30年度補正予算 ふるさと納税の増額と農業ふれあいセンター整備

北本市の平成30年度一般会計補正予算(第5号)の議案が公表されました。全体では6千万7千円の減額補正となっています。年度末の補正予算ですので、基本は不用額の計上(減額)になりますが、増額もあります。

一つはふるさと納税の寄附金が見込みを上回ったことによる増額補正、もう一つが農業ふれあいセンター(桜国屋)のリニューアルです。補正予算としては非常に重要な内容なので、紹介しておきます。

※ 公開されている資料から読み取れる(推測できる)範囲でこの記事を書いておりますので、事実と異なる内容があるかもしれません。その場合は、わかった時点で追記しますので、ご了承ください。

ふるさと納税寄附金の増額補正

平成30年度の当初予算において、一般寄附金として2,400万円を計上していましたが、ふるさと納税による寄附金が当初の見込みを大幅に上回ったため、第2号補正で5,900万円増額して8,300万円にしていました。今回これをさらに1億1,922万4千円増額し、合計で2億222万4千円とするものです。

平成29年度の一般寄附金の決算額が 2,803万7,127円(そのうちふるさと納税が2,373万5千円)でしたから、約7倍増ということになります。

これは、北本市が寄附金を充実したり、ふるさと納税ポータルサイトを使って効果的な宣伝を行ったりした結果だと思いますが、全国的にふるさと納税のブームが継続しており、総額自体も増えていると思います。北本市民が北本市以外にふるさと納税を行ったことによる住民税の控除(減収)も増えている可能性が高いので、注意が必要です。

なお、ふるさと納税の寄附をいただいた場合には返礼品を提供していますので、寄附受入額の増額に伴い返礼品の支出も増額になります。今回の補正予算では、商工費の中の観光振興業務経費が1,256万1千円増額されています。

農業ふれあいセンター(桜国屋)のリニューアル

農業ふれあいセンターについては、平成30年度中に基本計画が策定され(当初予算額450万円)、昨年11月にパブリック・コメントが実施されました。この基本計画に基づき、いよいよ施設整備に着手するものです。今回の補正予算で1億6,219万9千円が計上されています。

これほどの大型公共施設整備事業であれば当初予算に計上するのが一般的ですが、平成30年度補正予算に計上されています。当然、平成30年度中には工事は完成しませんから、全額が繰越明許費(翌年度に繰り越す)に計上されています。平成30年度予算でありながら、事業の本格実施は平成31年度ということです。

それならなおさら平成31年度当初予算で提案すべきと思うかもしれませんが、財源を見ると6,330万9千円が国庫補助金(地方創生拠点整備交付金)となっています。つまり、平成30年度の国の交付金の交付対象事業として決定され、これを年度内に受け入れる関係上、平成30年度の補正予算となったものと考えられます。

財源は国庫補助金のほかに、市債(借金)が8,520万円、一般財源が1,369万円となっています。

歳出の内訳は、施設整備工事が1億4,919万6千円、設計委託料が1,288万1千円、建築確認申請手数料が12万2千円です。

平成30年度に策定した基本計画の内容は、市のホームページからご覧いただけます。非常に壮大な計画なので、まだ見ていない方は是非ご覧ください。
北本市農業ふれあいセンター賑わい創出基本計画(北本市ホームページ)

この事業について、市議会で審議する場合のポイントとしては、次のようなことが考えられます。

◆事業費について
市債について、財政措置(交付税措置)はあるか。
体験農園やフラワーガーデンを含めた総事業費はいくらか。
投資(建設)に掛かる市の負担は総額でいくらか。
毎年の維持管理経費はいくらか。そのうち市負担(又は収益)はいくらか。

◆手続きについて
これは地方創生拠点整備交付金事業ということでよいか。
当該事業は地域再生計画の認定が必要になるが、第51回地域再生計画の認定申請を行ったということでよいか。
地域再生計画はどのような手続きを経て策定したのか。
地域再生計画の発案に当たっては、①地域の民間企業やNPO等を通じた地域のニーズの把握、②地域再生協議会の設置、③地域再生推進法人の指定という手順が定められているが、いつ、どのような形でこれらを行ったのか。
地域再生計画の内容について、議会には事前に説明したか。
地域再生計画と地方版総合戦略(北本市まち・ひと・しごと総合戦略)との整合性は取れているか。
地域再生計画について、パブリック・コメントは実施したか。しなかった場合、その理由は。

◆事業の効果について
成果指標(KPI)は定めているか。指標の数値の根拠は。
事業の評価をどのように行うか。外部組織や議会による効果検証を予定しているか。


この事業は莫大な後年度負担が発生することが容易に予想できた事業なので、本当は、平成30年度当初予算に計上されていた基本計画策定事業の段階で、議会がもっとしっかりと内容を確認しておくべきだったと思います。

農業ふれあいセンターリニューアルの着手は平成31年度の統一地方選挙後と考えていましたので、特に市長選の争点になる可能性があると思っていましたが、平成30年度補正予算となったことで、まもなく始まる第一回定例会でしっかりと審議してもらうしかなくなりました。

私も市議会の審議状況を注意深く見守り、このブログでお伝えしていきたいと思います。