令和5年度 埼玉中部環境保全組合議会 行政視察報告

埼玉中部環境保全組合議会では、令和5年10月30日から31日の2日間の日程で行政視察を行いましたので、その内容を報告します。

寝屋川市クリーンセンター(大阪府寝屋川市)

施設の概要

  • 昭和55年9月竣工の旧焼却施設が老朽化したため、平成22年から新施設整備の検討を開始。平成24年3月にごみ処理施設建設基本計画を策定、平成27年1月着工、平成30年3月竣工。
  • 建設場所は旧焼却施設と同敷地内。敷地面積は1.66ヘクタール。
  • 処理能力は日量200トン(100トン×2炉)。ストーカ方式(製造は日立造船)。最終処分は大阪湾フェニックスセンター。
  • 発電設備有り。場内利用のほかは全て売電。売電収入は年間3.7億円(R4実績)で全て一般会計の歳入へ。
  • 余熱利用は、場内の職員用浴室で利用しているのみ。
  • 地元対策としては、旧焼却施設時には「運営協議会」を設け、定期的に意見交換を実施していたが、新施設となったことを機に発展的に解消。現在は近隣自治会に情報誌を発行しているだけ。←旧施設建設h時は近隣に住宅が少なかったが、現在では住宅地化している。
  • 建設・運営方式は、公設公営。焼却施設の運転管理業務のみを業務委託している(5年間の債務負担行為)。
  • 新焼却施設の建設費用は約122億円。財源のうち交付金が約40億円。旧施設の解体費は約8.9億円。旧施設を解体した後にストックヤードを整備しているため、解体費にも交付金を充当している(約1/3)。

質疑応答

Q.旧施設の処理能力は日量360トンだったが、新施設では日量200トンと大幅に減少している理由は。
A.旧施設整備時は人口増加期で、処理量の増加を見込んでいた。新施設ではやや減少傾向で見込んだ。

Q.容器プラ等は可燃ごみとして焼却しているか。
A.容器ブラは分別し、リサイクル。汚れがひどくリサイクルに適さない容器プラは可燃ごみ。

Q.災害廃棄物の処理量はどの程度を見込んでいるか。
A.日量200トンのうち1割、20トンが災害廃棄物分である。

Q.支持地盤の深さは。造成工事など行っているか。
A.高台にあるが砂地であり、堅固な地盤ではない。GLから20~25mまで杭を打っている。

Q.焼却に当たり助燃剤を使っているか。
A.一応用意しているが、使うことはほとんどない。使わなくても十分な高温を維持できている。

Q.地元対策について、どのような検討をされたか。
A.審議会では結論を出さず、市として検討した。温浴施設など一部の住民しか使わない形ではなく、売電して市民全体に還元した方が良いと考えた。

クリーンパーク折居(京都府宇治市)

施設の概要

  • クリーンパーク折居は、城南衛生管理組合(宇治市、城陽市、八幡市、久御山町、宇治田原町、井手町)の2つある焼却処理施設の1つ。
  • 平成30年4月に稼働開始。処理能力は日量115トン(57.5トン×2炉)。全連続燃焼式のストーカ炉(製造は日立造船)。敷地面積は約3ヘクタール。
  • 建設費は約94億円、旧施設(処理能力日量230トン)の解体費用は約9億円で、そのうち3.2億円はアスベスト除去費用。運営業務委託料は20年間で約70億円(オーバーホールなどの維持修繕費も含んだもので破格と言える安さ)。DBO方式を採用した。
  • 元々は国有林。隣接の京都府立山城総合運動公園(太陽が丘)と同時期に整備された。近隣に住宅は少ない。
  • 焼却時に発生する熱を利用して発電。場内で約4割を利用し、残りは売電。年間の売上は約1億円。また、温水は隣接する山城総合運動公園に送り、利用している(送ったお湯をそのまま使うのではなく、熱のみを利用)。
  • 煙突が軽量の膜構造となっていることが大きな特徴。耐震性に優れている(価格が安いかどうかは不明)。東京ドームの屋根に近い素材で、50年以上は保つ。
  • 本敷地内に本庁管理棟を建設中(別の場所から移転)。

質疑応答

Q.旧施設の処理能力は日量230トンで、新施設は115トン。なぜ半減したのか。
A.本組合は2つの焼却施設があり、域内全体の処理量から既存施設の処理量を差し引いて当施設の処理量とした。処理量が減少傾向にあることから、大きく減少した。

Q.山城総合公園にお湯を送っているが、管理の分担は。
A.敷地の境界で分けている。

Q.組合で最終処分場を持っているが、焼却灰の処分は。
A.大阪湾に埋め立てている。

Q.組合で所有しているごみ中継施設(沢中継場)の役割は。中継場の臭気対策は。
A.焼却施設までの距離が遠い地域があるため、可燃ごみを一旦中継場に集め、大型の収集車に積み替えて焼却施設に運んでいる。収集したその日に全量を積み替えて運び出す。パンフレットでは屋外の施設になっているが、現在は屋内で積み替えており、臭気対策も講じている。