新ごみ処理施設の整備促進に関する基本合意書締結(2021.9.16)

基本合意書が締結されました

令和3年9月16日、北本市、鴻巣市、吉見町の3市1町で、新たなごみ処理施設の整備促進に関する基本合意書が締結されました。内容は次のとおりです。

1 新たなごみ処理施設の整備促進に関する枠組み
鴻巣市、北本市、吉見町の2市1町による枠組みで、埼玉中部環境保全組合を事業主体として、新たなごみ処理施設の建設を行う。

2 新たなごみ処理施設の建設予定地
施設の建設予定地は、鴻巣市郷地安養寺地内とする。

3 新たなごみ処理施設の整備促進に関する事務局
事務局は、埼玉中部環境保全組合内に設置する。

4 補則
本合意書に定めのない事項及び本合意内容について疑義が生じたときは、鴻巣市、北本市、吉見町で協議のうえ、決定するものとする。

なお、鴻巣市、行田市、北本市による新ごみ処理施設整備の白紙解消から今までの経過については、こちらで説明しています。http://sakuraisuguru.jp/2021/06/02/shin-gomishorishisetsu/

全員協議会における市長説明と質疑

令和3年9月15日に全員協議会が開催され、基本合意書の締結について改めて市長が説明した上で、各議員が質疑を行いました。

多くの議員が質疑を行いましたが、問題点は大きく次の3点に集約されていたように思います。

  1. 令和2年12月22日の議会決議の3について履行されていない。
  2. 同決議の4について履行されていない。
  3. 建設予定地を鴻巣市郷地安養寺地内とすることが明記されている。

1,2(決議の3,4)については、令和2年8月23日の市民説明会において、市長自らが約束したことを具体化したものです。

https://www.city.kitamoto.lg.jp/material/files/group/19/gitei202015.pdf

問題点1 あらゆる可能性の調査を実施していない(決議3の不履行)

決議の3は、あらゆる可能性の調査を求めたものです。

一般的には、自治体が単独でごみ処理施設を建設するよりも、複数の自治体が共同で建設し、運営(広域処理)した方が、スケールメリットが働き、安くなります。

しかし、鴻巣行田北本環境資源組合から示された事業費はあまりに巨額で、「本当にそんなに掛かるのか」、「それならば単独で実施した方が安いのではないか」という疑義が生じました。

ところが、北本市として事業費の妥当性を評価するための物差し(判断基準)を持っておらず、組合が示した事業費の妥当性が評価できなかった反省から、市として評価基準(基礎数値)を持っておく必要があると考え、調査を行うことを決議に盛り込んだものでした。

また、白紙解消後、広域処理ではなく単独で建設すべきという意見や、焼却処理ではなくトンネルコンポストで減量化すべきといった声が市民や議員からも挙がっていたことから、これらのメリット、デメリットを正しく評価するためにも、調査が必要と考えていました。

ところが市長は、2市1町で建設する場合にはこうした調査を組合で実施するため、市で実施しても無駄になる(と市民が判断すれば損害賠償請求をされる)と考え、令和3年度当初予算に計上した調査のための予算を執行しませんでした。

北本市が独自の評価基準を持っていなければ、今後組合から示される様々な数値をただ信用するしかなくなります。武器も持たずにどうやって交渉に臨むつもりでしょうか。あまりにも稚拙です。

問題点2 市民や議会の声を聴いていない(決議4の不履行)

2については、令和2年8月23日の市民説明会において市長が自ら「市民の声、市議会の声をお聴きしつつ…」と約束しておきながら、結局声を聴くことなく、同年11月24日に新ごみ処理施設の整備を鴻巣市と進めることを議会に報告したため、決議に盛り込んだものです。

市民説明会で配布された資料から

決議では単に声を聴くだけでなく、「予め市民や市議会の意見を聴くとともに、十分な共通理解及び合意形成を図ること。」と予防線を張ったつもりでしたが、全く効果はありませんでした。

この点について9月15日の全員協議会で市長に質したところ、これまでも2市1町での協議の進捗状況について議会に丁寧に報告してきたと答えましたが、報告だけでは決議の内容を満たしていないことは明白です。

問題点3 建設予定地の明文化

基本合意に盛り込まれた建設予定地について、私は市長に対し、次のように質疑しました。

鴻巣行田北本環境資源組合で建設地を決める際には、基本計画、基本方針を定め、有識者や各市の市民代表と議員、地元住民などで構成された建設等検討委員会を設置し、50以上の候補地の中から検討を重ねて選定されたが、白紙解消になった。建設「予定」地ということは、正式には決まっておらず、今後埼玉中部環境保全組合において新たな検討委員会を設置し、建設地の決定を行うのか。

これに対し市長は、北本市としては「予定」とすることで今後の検討に含みを持たせたが、鴻巣市としては郷地安養寺地内というのは譲れないところのようだ、という答えでした。つまり具体的に詰めていないということです。

「予定」という微妙な文言に対して、現時点において両市長の思惑がズレているということは、今後の協議において大きな問題となるでしょう。後になって「自分はそんなつもりではなかった」と言っても遅いのです。郷地安養寺に建設することとなった場合、余熱利用施設(温浴施設)の整備についても、鴻巣市とすれば「場所に合意したんだから、当然了承されている」と考えるのではないでしょうか。こうした重要なことを曖昧にしたまま基本合意を行うべきではないと考えます。

現時点では、建設予定地を郷地安養寺地内とする根拠はありません。繰り返しますが、郷地安養寺地内に決定したのは鴻巣行田北本環境資源組合であり、同組合による施設整備は白紙解消になっています。改めて建設地を決めるためには、多少簡略化したとしても、基本計画を定め、方針を決定し、専門家・市民・議員を含めた委員会で決定をするのがスジです。膨大な時間と費用を要する事業の意思決定方法としてあまりにも乱暴です。

以上のとおり、私としては今回の基本合意はあまりにも拙速であると考え、全員協議会に先立ち、令和3年9月13日に合意延期の申入れを行いました。(申入書はこちら

しかしながら令和3年9月16日、鴻巣市役所において、予定どおり基本合意書が締結されました。

今後は、埼玉中部環境保全組合において、施設整備に向けた検討が始まることとなります。私は同組合の議員でもありますので、しっかりと務めを果たしたいと思います。