8月2日に平成30年度のふるさと納税の実績が総務省から発表されました。平成30年度中のふるさと納税の総額は約5,127億円(対前年度比約1.4倍)と増加傾向が続いています。
最も多くふるさと納税を集めた自治体は大阪府泉佐野市の約498億円で、ふるさと納税総額の約1割を1つの自治体で集めたことになります。ふるさと納税額の上位20団体の合計額は約1,950億円、ふるさと納税総額の約38%を占めます。一握りの自治体にふるさと納税が集中していることがわかります。
ふるさと納税がここまで流行した理由として、ふるさと納税を受けた自治体が寄附者に送る返礼品があります。返礼品の送付は制度化されていませんが、ふるさと納税を集めるためのインセンティブ(動機付け)として寄附者に地場産品などを送付する自治体がほとんどです。総務省では平成29年度から継続して全国の自治体にふるさと納税の趣旨に反するような返礼品を送付しないよう、責任と良識のある対応を求めていました。
しかし、いくつかの自治体はこれに従わなかったため、地方税法を改正するなどし、返礼割合が3割を超えている自治体や地場産品以外を返礼品として提供している自治体を、ふるさと納税の対象から除外(その自治体にふるさと納税をしても寄付金控除が受けられない)することとしました。
昨年度のふるさと納税額上位4団体は、今年6月1日以降はふるさと納税をしても寄付金控除が受けられない、実質的にふるさと納税制度の対象外の自治体となりました。また、43団体については指定対象期間が4か月に限定され、今年10月以降について指定するかどうかは取組状況を踏まえて改めて判断することとされました。
ふるさと納税制度から除外された4団体が昨年度集めたふるさと納税額の合計は約1,113億円です。結局は、全国市長会や町村会で申し合わせたルールを守らなかった自治体が得をしたことになります。今年6月からはふるさと納税制度の対象から除外されましたが、もうこれまでに十分すぎるほどの寄附を集めたことでしょう。
ふるさと納税制度が厳格化されたことで、今までのように少数の市町村が突出してふるさと納税を集めることはなくなると思います。今まで拡大の一途をたどったふるさと納税の規模がいったんは縮小へ向かうでしょう。しかし、返礼割合3割以内、募集に要する経費5割以内でも、まだ高すぎるのではないかと私は考えます。その理由はまた後ほど。