令和6年9月定例会に提案された議案

北本市議会令和6年9月(第3回)定例会に提案された議案のうち、予算・決算以外に関するものは条例3件、事件議決3件の計6件です。議案の概要と審査の結果についてお伝えします。

議案名をクリックすると議案(PDF)を見ることができます。

なお、令和6年9月定例会に提案された補正予算及び決算の認定に関する議案については、こちら(http://sakuraisuguru.jp/2024/09/27/r06-09hosei/)をご覧ください。

行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(番号法)の一部改正を踏まえ、利用することができる特定個人情報の範囲を拡大する。

社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会(第27回)資料

生活保護法の一部改正により、進学した者のほか、新たに就職した者についても給付金の支給対象とされ、「進学準備給付金」が「進学・就職準備給付金」と改められたことに伴い番号法が改正され、特定個人情報の範囲が拡大(就職準備給付金の追加)された。【参考】https://www.mhlw.go.jp/content/001249559.pdf

地方税法等の一部改正に伴い、規定の整備をする。

桜井の議案質疑

桜井
桜井

地方税法第34条の7が参照している所得税法第78条の寄附金控除の規定について、第2項の特定寄附金に第4号として「公益信託の財産とするために支出した当該公益信託に係る信託事務に関連する寄附金」が追加されたが、改正前は第3項として「特定公益信託のうち、政令で定めるものの信託財産とするために支出した金銭」は、特定寄附金とみなすという規定があった。具体的に何が変わったのか。

長嶋総務部長
長嶋総務部長

今回の改正は旧公益信託に関する法律の全部改正により新たな公益信託に関する法律が制定された。R6税制改正で新しい公益信託について現行の認定特定公益信託や公益法人と同様の課税関係となるよう所要の措置が講じられた。今の公益信託は信託銀行が一定に引き受けており主務官庁の許可により成立し、主務大臣の認定を受けたものが認定特定公益信託として寄附金控除の対象となっていたが、新法では行政庁による許可・監督制が創設され、認定特定公益信託という枠組みはなくなるが、特定寄附金の枠で公益信託への寄附金控除は現行と同様の課税関係となるよう改正されたもの。

桜井
桜井

「公益信託の財産とするために支出した当該公益信託に係る信託事務に関連する寄附金」とは、「信託財産とするために支出した金銭」は含まれないのか。

長嶋総務部長
長嶋総務部長

改正前の所得税法第78条第3項(寄附金控除)の規定で示されている「政令で定めるものの信託財産とするために支出するためにした金銭」とは認定特定公益信託に関する寄附金であり、改正後は認定特定公益信託がなくなる。改正所得税法第78条第4項に規定されている「公益信託の財産とするために支出した当該公益信託に係る信託事務に関連する寄附金」とは新制度における新しい公益信託に対するものであるため、別の制度としての寄附金を指す。

桜井
桜井

本市におけるふるさと納税以外の寄附金控除の実績は。また、公益信託に対する特定寄附金の実績は。

長嶋総務部長
長嶋総務部長

令和6年度当初賦課時点で個人市民税の気糞控除額が1億7,610万3千円。ふるさと納税以外の寄附金控除額は306万9千円。公益信託に対する特定寄附金の実績は把握できていない。

国民健康保険法の一部改正に伴い、規定の整備をする。施行は令和6年12月2日。

国民健康保険の被保険者証が廃止され、マイナ保険証に移行することに伴い、国民健康保険法第9条の規定が大幅に改正された。従来の「被保険者証」が廃止され、マイナ保険証又は「資格確認証」により資格確認を行うこととなる。

被保険者証の廃止に伴い、保険料未納者に対して被保険者証に替わって交付できることとされていた「被保険者資格証明書」も廃止される。

毛呂議員のみが本議案に反対されました。

※質疑については、議案第53号のほうも参考にしてください。

委員会での主な質疑

桜井
桜井

これまで国保税を滞納した場合、有効期間を短く定めた『短期証』や、一旦は10割を負担しなければならない『資格証明書』を交付できる規定があったが、法改正により削除された。マイナ保険証となった場合、国保税滞納時の取り扱いはどうなるのか。

保険年金課長
保険年金課長

特別な理由なく1年以上滞納した場合、償還払いに切り替える資格証明書を発行することが法律で定められていたが、廃止される。今後は、特別療養費を支給する旨の通知により対応する。特別療養費の対象者は、特別療養費の支給対象者であることを記載したマイナンバーカード又は資格確認書により受診し、その費用は後日償還払いとなる。なお、北本市では資格証明書は発行していないが、その代わりに短期証を発行している(短期証は法改正により廃止)。法改正後の短期証に代わる仕組みについて、国からは示されていない。滞納があっても、マイナ保険証は使い続けることができる。

高齢者の医療の確保に関する法律の一部改正に伴い埼玉県後期高齢者医療広域連合規約を変更することについて、議会の議決を求める。施行は令和6年12月2日。

改正の内容は、議案第52号と同じ。

本議案は、広域連合の規約変更は委員会付託しない先例に基づき先議となったが、議案の内容は議案第52号と重複しており、委員会付託しても良かったと思っています。今後の議会運営委員会で提案します。

なお、本会議では、毛呂議員のみが反対をしました。

桜井の議案質疑

桜井
桜井

マイナ保険証に苦手意識のある方も多いと思うが、マイナ保険証に移行しない方への対応と周知は。

小池こども健康部長
小池こども健康部長

今年7月に健康保険証の発行(送付)をした際に個別に周知を行っている。また、広報10月号(下の画像)、市ホームページで周知をする予定。

広報きたもと 令和6年10月号
桜井
桜井

過去に『別人との紐づけ誤り』があったことが報道されていたが、住民基本台帳データとの紐づけに誤りがないことの確認は終わっているか。

小池こども健康部長
小池こども健康部長

厚労省によると令和6年4月までに医療保険に登録されたデータの確認が完了したとのこと。本市でも広域連合等からリストの提供を受け、令和5年度中にマイナ保険証と被保険者証の紐づけの点検を行った。

桜井
桜井

12月1日までに全ての医療機関において利用できるようにする必要があると思うが、本市においてマイナ保険証を利用できない医療機関や薬局はあるか。

小池こども健康部長
小池こども健康部長

医科2か所、歯科5か所、薬局3か所がオンライン資格確認に対応していない。市民の皆さんへの周知と医療機関等への確認が必要と考えている。

桜井の賛成討論

被保険者証の廃止やマイナ保険証への切替については、市民・国民の中に懸念している人はいるが、国でも懸念を払拭するために取り組んでいるところ。国全体で行う制度変更であり、北本市や埼玉県だけがやらないことはできない。市民にある懸念を払拭し、この制度に安心して移行できるようにしっかり取り組んでいただきたい。

現委員の原田茂喜氏の任期満了に伴い、引き続き同氏を委嘱するため議会の議決を求める。

桜井の議案質疑

擁護委員の勤務状況について、令和5年度活動報告書によると運営会議44回、ケース会議32回とあるが、同日に開催しているものか。出張相談、関係機関への訪問、講演・研修会への参加などを含めると実働日数は。登庁しない形での仕事はあるか。

長嶋総務部長
長嶋総務部長

原則毎週金曜日、同日開催としている。ケース会議は検討する事案なければ開催しない場合もある。出前講座等の講師、出張相談への開催、各種研修会やイベント、連携する団体との調整会議等への参加がある。実働日数は、原田委員はR4が38日(半年)、R5が68日、R6が21日(4か月)。安委員はR4が36日(半年)、R5が62日、R6が16日(4か月)。講演資料作成、各種啓発活動の企画立案、啓発品や冊子の監修など、勤務日数に反映されない稼働日も多々ある。

相談を直接受けるのは相談員。相談員に対して擁護委員はどのように関わっているか。

長嶋総務部長
長嶋総務部長

最初に相談を受けるのは相談員。子どもの最善の利益を優先に考え、必要な助言や支援を行っている。継続した相談を受ける場合に擁護委員が直接対応することもある。相談員が受けた全ての相談を擁護委員が内容を把握し、解決した相談でも対応結果を検証し、継続する相談は擁護委員と相談員が意見を出し合いながら解決に向けて取り組んでいる。

条例では擁護委員を3人としているが、業務量を考慮したものではなく、法律家、大学教員、福祉・心理の専門家というバランスが重要と考えて規定したもの。相談業務を行うに当たって福祉・心理の専門家がいないのはあまり好ましい状況とは言えないのではないか。

長嶋総務部長
長嶋総務部長

令和4年10月の条例施行から、県弁護士会と子どもの権利条約総合研究所からご推薦いただいたお二人を選任し、事業に着手した。現体制で特段の不都合は生じていない。相談件数や相談内容からは、現状の体制で事業を進めることが適当と考えている。福祉の専門的な視点が必要な相談があった場合には、関係する部署や団体等と連携を図り、相談者にとっての最善の利益を考えてまいりたい。相談員の2名のうち1人は障害児童相談支援専門員の資格を持った元教員で、特別支援学級を担任していた経緯もある。

桜井
桜井

令和4年度にあった救済の申立てについて、擁護委員として具体的にどのような調査・調整活動を行ったのか。

長嶋総務部長
長嶋総務部長

特別な配慮が必要な子どもに対する教育体制の改善について。申立てを受け、インクルーシブ教育の重要性とインクルーシブ教育を支える体制づくりについて、対象となる幼児教育施設に聴き取りを行い、体制の改善を求めた。同時に市内におけるインクルーシブ教育の推進状況を把握するため、市内の幼児教育施設に対しても調査を行った。また、行政に対してもインクルーシブ教育の補助体制についても調査を実施した。調査結果を踏まえ該当する幼児教育施設に対し、インクルーシブ教育に対する理解を深めることと、特別な配慮が必要な子どもを受け入れられる体制づくりについて是正の要請を行った。

現委員の安ウン鏡氏の任期満了に伴い、引き続き同氏を委嘱するため議会の議決を求める。
※ウンは王へんに恩

現教育長の神子修一氏の任期満了に伴い、新たに宮尾孝氏(現・東中学校校長、前・北本中学校校長)を任命するため、議会の議決を求める。

桜井の議案質疑

桜井
桜井

市長は、教育行政に関われることが少ない中で、教育長の任命は市長の権限とされている。市長として、これからの本市の教育に期待することはあるか。

三宮市長
三宮市長

あらゆる人が多様で豊かな人生を切り開き、持続可能な社会の作り手になることが望ましいと考える。持続的で魅力ある北本が実現できるような未来への投資として、人への投資を重視した北本型の教育を実現していただくことを期待している。学校教育については、全ての子どもたちの可能性を引き出し、個別最適な学びと協働的な学びを通じて、学習の機会と学力の保障、全人的な発達・成長の保障、身体的・精神的な健康の保障を行い、子どもたちの知・徳・体・食を一体で育んでいただくことを期待している。また、社会教育については、人口減少時代の新しい開かれた地域づくりに向けた教育として、住民の主体的な参加のためのきっかけづくりや、地域の学びと活動を活性化していただけると考えている。

桜井
桜井

宮尾氏のどのような能力、資質、人柄などを評価され、または、宮尾氏にどのようなことを期待して、任命したのか。

三宮市長
三宮市長

宮尾氏は長年にわたる教職員の経験から、学校教育における豊富な識見はもとより、子どもたちをよく見て、考え、理解し、良さや頑張りを認めてあげるといった教育的愛情をお持ちの方であり、県教育局や南部教育事務所長といった経歴から、多岐にわたる調整や将来を見据えた改革を実行するための実務能力を有する方であると評価、認識している。社会変化が激しく、常に変革を求められる時代において、未来への投資、人への投資を重視する教育を実現するために、神子教育長が築き上げた意識改革などの成果のうえに、教育的愛情を礎として、多岐にわたる調整力や、将来を見据え、必要な改革を行う行動力を遺憾なく発揮していただきたいと考えている。

桜井の賛成討論

宮尾氏には、これまでの豊富な学校現場及び県教育局での経験、知識、人脈を活かし、北本市の教育を、埼玉県のみならず、全国に誇れるような、先進的なものにしていただきたいと期待している。

先進的とは、特に変わったことをしていただきたいのではない。文部科学省は「個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実すること」を進めようとしている。従来の一斉指導は、教員が主導権を握り、同じ教材、同じ方法、同じペースで指導するもので、同調圧力が発生しやすく、「落ちこぼれ」だけでなく、学習ペースが遅すぎて時間を持て余してしまう「浮きこぼれ」を生みやすい手法と言われている。自己肯定感の低下や学校への行きづらさにつながり、不登校やいじめの原因にもなっているということを、中教審も指摘している。

子どもの権利条例を制定した本市としては、子どもの権利、子どもの主体性や個性を尊重した教育の実現が喫緊の課題であるが、そのためには、個別最適な学びと協働的な学びの実現が不可欠である。

新教育長には、豊富な経験や知識、人脈を最大限活用して、リーダーシップを発揮して、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を、実現していただきたい。また、市長からは人への投資を重視するというお言葉をいただきましたので、市長には、新教育長を特に体制面や予算面で、強力にバックアップしていただきたいことを申し上げ、賛成の討論とする。