令和元年第3回定例会における一般質問 9月17日(火)
件名3 学童保育における学校との連携について
要旨1 学童保育室と学校の連携の現状について
要旨2 いじめ、虐待、発達障害がいが疑われる場合の学童保育室と学校の連携について
要旨1 学童保育室と学校の連携の現状について
質問
厚生労働省の放課後児童クラブ運営指針では、第5章として、学校及び地域との関係について定めている。本市では指針に照らして学童保育室と学校との連携がきちんとできているか。現場ではどのように連携を図っているか。また、教育委員会でも運営指針を認知し、各小学校に周知されているか。
答弁(三橋福祉部長)
学童保育室では、放課後児童クラブ運営指針に基づき運営している。学童保育室に在籍している児童の様子について気になる言動等があった場合は、必要に応じて小学校に連絡を入れ、担任の先生等と相談をすることで情報を共有し、連携を図っている。また、校庭、体育館等、学校施設の利用についても、学校に相談をし、運営に支障のない範囲で利用許可をいただき、児童の遊びや活動の内容を広げている。学校との定期的な情報交換等は行われていないが、必要に応じて随時学校と連絡をとり、連携を図っている。
答弁(原口教育部長)
学校と学童保育室が連携して子どもたちを育てていくことは、子どもたちの生活の連続性の視点から重要である。毎月発行する学校便りや学年通信を配付したり、行事の予定や各学年の学習の計画などを知らせている。学校公開日には、学童保育支援員に教室内での子どもたちの様子などを公開している。さらに、日常的に必要に応じて在籍児童についての情報交換を行っている。新年度の4月は、週に1から2回程度、情報交換を行い、1年生に関することや新たに学童保育室を利用する児童の様子について、担任教諭を中心に学校での様子や気になる言動、必要な支援等を学童保育支援員に伝えている。
しかし、児童に関する情報の多くが個人情報となるため、情報公開に関しては管理職の許可を得た上で必要最小限にとどめている。児童の様子については、学校が直接、保護者に伝えているが、保護者の同意が得られ、必要と判断した場合は、学童保育指導員へも伝えている。また、学校施設である校庭や体育館の使用については、学童保育室からの依頼をもとに学校長が許可をしている。
放課後児童クラブ運営指針について、教育委員会として詳しく認知に至っていないが、基本的には運営指針の趣旨に沿った連携がなされており、日常的な情報交換及び情報共有等で学校と学童保育室は良好な関係が保たれている。教育委員会では、学校がこれまでどおりの情報共有や施設利用許可を続けていくことが、児童の多様な経験と健やかな成長への支援となると考えている。
再質問
Q.運営指針は大変重要な指針なので、解説書と合わせて、福祉部から教育委員会に通知し、各学校にも周知を図っていただきたい。私が各学童保育室に調査したところ、日常的に情報交換をできている、情報交換できる関係性が築けているという学童保育室が多いようだが、学校として組織的に対応しているというより、先生によって対応が異なっているようである。教育委員会としてはどのように認識しているか。
A.(原口教育部長)学童と学校との情報交換は、主に学童保育室に児童が向かうタイミングで学級担任が学童保育室に児童を送っていきながら、その児童の状況や様子について情報交換並びに情報共有をしている。学校としては、学童保育室のみならず保護者、関係機関を含めて、どこにどのような情報を伝達することが児童にとって望ましい支援となるのかを常に考えている。教育委員会としては、児童のよりよい成長のために今後、教員一人ひとりに適切な情報を学童保育室に伝達するよう指導、助言をしてまいりたい。
要望
ぜひ、学校の先生方にも学童保育事業をよく理解した上で、学童保育室と適切に連携できるよう教育委員会からも御支援いただきたい。
要旨2 いじめ、虐待、発達障害がいが疑われる場合の学童保育室と学校の連携について
質問
学童保育室と学校とは日常的に情報交換を行い、連携をして子どもたちの健全育成を図っていく必要があるが、特にいじめ、虐待が疑われる場合には迅速かつ的確に対応する必要があるし、発達障害が疑われる場合にも早期発見、早期支援が重要。日ごろから連携を密にしておき、在籍する児童に何らかのトラブルや気づきがあった場合に、学校生活や学童生活の中で先生や支援員がどのように感じているか、どのように対応しているかなどを話し合うことで、児童に対し、より適切な対応ができる。いじめ、虐待、発達障害がいが疑われる場合の学童保育室と学校の連携について、どのような連携が望ましいと考えているか、また連携の現状はいかがか。
答弁(三橋福祉部長)
学童保育室でいじめ等のトラブルが発生した場合は、当人同士から話を聞き、指導を行い、保護者に報告をする。また、虐待が発見された場合は、学童保育支援員は児童相談所及び警察への通告を行っている。通告後は、児童相談所等の関係機関からの指導に基づき、必要な措置をとっている。
学校への連絡は、学童保育室からではなく関係機関から情報提供を行うこととなっており、学童保育室から学校への情報提供は行っていない。ただし、虐待とはっきり認められないものの疑わしいといったケースでは、学校に情報を提供することで担任の先生等から児童の確認をし、必要に応じて関係機関に連絡をしている。発達障がいが疑われる場合は、児童の支援について保護者と相談し、保護者から学校での対応等を伺うなど、保護者の協力のもとで学校との連携を図り、児童に合った支援を行っている。
学童保育室と学校との連携については、子どもたちに何か変化や問題が生じた際に、学童保育室から学校にすぐ連絡調整ができる体制を構築することが必要。本市では、全て公設で学校敷地内に学童保育室が設置されていることからも、学校と密接なかかわりを持てていると考えている。
答弁(原口教育部長)
学校においていじめ等の問題が発生した場合には、当該児童から話をよく聞いた上で指導を行い、保護者に連絡をする。したがって、該当児童が学童保育室を利用していた場合でも、保護者に状況を伝達することが最優先。学童保育室との連携については、保護者の同意のもと、学童保育支援員へ当該児童間に問題が生じたことを伝え、見守っていただいている。詳細については、個人情報となりますので保護者から直接、学童保育指導員へ伝えていただく。
また、学校が虐待を発見した場合には、法令に基づき、児童相談所及び警察へ通報する義務が生じる。まずは関係機関との詳細な報告や連携を最優先し、学童保育室へは児童の所在を明らかにするための連絡をすることにとどまっているのが現状。学童保育室からの虐待が疑われる案件の報告があった場合には、早急に児童と面談を行うなど心身の状況を確認して、関係機関への通報の有無を判断している。
学校生活の中で発達障がいが疑われる場合については、保護者と合意形成を図り、関係機関と連携するなどして当該児童のニーズに合った支援の方法を考える。学童保育支援員への情報提供、情報交換については、必要に応じて学校で行っている支援方法について保護者が直接伝達する。現在はこの連携で大きな問題はない、今後も福祉部と連携を図りながら、さらなる児童の安心・安全と個に応じた成長を支援するための手立てについて研究をしてまいる。
再質問
Q.発達障がいが疑われる場合について、既に医療機関など専門機関で受診をしている場合には、保護者の協力のもとに学校と連携して支援するという形で問題はないが、難しいのは「疑わしい」ケース。本人はもちろん、家族にも自覚がない。自覚があっても、その事実の受入れを拒否しているような場合。例えば発達障がいが疑われて医療機関を未受診という場合に保護者に受診を勧めたとしても、簡単に受け入れてくれる場合の方が少ないのではないか。受診について本人や保護者の理解を得るためには、学校と学童で、先生と支援員で情報を共有して、共通理解のもとで支援をしていく必要があると考えるがいかがか。
A.(三橋福祉部長)発達障がいは個人差が大きい障がいであり、発達障がいの疑いのあるお子さんの保護者に受診を勧め、理解をいただくことは、非常に難しい。学校と学童、先生と支援員が、情報を共有して、共通の理解を持って保護者の方に受診の必要性を伝えることは、お子さんの受診や支援につながるものと考える。
A.(原口教育部長)学校は保護者との信頼関係を大切にし、時間をかけて丁寧に児童の様子を伝えて関係機関につなげられるように支援や助言を行っております。詳細に関しましては、個人情報であるため学校としては直接、学童保育支援員に伝えることはやりませんが、学校での生活の様子に関しては必要に応じて伝達して情報共有しております。また、学校も学童保育室での様子を確認させていただくこともあります。学校といたしましては、学童保育支援員からの情報も活用させていただき、児童の学校生活の支援や指導に当たっております。
Q.学童保育室の支援員は発達障がいの専門家ではないし、専門的に支援する体制も整っていない。学校にはスクールソーシャルワーカーなどの専門家もいる。児童への支援方針を決めるに当たり、必要に応じて学校の担任の先生や管理職、学童保育の支援員、養護教諭、スクールソーシャルワーカーなどを交えたケース会議を開いて支援方針を話し合うということも有効と思うが、そうしたことは可能か。
A.(原口教育部長)児童を複数の目で見て、専門的知見からよりよい支援を検討することは、非常に重要。現状は、学校ではスクールソーシャルワーカー、また学童保育支援員、児童相談所の職員、民生児童委員、教育センターの職員、子ども課職員など、関係機関等を交えたケース会議を行っている。また、養護教諭は、あらかじめ管理職や担任教員に情報を提供し組織的に対応しているため、ケース会議に参加していない。今後も、児童の学校や日常生活に係る問題解決を第一に考えたケース会議となるように、検討を重ねてまいる。
Q.児童福祉法第6条の第2の2、第6項に規定されている保育所等訪問支援事業は、障がい児が入所する施設を訪問して、障がい児以外の児童と集団生活への適応のための専門的な支援等を行う事業。また本市では、児童発達支援センターにおいて巡回相談支援事業を実施しているが、この2つの事業の違いは何か。また、これらの事業を学童保育が活用することは可能か。
A.(三橋福祉部長)保育所等訪問支援は児童福祉法に基づく福祉サービスで、障がい児通所支援の一つ。訪問支援員が対象となるお子さんの通う保育園や幼稚園等を訪問し、集団生活への適応について支援を行う。個別支援計画を立て、お子さんに対して直接発達支援を行う。このサービスを利用するためには、保護者が市に対して給付費支給申請を行い、事業の対象児童であることの認定を受けることが必要となる。
一方、巡回相談支援事業は、北本市立児童発達支援センター設置及び管理条例第4条第4号に規定する市長が必要と認める支援に関することとして、北本市立児童発達支援センター巡回相談支援事業実施要項を定め、実施している事業。保育や療育等に関する専門的知識を有する相談員が、市内の保育所、幼稚園や認定こども園を訪問し、発達の気になるお子さんへの対応について施設の職員に助言等を行い、支援をする。申請は、保護者の同意を得て、保育所や幼稚園などの施設が行う。保育所等訪問支援と異なる点は、保育所等訪問支援は法に基づく障がい児通所支援としての位置付けだが、巡回相談支援事業は発達の気になるお子さんへの支援について柔軟に対応する、市の任意の事業である。
学童保育室での活用については、保育所等訪問支援は児童発達支援センターのほか、他の事業所でも実施しており、対応できる事業所であれば、対象者の保護者からの申請を受けることで学童保育室も利用することができると考える。一方、巡回相談支援事業につきましては、児童発達支援センターが実施している事業で、現在は要綱でその対象を市内の保育所、幼稚園、認定こども園と規定している。したがって、体制を整え要綱を改正することで学童保育室も活用できる。
要望
様々な困難を抱えたお子さんが不安なく学校、学童生活を送れるよう、学校と学童保育室でしっかりと連携、協力をして支援をしていただきたい