令和7年10月29日(火)と30日(水)の2日間の日程で埼玉中部環境保全組合議会の行政視察を行ってまいりましたので、その概要を報告します。行政視察には13人の議員全員と正副管理者(構成市町の長)が参加しました。
エコパークむらかみは新潟県村上市にあるごみ焼却施設と粗大ごみ処理施設を有するごみ処理場です。村上市の人口は約5.2万人で隣の関川村(人口約4,400人)からごみ処理を受託しています。
平成24年6月着工、平成27年3月に完成しました。敷地面積や約28,520㎡、事業方式はDBO方式です。ごみ焼却施設の処理能力は日量94トン(47トン×2炉/ストーカ方式)、粗大ごみ処理施設は10トン/5時間です。焼却時の熱を使い発電しており、最大で1370キロワット、一般家庭の3300世帯分の発電をしています。電気は場内で活用し、余った電力は売電しています。稼働から11年、運営の委託期間は20年間なので、ちょうど折り返したところです。
粗大ごみ処理施設では、二軸せん断破砕機と高速回転破砕機で細かくした上で、磁選機・アルミ選別機で鉄・アルミを選別、売却しています。可燃性の粗大ごみは焼却しています。
視察時は定期修繕中で先週まで2炉停止、現在も1炉を停止していることからピット内には未処理のごみが高く積みあがっていました。
エコパークむらかみ(村上環境テクノロジー株式会社)
https://murakamikankyo.ekankyo21.com/work/
Q.整備費用は?
A.建設費は50.7億円、運営費は20年間で61億円。売電収入は運営するSPCに入る。物価高騰前でかなり安く整備できた上、交付金の裏には過疎債を100%充当(交付税措置率70%)しているので、自己負担は少なかった。
Q.焼却灰の処分方法は?
A.DBOの提案時にリサイクル処理を提案されており、焼却灰の一部(年間511トン)は埼玉県のツネイシカムテックスでリサイクル(人工砂)しているが、多く(約1300トン)は山形県村山市の最終処分場で埋め立てを委託している。最終処分は処理単価が約4万円、リサイクルは4万6千円程度でリサイクルの方が高いが、循環型社会形成のために全量を埋め立てるのではなくリサイクルにも回している。
Q.施設の稼働が停止するような事故は?
A.最近少し離れた場所で落雷があり、その影響があり集中管理システムが壊れ、現在は稼働に必要な最小限の修繕を行って対応している。新潟県は落雷が非常に多い。またリチウムイオン電池による発火がある。破砕施設において年4回ほど発火があるほか、ピットでも火災が発生したことがあったが、幸いすぐに消し止め、大きな影響はなかった。
クリーンセンターあがのがわは、令和7年4月に供用開始となった新しいごみ処理施設です。焼却施設(エネルギー回収施設)とマテリアルリサイクル施設からなります。五泉地域衛生施設組合は、五泉市(人口4.4万人)、阿賀野市(3.8万人)、阿賀町(8千人)の一部事務組合です。域内に3つあった焼却施設の老朽化に伴い、1つの不燃ごみ処理施設を統合した施設を整備しました。マテリアルリサイクル施設では、容器プラ、びん・かん、不燃ごみを処理しています。
焼却施設の処理能力は日量122トン(61トン×2炉)、マテリアルリサイクル施設の処理能力は日量11トン。発電能力は2,280kWです。DBO方式で施行されており、整備費用は、当初契約額は160.9億円でしたがインフレスライドにより177.3億円になりました。運営費用は20年間で126.2億円です。
なお、旧施設については高額の解体費用が見込まれ、財源の確保が難しいため、解体していません。
クリーンセンターあがのがわ
https://www.ges.ebara.com/index.html#gsc.tab=0
Q.当施設は阿賀野川に近いが、想定浸水深や水害対策は?
A.50cm~3m。敷地全体に2mの盛り土を施している。電気設備は2階以上に設置している。
Q.最終処分は?
A.最終処分場を一緒に整備する計画だったが整備費の高騰により最終処分場の整備は見送った。現状では山形県の民間最終処分場に搬出している。将来的には自区内処理の原則に従い最終処分場を整備したい。明文化はされていないが、処理施設は五泉市内に、最終処分場は阿賀野市内に整備することになっている。
Q.地元雇用は?
A.旧施設で勤務していた人のうち希望者を雇用している。提案により地元雇用をすることになっており、立ち上げ期は56%、10年目以降は93%としている。
Q.地元対策は?
A.隣接する集落の協議会に対し、公会堂の建替え、農道の簡易舗装、市道の道路改良工事、側溝整備、ガードケーブルの整備など総額9,800万円の地域貢献事業を実施。合意書を交わし、これ以上のことは実施しない。








