10月5日(土)に行田市産業文化センターで行田市が主催する市民向けの新ごみ処理施設整備の説明会がありました。
これに先立ち、9月30日には鴻巣市・行田市・北本市の三市長による懇談(正式な会議ではないため議事録も残さないということに石井市長は不満げでした)があり、そこでも石井市長は自分の意向を伝えたとのことです。
行田市としては、広域でごみ処理を行う意義を認めつつも、極力整備費用を抑えて、適切な規模で整備することが重要であり、とりわけ建設地については行田市小針に建設することを提案しています。正確には、小針を主張するというよりも、現在の候補地と小針とを比較した上で、三市にとって安い方にするべきという意見です。
現在の候補地は道路よりも1.5m程度低く、地表の軟弱な土壌も取り除くとすると4メートル程度の盛り土が必要で、1メートル当たり5億円、総額20億円程度の経費が掛かることを考えれば、必然的に小針になるとも言っていました(根拠は不明です)。
三市では平成25年に協定を締結しており、そこには鴻巣市に建設すると明記されています。一方で、疑義が生じた場合には協議するとも記載されています。管理者である鴻巣市長は、協定書に基づき正当な手続きを踏んで建設地を決定したものであり、疑義はないという立場で、粛々と建設を進めようとしています。果たして疑義は生じているのでしょうか。
(参考)ごみ処理の広域化の推進に関する基本合意書 平成25年5月7日締結
何をもって疑義とするかですが、三市の間で異論があればすなわち疑義として考えることも可能と思います。しかし、行田市の工藤前市長の時には疑義とはされていなかったものが、市長が変わったからといって果たして疑義になるものでしょうか。首長や議員が変わるたびに意思決定が覆されてしまったら、事業が進まなくなってしまいます(事実そうなろうとしています)。
確かに、小針の方が、整備費が安く済む可能性は高いと思います。ではなぜ、行田市は当初から小針に建設するべきと主張しなかったのでしょうか。協定書を締結した時と小針の状況は変わっていません。協定を締結する際に小針に建設すべきと主張すればよかったのではないでしょうか(その場合は、収集運搬費が著しく高額となることから、北本市が承諾しなかった可能性はあります)。
なお、小針の用地に新施設を建設することについて、石井市長は地元には特段の説明をしておらず、了解も得ていないようです。元々新施設を建設することを予定して高く買い上げた用地だから、地元の方の了解も得られるだろうと考えているようですが、少なくとも現段階では了解を得られていません。一般的に迷惑施設と呼ばれるような施設は、建設場所の選定、つまり地元住民の了解を得ることが極めて難しく、最大の関門となります。鴻巣市は協定書に従って建設地を選定し、地元の了解も得ています。行田市は地元の了解が得られていないにも関わらず、そこを建設地とすることを検討するように主張しています。地元住民の理解を得ずに進めても、絵に描いた餅です。比較検討の土俵に上がるためには、地元住民の同意は不可欠だと思います。
一方で、組合では現在、11月の議会で入札の事前行為となる債務負担行為(建設と運営が一体のDBO方式を予定)の議案を提出する準備をしており、総事業費の算出を進めています。ここで算出された総事業費が、現在の計画額を大幅に上回り、北本市が財政的に負担することができないような金額になってしまえば、抜本的な見直しが必要となります。鴻巣市の中で最善であるはずの候補地では財政的に建設不可能となれば、それこそ疑義です。
そういう意味でも組合の執行部が示す総事業費(債務負担行為額)がいくらになるのか、楽しみであり、不安でもあります。財政的に負担可能な額なのか、他の自治体で建設している施設と比較して妥当な金額か、議会としてもしっかりと調査して、判断しなければいけません。
その前に、三市長の考えが一致していない中で、債務負担行為の議案を果たして上程できるのでしょうか?入札の前提となる大変重要な議案です。管理者(鴻巣市長)が決裁したとしても、副管理者(行田市長・北本市長)が了解していないものを議案として提出してきても、少なくとも私は賛成することはできません。
石井市長は、行田市自らが新施設建設の三市の枠組みから抜けることはないと言っています。自ら離脱すれば、これまで掛かった費用などについて損害賠償を求められるおそれがあるからではないかと思います。大変難しい局面を迎えていることは確実です。