総務文教委員会行政視察② 加賀市RPA導入事業

2日目 RPA導入事業(石川県加賀市)

2日目(令和元年10月8日)に視察したのは、石川県加賀市です。ここでは、RPA導入事業について視察しました。

RPA(Robotics Process Automation):
一定の定型的な作業に対して、人間と同様の作業ができるようにした、業務自動化技術のこと。具体的には、職員が日常業務において手入力しているパソコン処理や、インターネット、各種システム等を使用して行う、一連の定型的な作業を自動化するツール。人力で処理するよりも、スピードや正確性が著しく向上する。

加賀市作成資料から

加賀市は石川県の西南部、福井県との県境に位置する人口約6万7千人の市です。人口は北本市とほぼ同じですが、一般会計の予算規模は約326億円で、北本市の1.5倍程度です。市内には、山代温泉、片山津温泉、山中温泉があります。2023年には北陸新幹線が延伸され加賀温泉駅に停車することになりました(かなり積極的な誘致活動を行ったようです)。

有名温泉地があるとは言え、かつての賑わいはありません。最盛期には400人を超えていた宿泊客は200万人を割り込んでいます。人口も減少し、消滅可能性都市と言われています。事務の効率化を進め、働き方改革につなげるための一方策として、RPAの導入による業務効率化に取り組んでいます。

ウインドウズの普及以降、行政のあらゆる業務がシステム化されてきました。しかし業務が広範であることや、システムの導入主体も異なる(国、県が統一的なシステムを構築している業務もある)ため、データベースシステムが乱立している状況です。また、ワードやエクセルの様式を使って申請書を作る場合は、その様式に入れるデータはシステムに保存されているにも関わらず、一枚一枚申請書にそのデータを様式の指定の箇所に入力しなければなりません。こうしたシステム間のデータ移動や様式・集計表の作成などにRPAが力を発揮します。

平成29年度は時間外勤務集計業務など3つの業務について試験版による効果検証、平成30年度は1業務を加え4業務についてロボット化を実施。導入のための費用は1,430万円。コンサルに委託し、RPA化だけでなく業務改善も進めています。平成30年度は、下図のような効果を得ることができました。

加賀市作成資料

令和元年度は2業務についてロボット化を追加するなど、全庁の業務に展開することを検討しています。さらに職員だけでなく民間企業も対象にRPA研修会を開催したところ、多くの関心を得られたとのことです。

しかし、現状ではRPA化に要した費用が業務効率化で削減できた費用を下回っているとのこと。人員も削減していません。明確な効果が表れるのはまだ先と言ったところでしょうか。

◆ 感想

私も県職員時代に業務のシステム化や自動化に取り組んでいました。基幹システムとしてはしっかりしたものができていても、それだけで全ての業務を完結するのは難しく、基幹システムに細かな業務を追加したり、データ連携機能を追加したりするのは、コスト面でもスピード面でも非効率です。

エクセル方眼紙でできた様式など、データ入力に適した様式に改めるだけでできる改善もありますが、RPAの導入時にはそうした業務改善も併せて実施します。抜本的とは言えませんが、現実的な業務の改革として有効だと思います。外部委託だとどうしても高くつきますので、庁内のシステム担当課にRPAの運用支援ができる職員を養成し、構築は業者に任せたとしても、その後の運用や微修正は職員でできるようになれば、さらなるコスト削減につなげられると思います。