新たな焼却施設整備後の旧施設の解体費用について

今日開催された埼玉中部環境保全組合令和7年第2回定例会において、標記の件について一般質問をしたので報告します。

解体費用も交付金の対象になるのではないか?

埼玉中部環境保全組合では、鴻巣市内で新たなごみ処理施設の整備を計画しています。新たなごみ処理施設が供用を開始すれば、現在の埼玉中部環境センターは不用となり、解体することになります。

しかし、これまでの組合事務局の説明では、新施設を旧施設とは別の場所に建設する場合には、旧施設の解体費用について、国からの交付金の対象にならず、地方債を充てることもできないと説明されていました。このことから、同組合では将来の来るべき解体に備え、施設整備基金を積み立てています。基金残高は令和5年度末時点で約13億5千万円ありますが、昨今は建設費だけでなく解体費も高騰が続いており、将来的な積み増しは避けられない状況でした。

ところが、私が環境省のホームページを確認したところ、令和3年4月1日付けで『廃焼却炉の円滑な解体の促進について』という通知が発出されており、焼却施設を整備する際の廃焼却施設の解体事業(解体する廃焼却施設は、整備する焼却施設と関連性・連続性があり、同数以下であるものに限る。)については、跡地利用要件(廃焼却施設の解体跡地の全部または一部を活用して新たな廃棄物処理施設を整備すること)を撤廃する見直しを行ったことが分かりました。

廃焼却炉の円滑な解体の促進について(一部改正)(環境省通知)

以上を踏まえ、次のとおり質問しました。

桜井
桜井

解体費用は国の交付金の対象にならないと説明されてきたが、令和3年4月1日付け通知で交付金対象の見直しが示され、新施設と関連性・連続性があれば跡地利用がなくても交付金対象になるとされた。しかし当組合の整備計画では解体について触れられておらず、関連性・連続性が認めらず交付対象とならない恐れがあるのではないかと危惧している。交付金の対象となる可能性とその要件について伺う。

藤倉事務局長
藤倉事務局長

新設工事を伴う事業において、関連性・連続性があれば、解体費用も循環型社会形成推進交付金の対象になる可能性がある。焼却施設が完了した年度の末日から3年以内に解体工事に着手すれば連続性があると示されているので、当組合でも3年以内の解体を検討する

組合負担分の起債と財政措置の可能性について

令和3年4月1日付けの環境省通知には、交付金だけでなく、起債(地方債の充当)や財政措置についても示されています。起債とは、本来は建設事業を行う際に住民負担の平準化を図るために認められるものですから、解体については起債が認められません。しかしこの通知では、公共施設等総合整備計画に基づくものであれば解体でも起債が認められ、しかもその元利償還金に対して50%が交付税措置されるとされています。

つまり、組合が基金を積み立てなくても、借金により解体費用を賄うことができるうえ、借金の元利償還金の50%が地方交付税措置される(財源が措置される)ということです。

起債の条件としては、「公共施設等総合管理計画」に基づく必要がありますが、組合ではこの計画を策定していません。各構成市町ではこの計画を策定していますが、組合施設は対象に含まれていません。つまり、今のままでは起債や財政措置の対象となりません

以上を踏まえ、次のとおり質問しました。

桜井
桜井

起債の条件として「公共施設等総合管理計画」に基づく必要がある。構成団体では計画を策定しているが、組合の施設は対象外になっている。当組合では計画を策定していない。組合負担分について起債や財政措置の対象となる可能性は。

藤倉事務局長
藤倉事務局長

一般廃棄物処理施設の解体についても、循環型社会形成推進交付金に採択された新設を伴う解体撤去事業で、公共施設等総合管理計画に基づいて行われるものに要する経費であれば、一般廃棄物処理事業債の対象となり、組合負担分の90%までを起債充当することが可能。また、後年度に元利償還金の50%を交付税措置される。

桜井
桜井

解体に係る財政措置を受けるため、組合施設を構成市町の計画に盛り込むか、当組合で公共施設等総合管理計画を策定すべきと考えるがいかがか。

藤倉事務局長
藤倉事務局長

解体に係る財政措置を受けることは支出の削減につながることから、構成市町の計画に盛り込むのではなく、本組合として公共施設等総合管理計画の作成について検討する。

組合の財政負担の軽減効果について

『廃焼却炉の円滑な解体の促進について』令和3年4月1日付け通知から

交付金の対象となった場合、事業費の負担割合は、国1/3、組合2/3となります。

組合負担の2/3について、その90%に起債を充当することができ、これを返済する際に元利償還金の50%が地方交付税措置されます。

仮に、全体事業費を30億円とした場合、国交付金10億円で、残り20億円のうち18億円について起債充当が可能、2億円は一般財源。起債充当18億円のうち9億円は交付税措置されるので、組合負担は30億円のうちの11億円となります。

現状で約13億円の基金がありますので、解体費用が30億円になっても、現在の残高で対応可能ということになります。交付金や起債の対象にならなければ、あと約17億円を構成市町で負担する必要があります(ここでの解体費用はあくまでも仮定の話であり、現時点では示されていません)。交付金・起債の対象となるかならないかで、構成市町の財政負担は大きく変わります。

公共施設等総合管理計画を策定する費用は数百万円だと思いますので、まずは計画策定を進めていただきたいと思います。