ふるさと納税 北本市が埼玉県内1位!

ふるさと納税は再び増加へ

7月30日に総務省から令和2年度のふるさと納税実績が発表されました。ふるさと納税の寄附額は平成26年度から増加の一途をたどっていましたが、令和元年度に7年ぶりに前年度を下回り、沈静化に向かうかと思われました(昨年度の記事はこちら)。

しかし、令和2年度中の寄附総額は6,724.9億円(前年度から37.9%増)、寄附件数は3,488.8万件(49.5%増)となり、再び増加に転じました。

令和2年度は新型コロナウイルスの感染拡大により経済への影響が懸念されましたが、富裕層への所得面での影響が少なかったことや、1人10万円の臨時特例給付金の給付などにより、ふるさと納税の増加につながったのではないかと推測します。

総務省による発表(ふるさと納税ポータルサイト)
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/archive/

総務省発表データを加工したエクセルファイル(ご自由にお使いください)
R03 furusatonouzei(Excel)

北本市の寄附額は県内1位!

令和2年度の北本市のふるさと寄附受入額は、6億8万8,310円(前年度の約2.4倍)となり、県内第1となりました。前年度に引き続き「銀座英國屋オーダー補助券」の人気が高く、高額のふるさと納税を集めています。寄附者1人当たりの寄附額は約15万4千円で、これは全国的に見ても異例の高額です。

一方で、北本市内にお住いの方が他の自治体にふるさと納税を行ったことによる個人市民税控除額も9,136万6千円に上りました。北本市では差引き5億872万円のプラスとなりましたが、県内の多くの自治体がこの制度により多くの税収を失っています。制度がある維持される限りはその中で最大限の努力を続けるしかありませんが、地方のために良い制度だとはとても思えません。

寄附額1位は都城市で約135億円

令和2年度の寄附受入額第1位は都城市(宮崎県)で約135億円でした。寄附額上位10団体が集めた寄附の合計額は約849億円で占有率は12.6%(前年度約734億円、15.1%)、上位100団体の寄附額合計は約3,088億円で占有率は45.9%(前年度約2,388億円、47.9%)でした。

寄附受入額に対する返礼品の割合(3割以下)や、募集に要した費用の割合(5割以下)とする制限を設けたことで、特定の自治体に寄附が集中する状態は解消されつつあります。

◆ふるさと納税の見直しについて
総務省 ふるさと納税指定制度における令和元年6月1日以降の指定等について(PDF)

返礼品だけじゃないコスト、寄附の半分は事業者へ

ふるさと納税の募集に要した費用は寄附総額の45.1%に低下しました。前期の見直しによりこの割合は低下しつつあります。

しかし返礼品以外にも、決済費用に2.3%、ふるさと納税ポータルサイトの手数料等の事務費に8.0%など、寄附額の半分がコストに消えています。送料は実費で仕方ないとして、決済費用、ポータルサイト手数料、広告手数料は、ごく限られた少数の事業者に多くの費用が流れているものと思います。

寄附を受入れる自治体があれば、税収を失う自治体もあります。失われた税収の総額は4,311.4億円(前年度3,479.3億円)にもなります。

地方交付税の計算上は、寄附金税額控除分は基準財政収入額から差し引かれますので、失われた税収の約75%が交付税措置されることになります。ふるさと納税で失われた税収の大部分が地方交付税で穴埋めされているわけで、そのコストは国民が負担していることなります。

制度改正をしたとは言え、依然として特産品のある自治体と一部の事業者と富裕層が得をする制度である点は変わりありません。ふるさと納税が地方税の偏在是正や地域振興に役立っている面があるとしても、制度としてあまりに不公平で非効率です。

地方税財政制度の抜本的な見直しをしたうえで、ふるさと納税制度を廃止するべきだと思います。