北本市 平成31年度当初予算のポイント

以前に北本市一般会計当初予算の推移を歳出の区分(款項目)別に表にしたものをアップしました。今日はその中身について、少し解説を加えたいと思います。

前年度比で6億2,800万円増となった要因

平成31年度の歳出予算の総額は202億2,200万円。前年度から6億2,800万円もの大幅な増額となりました。

まずは総務費が約3億6千万円の増額となっています。細かく見ると、企画財政費が2億2,752万1千円、選挙費が1億2,298万5千円の増額です。企画財政費の増額は、ふるさと納税による寄附金の受け入れが増えたことに伴い、基金への積立てと寄附者へのお礼(いわゆる返礼品)に係る支出が増加したものです。ちなみに歳入の一般寄附金は平成30年度当初予算では2,400万円でしたが、平成31年度は1億7千万円を見込んでいます。

なお、同じ企画財政費の中には、新規事業として「シティプロモーション推進事業 500万円」が計上されています。これに先立ち、3月4日までシティプロモーション推進方針(案)についてのパブリック・コメントが実施されましたが、市民からの意見は0件でした。こうした事業は得てしてコンサルに丸投げになりがちです。平成30年度に450万円の予算で策定された「農業ふれあいセンター賑わい創出基本計画」も「え!?これに450万円もかけたの?」という印象でした。どのような使われ方をするのか、注意が必要な事業だと考えます。

次に、総務費の中の選挙費が約1億2千万円の増額となっています。これは、平成31年度は北本市長・市議会議員選挙、埼玉県知事・県議会議員選挙、参議院議員選挙と多くの選挙が予定されているためです。市長・市議会議員選挙を除いては、財源は県からの委託金となっています。

次に大きい増額となっているのは民生費で、平成30年度から2億1,666万7千円の増額となっています。内訳を見ると、児童福祉費だけで3億3,039万9千円の増額となっています。特に児童措置費は、次のように毎年度大幅な増額となっています。

平成29年度 1,955,030千円
平成30年度 2,057,839千円
平成31年度 2,302,507千円

これは、児童施設運営費の「認定こども園・幼稚園の施設型給付費」の増額によるものです。
平成29年度 141,159千円
平成30年度 335,940千円
平成31年度 618,325千円

増額の理由や来年度以降の見込みについて確認しておく必要がありそうです。

この他に大きな増額としては、消防費が約6,500万円の増額となっています。これは、第1分団及び第5分団の機械器具置場の建て替え等として6,188万7千円が計上されているためです。

こうして見ると、平成31年度当初予算額は前年度から大幅増となっていますが、「選挙前だから大盤振る舞いをした」ということではなさそうです。

主な新規事業

新規事業では次のようなものが計上されています。

都市マスタープラン改定事業 5,244千円
農業ふれあいセンター賑わい創出事業 292千円
ベビーベッド・ベビーバス貸出事業 4,515千円
学校水泳指導民間委託事業 2,794千円
中学校3年生インフルエンザ予防接種補助金交付事業 2,200千円
コミュニティ・スクール事業 80千円

「ベビーベッド・ベビーバス貸出事業」は、0歳児おむつ無料化事業に続く乳児向けの支援です。お金が掛かるのは0歳児だけではないのですが、なぜか北本市の支援は乳児向けに偏っています。

このほかに継続事業ですが「森林セラピー事業11,406千円」も気になります。

森林セラピー事業とは、「森林セラピー基地®」の認定制度を活用し、都心近郊に残された貴重な緑地空間と自然環境の良さを官民連携により広くPRして、来訪者の増加を図るとともに、来訪者の市内滞留時間の拡大を図り、地域経済の活性化を推進するもので、平成30年度当初予算では250万円が計上されていました。

平成31年度は、認定記念イベントや、ガイドやセラピストの育成、案内看板等の整備を行い、平成32年度から森林セラピー基地事業を開始する予定のようです。この事業により、どれほどの観光客が増え、市内経済の活性化に効果があったのか、しっかりと検証してもらいたいところです。