明石市・泉房穂市長の暴言はやっぱり許されない

明石市の泉房穂市長の暴言が話題になっています。まずはその全文を見てみましょう。

2019/1/29 12:03神戸新聞NEXT を引用
部下に「辞表出しても許さんぞ」「自分の家売れ」 明石市長の暴言詳報

職員「(立ち退き対象だった建物の)オーナーの所に行ってきた。概算で提示したが、金額が不満」
市長「そんなもん6年前から分かっていること。時間は戻らんけど、この間何をしとったん。遊んでたん。意味分からんけど」
職員「金額の提示はしていない」
市長「7年間、何しとってん。ふざけんな。何もしてへんやないか7年間。平成22(2010)年から何しとってん7年間。金の提示もせんと。楽な商売じゃお前ら。あほちゃうか」
職員「すいません」
市長「すまんですむか。立ち退きさせてこい、お前らで。きょう火付けてこい。燃やしてしまえ。ふざけんな。今から建物壊してこい。損害賠償を個人で負え。安全対策でしょうが。はよせーよ。誰や、現場の責任者は」
職員「担当はおります。課長が待機していますが」
市長「上は意識もしてなかったやろ。分かって放置したわけやないでしょ。任せとっただけでしょ。何考えて仕事しとんねん。ごめんですむか、こんなもん。7年間放置して、たった1軒残ってもうて。どうする気やったん」
市長「無理に決まっとんだろ、そんなもん。お前が金積め。お前ら1人ずつ1千万円出せ。すぐ出て行ってもらえ。あほちゃうか、そんなもん。ほんま許さんから。辞表出しても許さんぞ。なめやがって。早くやっとけばとっくに終わってた話を。どないすんねん。悠長な話して。たった1軒にあと2年も3年もかけんのか。何をさぼってんねん、7年も。自分の家売れ。その金払え。現場に任せきりか。担当は何人いるの」
職員「1人しかいません」
市長「とりあえずそいつに辞めてもらえ。辞表とってこい。当たり前じゃ。7年分の給与払え。辞めたらええねん、そんな奴。辞めるだけですまんで、金出せ金も
職員「担当は今は係長。この間係長は3回替わった」
市長「何やっとったん、みんな。何で値段の提示もしてないねん」
職員「値段は概算を年度末に提示している」
市長「概算なんか意味ない。手続きにのらへんやないか」
職員「市長申し訳ありませんが、(の分は)予算は今年度でつんでいる。前年度は予算ついていないんで、概算しか」
市長「ついてないってどういうことよ」
職員「他の地権者の分、とってますから。丸ごと全事業費は1年間でどーんと付けられない」
市長「見通しわかっとったやろ。ややこしいの後回しにして、楽な商売しやがって」
市長「ずっと座り込んで頭下げて1週間以内に取ってこい。おまえら全員で通って取ってこい、判子。おまえら自腹切って判子押してもらえ。とにかく判子ついてもらってこい。とにかく今月中に頭下げて説得して判付いてもうてください。あと1軒だけです。ここは人が死にました。角で女性が死んで、それがきっかけでこの事業は進んでいます。そんな中でぜひご協力いただきたい、と。ほんまに何のためにやっとる工事や、安全対策でしょ。あっこの角で人が巻き込まれて死んだわけでしょ。だから拡幅するんでしょ。(担当者)2人が行って難しければ、私が行きますけど。私が行って土下座でもしますわ。市民の安全のためやろ、腹立ってんのわ。何を仕事してんねん。しんどい仕事やから尊い、相手がややこしいから美しいんですよ。後回しにしてどないすんねん、一番しんどい仕事からせえよ。市民の安全のためやないか。言いたいのはそれや。そのためにしんどい仕事するんや、役所は」

非難から擁護へ

当初は市長の暴言がクローズアップされ、厳しく非難されていましたが、発言の全体が伝わると、むしろ市長は正しいのではないかという論調で擁護する人も現れました。

山本一郎氏 明石市長・泉房穂氏の暴言をよく読むと、市民の命を守るための正論である件
井手英策氏 明石市長の「暴言」について思う。

確かに最後の部分だけを切り取れば、泉市長がいかに市民のためを思っているのかが伝わってきます。でも正しいのはここだけです。前段の部分の言葉遣いや言っている内容はパワハラ以外のなにものでもありません。それは市長自身も認め、謝罪しています。非難されてしかるべきです。

明石市長が謝罪、火をつけろ発言「全て事実」一問一答 朝日新聞 2019年1月29日

――当時は発言を問題と思わなかったのか。
非常に激高した状況で、口走ってしまった。申し訳ない。市のトップでありながらこのような発言をしたことに弁解の余地はない。

――パワハラという認識か。
パワハラであるだけでなく、さらにひどいことと思う。

泉市長がどんなに素晴らしい哲学を持った人かということや、どんなに大きな功績を残してきたかということと、今回の暴言とは分けて考えなければいけません。暴言が正当化されることはあり得ません。

原因究明と職員との信頼関係構築が不可欠

今回の件、職員が市長の暴言を録音して公開したということは、日常的にこのような発言があったということであり、信頼関係が築けていなかったということだと思います。

職員がただ怠けていたのか、ほかにもやるべきことがあって困難事案が後回しになってしまったのか、それはわかりません。しかし激高するほどの重要事案にもかかわらず、7年間もこの事態を把握できず、担当1人に任せきりだったというのは、ガバナンスにも問題があったと言えるでしょう。

この暴言を、多くの功績を残した熱血市長の一度だけの過ちとして見逃せば、引き続き職員は市長のパワハラに怯えながら仕事をすることになるのではないかと心配になります。

なぜ7年間も放置されたのかしっかりと原因を究明して再発防止に努めるとともに、職員との信頼関係を構築し直す必要があるのではないかと思います。謝罪して終わり、再選されれば信任ということでは、何の解決にもなりません。

パワハラではない方法で職員の仕事に対する意欲を向上させる術を持たないのであれば、続投したとしても同じことの繰り返しになるでしょう。