地方議員、なり手不足深刻 2019/1/28 日本経済新聞から

地方議員のなり手不足が深刻です。

2019年1月28日の日本経済新聞によると、町村議会では定数割れが相次ぎ、市議選でも無投票が頻発しているそうです。議員の高齢化が進むなか、世代交代がうまく進んでいない状況が生まれています。なぜ、市町村議会議員になりたいと思う人が少ないのでしょうか?仕事をしている人のうち53.6%※を占める正規雇用の給与所得者との比較で考えてみると、次のような理由が考えられます。 ※2015年国勢調査

1 不安定な身分

市議会議員は兼業OKとはいえ、公務員はもちろん兼業が禁止されていますし、会社員であっても市議との兼業を認めてくれる会社はほとんどないでしょう。もし安定した職に就いているならば、退職して当選するかどうかわからない選挙に臨むこと自体が大きなリスクです。しかも任期は4年。4年ごとに落選=失業するリスクを抱えるということであり、現役世代が挑戦するには高いハードルとなります。

2 手薄な福利厚生

北本市の議員報酬は月352,000円、期末手当は報酬月額の1.2倍の4.45か月分ですが、扶養手当などはありませんし、もちろん経験年数による昇給もありません。兼業ならば十分な報酬かもしれませんが、専業だとしたどうでしょうか。
さらに問題なのは年金や健康保険です。地方議員の議員年金は2011年に廃止されたので、市議会議員が加入するのは国民年金です。健康保険も、社会保険ではなく国民健康保険となります。市議会議員の社会保障は最低限のものしかありません。不安定な身分と合わせて、特に老後への不安材料となります。

3 お金の掛かる選挙

市議会議員の選挙に出馬するためには供託金30万円が必要となります。この供託金は選挙で一定の得票数を達しなければ没収されます。この他にも、選挙事務所や選挙カーを用意したり、ポスターやビラを作成したり、選挙運動のための労務員を雇ったりすれば、選挙費用は簡単に100万円を超えてしまいます。

このように、正規雇用の給与所得者が市議会議員に転身するメリットはあまり感じられません。特に、都内の上場企業で正規社員として働いている人にとっては魅力的な待遇とは感じないでしょうし、一方で仕事を探している方や非正規で働く方にとっては悪い待遇ではないかもしれませんが、初期投資がネックになると思います。

待遇よりも問題なのは仕事そのものの魅力

しかし待遇よりも、議員の仕事ぶりが見えない、議員の仕事の魅力がわからないことが、なり手不足の一番の理由だと思います。市民が議員と接する機会は行事のあいさつや時折配られるビラくらいで、その仕事ぶりが十分に理解されているとは思えません。

市議会議員の仕事が、地元の発展につながる、市民の暮らしの向上につながるものだと実感することができれば、かなり魅力的な仕事と思えるのではないかと思います。

例えば、市政の課題や様々な計画や予算について、議員と市民が十分な意見交換をして、議会を通じて市民の意見を市政に反映させることができるようになれば、市民にも議員の仕事の魅力が伝わるのではないかと思います。

民主主義の実践の場として議会が機能することが、市政への関心を高め、市議会議員という仕事の魅力アップにつながるのではないかと思います。