次のとおりです。

補助学習費
家庭内学習費、家庭教師費、学習塾費、その他

その他の学校外活動費
体験学習・地域活動、芸術文化活動、スポーツ・レクリエーション活動、教養・その他

補助学習についての公的支援を考える

補助学習費の大半(68.5%)を占めるのが学習塾費です。学年別に見ると、4年生からグッと増えているのがわかります。家庭の経済的な理由で補助学習にお金を掛けられない子がいる一方で、私立の6年生では学習塾費に約43万円も掛けているわけですから、学力に差がつくのは当然です。

北本市では中学生向けに「北本市営ナイトスクール(無料塾) 」を実施していますが、小学生を対象としたナイトスクールは実施していません。しかし統計を見たとおり、小学校高学年からは塾に通う子も増えてきますから、塾に行けない子のために4年生以上を対象としたナイトスクールを開催することが有効だと思います。

学校で先生が言っていることがわからなくなってしまうと学校に行くのも嫌になってしまうでしょうし、先生や保護者では気が合わないという子もいるでしょう。教わる人や場所が変わるだけでも勉強の意欲が変わる可能性があります。図書館や児童館、公民館などでも気軽に勉強を教えてもらえるようになると便利かもしれません。

一方で、勉強ができないと自立できない社会では困ってしまいます。私たち大人も、全員がきちんと真面目に勉強をしてきたわけではないですが、それでも立派に生きています(笑)。良い高校・大学に入り、有名な会社になることがだけが生きる道でないことは確かです。

子どもたちにとっては、自分の親以外の大人がどんな仕事をしているのか、どうやってその仕事についたのか、ということはわかりません。多様な大人たちと語り合う機会【しゃべり場】を創り、自分の親以外の大人の多様なロールモデル(手本・模範)を提示することで、人生の選択肢を増やしてあげる取組がとても重要だと思いますが、これは中学生になってからでよいでしょう。

その他の学校外活動についての公的支援

次に、その他の学校外活動費について見てみましょう。公立134,813円の内訳は、スポーツ・レクリエーション活動が半分弱、芸術文化活動と教養・その他がそれぞれ約4分の1という割合です。スイミング、野球、サッカー、ピアノやダンス、英会話など習い事の経費が主ですが、教養・その他には学童保育の保育料も含まれます。

水泳や英会話などの習い事に公的な支出をするのは難しいと思いますので、行政ができることとして次のような事業が考えられます。

  • 芸術・スポーツ・遊びの機会を提供する地域活動やNPOの育成・支援
  • 児童館や公園(子供公園・総合運動公園)へのプレイリーダーの配置
  • 学童保育や放課後子ども教室の機能強化(子どもの主体性を尊重しながら一人ひとりの子どもの学びや遊びを支援できる体制にする。)

いずれにしても、日々仕事や家事に追われている保護者の方の負担・ストレスを減らしながら、子どもたちが自分のやりたいことをできるように学び・遊びの選択肢を増やしてあげられたら良いのではないかと思います。子どもは社会の宝です。家庭だけでなく、社会全体で育てていくという認識が必要だと思います。