昨日の鴻巣行田北本環境資源組合議会に、「行田市所有の小針クリーンセンター隣接地と現建設候補地とを、比較検討することを求める請願」が提出され、賛成6、反対7で不採択となりました。私は反対討論を行い、反対に票を投じたのですが、討論だけでは全てを伝えきれなかったので、ここで改めて説明します。
この請願は、竹村元宏さん外2,220名により令和元年11月7日に提出されたもので、実際の請願は次のとおりです。竹村さんも議会に出席し、直接説明をしていただき、議員からの質問にも答えていただきました。
行田市所有の小針クリーンセンター隣接地と現建設候補地とを、比較検討することを求める請願
請願についての追加説明(議会における説明時に議場で配付)
具体的な請願事項は、最後の2つの段落にあります。
- ごみ処理新施設に係る私たち三市の市民は、新施設がどこにあろうとも、市の財政負担が少ない施設建設整備と、新設備で処理される費用が安価で、安定して維持されることを強く望んでおります。
- よって、早急に鴻巣行田北本環境資源組合において、現建設予定地と小針クリーンセンター隣接の行田市所有地について、周辺整備を含めた新施設建設工事にかかる総額の比較検討をされることを求めます。
請願の標題のとおり、求めているのは「現候補地と小針との比較検討」です。「安く建設すること」ではありません。ここに疑問を持ちましたので「現候補地と小針とを比較検討し、どちらか安い方に建設するという主旨ですか」と質問しましたが、竹村さんの答弁を聞くと、小針に限らずもっと安くできる場所や方法を検討するべきという主旨であると受け止めました。竹村さんも、小針に建設することが北本市にとって経済的に有利とは限らないことを分かっていますから、請願の本意が「小針との比較」ではなく「できるだけ安く」にあるのは当然です。
もしこの請願が「小針との比較検討を行うなど、総事業費を抑制するための方策を徹底的に検討することを求める請願」であれば、私も賛成しました。小針との比較はあくまで例示であり、本意が総事業費の削減にあるからです。
大きな違いはないではないか、と思う方もいらっしゃると思いますが、とても重要な違いです。今回の賛否を決めるに当たり私が重視したのは、鴻巣市の現建設候補地や行田市小針の地元住民の感情です。
鴻巣市郷地・安養寺・笠原地区の住民の皆さまにとっては、迷惑施設と言われるごみ処理施設を受け入れることは大きな決断だったと思います。喜んで受け入れているわけではありません。組合はこれまで何年も掛けて地元との関係を築き、受け入れていただくための条件を話し合ってきました。ここでもし議会が小針も検討しようという判断をすれば、これまでの努力が無駄になり、地元の方から「それならば小針に建設してください」という声が挙がる可能性は小さくありませんし、今後の条件交渉が難しくなるのは間違いありません。
また、行田市長は小針の地元の方々に「小針に建設すること」の正式な合意を得ていません。「過去に羽生市との新ごみ処理施設を建設する目的で土地を取得しているから地元の了解をいただくのは難しいことではない」と考えているようですが、直接話もなく簡単に了解してくれるだろうという態度は、地元住民にとって気持ちの良いものではないと思います。実際に小針クリーンセンター近くに居住する行田市選出の組合議員は、小針の地元住民の合意が得られていないとして、この請願に反対しています。
小針なら建設できるという確証もない状態で、鴻巣市郷地・安養寺・笠原地区にも建設できなくなれば、ごみ処理施設建設における最重要課題である建設地選びが白紙に戻ります。そうした事態だけは避けなくてはならないと考え、私は今回の請願に反対しました。
もとより、私も今の場所で、今の概算事業費で進めることがよいことだとは全く考えていませんから、反対討論では三市合意や地元住民の感情に配慮して次のように述べました。
◆私の反対討論(要旨)
組合議会に対しては、10月28日に開催された全員協議会において、執行部から概算事業費が示されました。大変大きな金額で驚いたところですが、まだこの概算事業費について、圧縮が可能なのか、どうすれば圧縮ができるのか、3市において財政的に負担可能なのかなどの検証、検討は行われておりません。11月5日の臨時議会で設置することとなった「新施設建設特別委員会」において検証、検討すべきものと考えています。鴻巣市内の別の場所に建設することを含め、まずは事業費を圧縮するためのあらゆる方策を検討すべきではないかと考え、本日、一般質問をさせていただきました。
また、仮に小針と比較する場合であっても、新施設の建設・運営だけでなく、各市の収集運搬費用も含めたトータルコストで比較・検討をする必要があると考えますが、この請願の文面からは読み取ることができませんでした。
これまで何年も掛けて建設地を検討し、地元住民の皆さまにもご理解をいただき、調整を行ってきた経緯も踏まえ、まずは現建設予定地における総事業費の圧縮に最大限の努力をすべきと申し上げ、反対討論とさせていただきます。
なお、現候補地に建設する場合の概算事業費は10月28日の議会全員協議会で示されており、小針に建設した場合の概算事業費も行田市長が試算し、組合議員でも共有されています。原口管理者は、三宮・石井両副管理者に、鴻巣がいいのか小針がいいのか各市において各議会と改めて協議するよう指示しています。さらに議会には新たに特別委員会が設置され、新施設建設について話し合う場ができました。この1か月の間に事態の打開に向けてこれだけのことが進んでいることを付け加えておきます。
今後の進め方や考えられる事態については、また別の機会に説明させていただきます。