議会改革の方向性
本日(令和2年7月3日)、議会改革特別委員会の初めての委員会が開催されました。
特別委員会の設置の目的は「議会の活性化、議会組織機能、議会運営等の議会改革に関する調査・検討」とされていますが、非常に漠然としており、方向性も定まっていません。
これでは議論にならないだろうと思い、私からつぎの2点について提案しました(桜井提出参考資料)。
一つ目は、早稲田大学マニュフェスト研究所が毎年調査を実施している「議会改革度調査」に基づく改善です。この調査は「情報共有」「住民参画」「機能強化」の項目に分け、市町村市議会の取組状況を点数化していますが、北本市は「機能強化」の項目が495点(県内8位)なのに対し、「情報共有」が230点(22位)、「住民参画」が255点(20位)と評価が低くなっています。
「情報共有」の取組で北本市議会が実施していないこととしては、委員会の会議録の公開や動画配信、政務活動費の領収書等の公開などが挙げられます。また、「住民参画」としては、住民が声を寄せる機会の拡大、住民意見の議会活動への反映などが挙げられます。
議会改革度は毎年上位300位以内の自治体の名称が公表されており、2019年の北本市の順位は419位でした。改革に取り組み、300位以内に上げることができれば、対外的にも分かりやすい結果となります。
もう一つは、「北本市議会基本条例」に基づく改善です。北本市議会では、平成29年5月に議会基本条例を制定しましたが、条例に規定されていながら実施していない項目があります。
具体的には、議会モニターの設置(第12条)、公聴会及び参考人制度の活用(第25条)、政策討論会(第27条)、学識経験を有する者及び市民との議員研修会(第31条)などです。せっかく条例に規定した内容ですから、積極的に活用を図るべきです。
私からはこれら大きく2点を中心に議論を進めてはどうかと提案しました。
他の議員からの意見として、湯沢委員からは通年議会化や議会基本条例に照らした検証(議会モニターの設置など)、委員会の動画配信などが提案され、高橋委員からは「テーマを絞ってまずは何を優先して話し合うか決めるべき」という意見がありました。渡邉委員からも「テーマを絞ることが大前提。まずは議長の意向を聴きたい。」という意見がありました。
議長のねらい
今回、議会改革特別委員会を設置したのは、滝瀬議長から打診があったからです。そこで委員会において、改めて議長にその狙いについて聴きました。
一つ目は『通年議会の導入』です。通年議会とは、定例会の会期を1年として閉会期間をなくし、必要に応じて本会議・委員会を開けるようにする制度です。
北本市議会は、定例会として年4回(3月、6月、9月、12月)招集されています(北本市議会基本条例第18条第1項、第2項)。しかし今年は新型コロナウイルス感染症への対応のため、5月に一度臨時会を開催しましたが、それだけでは足りず、市長は議会を招集する時間的余裕がないとして地方自治法第179条第1項に基づく専決処分を行いました。
専決処分が乱発される状況は好ましくないことから、いつでも議会を開けるよう「通年議会」にしてはどうか、という提案です。
二つ目は『予算・決算特別委員会の設置』です。予算・決算については一つの議案ですが、現状では3つの常任委員会に分割して付託され、審査をしています。行政実例によれば、一つの議案を分割して委員会に付託する行為(分割付託)は違法状態に当たります。
北本市においては、古くは一般会計と特別会計の特別委員会が設置されており、予算・決算以外の議案は本会議で審議をしていたとのこと。全ての議案を委員会で審査することとなり、3つの常任委員会が設置され、その際に予算・決算についても各委員会で審査することになった、というのが過去の経緯と事務局から説明がありました。
私が勤めていた埼玉県庁では県議会に予算・決算委員会が設置されていましたから、市議会議員になったとき、予算・決算が分割付託されていることにとても違和感がありました。早く是正すべき事項だと思います。
まずは予算・決算審査改革から
議長からは、令和元年度の決算審査(従前は9月定例会で審査)から変えたいという意向が示されましたが、そうなるとスケジュールが非常にタイトです。それに、予算・決算特別委員会の設置は、現状の違法状態の是正にすぎず、議会改革とは言うにはあまりにも情けないところです。しかし、改善しなければいけない事柄であることは明白です。
議会改革特別委員会としては、まずは予算・決算特別委員会の設置を優先すべき課題として取り組み、早期に設置できるよう努力します。そして、その後は議会改革の本筋ともいえる「情報共有(公開)」や「市民参画」の改善に取り組みたいと思います。