隣同士なのに人口減少率に大きな差が生じたわけ(北本・桶川人口推移)

北本市・桶川市・鴻巣市の人口推移

北本市の人口は2004(平成16)年をピークにして減少に転じ、2018(平成30)年は6万5千人台まで減少しています。ピークから6.6%の減少です。

北隣の鴻巣市は北本市より2年早い2002(平成14)年をピークにして減少に転じましたが、減少率は2.2%にとどまっています。

南隣の桶川市は、2009(平成21)年がピークですが、注意深く見ると、2000(平成12)年をピークに一旦減少した後、再び増加をして、2009年にさらに高いピークを作ったことがわかります。2014年には7万4千人を割り込みましたが、近年はむしろ増加をしています。

桶川市の区画整理事業

桶川市で人口が増加した一番の原因は、区画整理事業でしょう。


上の図のとおり、桶川市では非常に多くの区画整理事業を実施してきました。これまで7地区が完了、3地区は現在も施行中ですが、施行中の3地区も保留地の処分は進んでおり、処分率はいずれも90%を超えています。

北本の久保特定土地区画整理事業の施行者が北本市なのに対し、桶川市で施行中の3地区の施行者はいずれも「組合」つまり区画整理地内の市民です。組合施行では事業が遅れることによるリスクは組合員が負うことになりますから、組合が危機感を持って進めたのだと思います(それでも上日出谷南地区では、総額約10億円の負担が生じたようです)。

重要だった区画整理完了のタイミング

平成29年度住宅市場動向調査(国土交通省)によれば、注文住宅(新築)の世帯主の平均年齢は41.0歳、分譲戸建住宅は39.6歳です。いずれも一番多いのは30歳台です。特に戸建ての場合、子どもが小学校に入学する前までに家を持ちたいと考える人が多いのではないかと思います。住宅ローンを借りることを考えても、45歳を過ぎると返済期間が短くなり、きつくなります。

私は1973年生まれの団塊ジュニア世代ですが、すでに46歳です。つまり、団塊ジュニア世代はすでに40歳台半ばに差し掛かっています。30歳台の人口自体が40歳台と比べるとかなり少ないので、これから先は住宅を新築(購入)する人は減っていくと考えるのが自然です。

そういった意味でも、特に都心へギリギリ通勤できる範囲の地方都市では、団塊ジュニア世代が住宅購入を検討する時期までに区画整理事業を終わらせておく必要があったはずです。

人口減少対策は住宅供給が全てとは思いませんが、ぎりぎり間に合わせた桶川市と、間に合わなかった北本市で、人口減少に差が出たのは当然の結果と言えるでしょう。