鴻巣行田北本環境資源組合議会の第3回定例会が11月15日に開催されました。
当初、今回の定例会では、新施設建設・運営に関する入札に先立って債務負担行為を設定する補正予算の議案が予定でしたが、かねてから行田市長が主張する建設場所の見直しが行われていないことや、直前に組合が示した最新の概算事業費が高額であったことなどから、3市で合意ができず、債務負担行為の設定が見送られました。
債務負担行為の先送りを決定したのは10月21日の正副管理者会議です。この場で管理者である原口鴻巣市長は、次のように述べています。
「建設場所もいろいろなご意見があるわけですから、市長としての判断も重要ですけれども、これは全部議会に認められておりますので、各市の議会と一回調整をしていただいて、それで小針にするのがいいのかどうか、それを至急話し合いをしてもらいえないですか。(中略)。今の場所でいいのか、あるいは小針にした方がいいのか。」
「債務負担行為の補正を出すのはやめましょう。無理です。それぞれの行政で結論を出していきましょう。それからまた、今の段取りでいいのか、まったく別のことで考えた方がいいのか。それぞれの議会と話をしていただいて、そしていい方向性というものを見出していけたらと思う。よろしいですか。」
しかし、北本市では、行田市が作成した小針に建設した場合の概算事業費試算が11月1日に市長から報告という形で全議員へ示されただけで、具体的な話し合いは行っていません。
また、11月15日の定例会で、原口市長は鴻巣市議会に対して何ら説明も報告も行っていないことが明らかになりました。すでに何年もかけて決めてきたことだから改めて話すことはないという姿勢です。
一方の行田市の石井市長は、今定例会に提出された請願に反対した行田市議会議員に対して、怒りを隠しきれない様子で、このことは市民にちゃんと知らせるからなと強い口調で伝えていました。こちらも譲る気は全くなさそうです。
今定例会の一般質問で、私が原口管理者に対し、三者で合意できるまで期限を設けずに話し合うつもりでしょうか?と質したところ、管理者からは今年度中には債務負担行為を設定するという答えでした。しかし、今の3市の状況からは、合意が容易ではないことは明らかです。
北本市としても、現計画どおり約600億円の総事業費では財政的に負担できないでしょうし、行田市小針に安く新施設を建設したとしても、収集運搬費が大幅に増えるのでやはり財政的に負担困難です。
原口鴻巣市長も石井行田市長も、口では「3市の枠組みを維持することが大事」と言っていますが、行動は異なっています。枠組み維持は建前としか思えません。自らが離脱を言い出すことで破綻の責任を負うことを避けているのではないでしょうか。いずれにしても、私は3市の枠組みは早晩破綻すると見ています。
今後の有力な方向性は、埼玉中部環境保全組合の延命ではないかと思います。吉見町や桶川市など9市町村で構成された埼玉中部資源循環組合で吉見町に新しいごみ焼却施設を造る計画は破綻し、吉見町としては現在の環境センターを今後も長期的に使わざるを得ない状況です。埼玉中部環境保全組合として、現環境センターの大規模延命工事を施しながら、鴻巣市や吉見町だけでなく、桶川市も含めて新たな広域処理の協議をしていくのが現実的だと思います。
その際も一番難しいのは建設場所です。鴻巣市の現建設予定地では財政的に大きな問題がありますが、広域処理できる大規模施設の建設地を北本、桶川、吉見で見つけることはそれ以上に困難ではないかと思います。北本市単独で小さな施設を建設することも選択肢の一つになりそうですが、それでも候補地の選定は間違いなく難航します。
組合議会には新たに新施設建設特別委員会が立ち上がりましたので、まずはこの場で、現在の予定地に建設することを前提にどうやれば事業費を抑制できるかしっかりと議論しながら、3市の枠組み破綻も見据えて北本市の立ち居振る舞いを考えていかなければなりません。