新ごみ処理施設の建設予定地が郷地安養寺地内に決定された経緯

埼玉中部環境保全組合が令和5年2月に建設予定地を「郷地安養寺地内」にすることを決定しましたが、決定までの過程・経緯が解りにくいという声もいただいております。私なりに、改めて説明させていただきます。

簡単に経緯をまとめれば、下のようになります。

  1. 鴻巣市・行田市・北本市で新施設を建設することで合意した(2013年5月7日)。
  2. 建設主体を鴻巣行田北本環境資源組合とした(組合設立2014年4月1日)。
  3. 鴻巣行田北本環境資源組合において、新施設建設等検討委員会の中間答申を受け、建設予定地を郷地安養寺地内に決定した(2015年2月)。
  4. 鴻巣行田北本環境資源組合による建設が白紙解消となった(2019年12月12日)。
  5. 鴻巣市・北本市・吉見町(=埼玉中部環境保全組合)で新施設を建設することで基本合意し、郷地安養寺地内を建設予定地とした(2021年9月16日)。
  6. 埼玉中部環境保全組合で附属機関(新たなごみ処理施設等建設検討委員会)を設置し、建設予定地の妥当性について諮問したところ、妥当との答申を得た(2023年1月19日)。
  7. 埼玉中部環境保全組合の正副管理者会議において、建設予定地を正式に決定した(2023年2月14日)。

以下、よくある質問について、私なりに回答していきます。

埼玉中部環境保全組合が建設予定地を郷地安養寺に決定した経緯は

鴻巣市・北本市・吉見町の基本合意において「建設予定地は鴻巣市郷地安養寺地内とする」と決定されている(組合で決める前に、2市1町の首長により候補地が1か所に絞られている)。

建設予定地の妥当性について、組合では新たなごみ処理施設等建設検討委員会を設置し、令和4年8月25日付けで諮問したところ、「建設予定地を郷地安養寺地内とすることが妥当である」との答申を令和5年1月19日に得たため、令和5年2月14日の正副管理者会議(管理者:吉見町長、副管理者:鴻巣市長・北本市長)において建設予定地を決定した。

埼玉中部環境保全組合にとっては、2市1町から示された唯一の候補地であり、諮問機関から「妥当」との答申を受けたために決定した、という説明です。

建設検討委員会が「妥当」と答申した経緯は

すでに2市1町の基本合意書により「建設予定地は鴻巣市郷地安養寺地内とする」と決定されており、新たなごみ処理施設等建設検討委員会では他の候補地の比較検討は認められませんでした(令和4年10月7日の第2回検討委員会で私(議事録ではA委員)が確認)。結果として、郷地安養寺地内に建設することが可能かどうか、という観点からのみ検討され、技術的に建設可能であることから「妥当」と答申したものです(『調査研究・検討のまとめ』を参照してください)。

なお、建設費については検討をしていないことから、附帯決議に「経費節減に努め、適正な費用を計上」することを盛り込みました(令和4年11月16日の第3回建設検討委員会において私(議事録ではB委員)が主張し、第4回で決定)。

(参考リンク)
新たなごみ処理施設の整備促進に関する基本合意書
新たなごみ処理施設等建設検討委員会 諮問書
新たなごみ処理施設等建設検討委員会 答申書
新たなごみ処理施設等建設検討委員会 調査研究・検討のまとめ(3頁以降)

2市1町の基本合意書で建設予定地を郷地安養寺地内に決定した理由

建設予定地を郷地安養寺地内に事実上決定したのは、2市1町の基本合意書ということになります。基本合意書において郷地安養寺地内を建設予定地とした理由については、北本市議会令和4年第4回定例会において、私が一般質問で三宮市長に確認しています。その際の答弁は以下のとおりです。

新たなごみ処理施設の建設予定地、郷地安養寺地内が含まれた基本合意書に合意した理由としては、

1つ目として、埼玉中部環境保全組合は稼働から約40年が経過し、老朽化が進んでいることから、新たなごみ処理施設の早期建設が本市にとっても喫緊の課題であること。

2つ目として、旧鴻巣行田北本環境資源組合において、建設予定地として1位の評価であり、おおむね建設地として妥当であること。

3つ目として、一般的にごみ処理施設建設において多くの時間を要する建設予定地の選定において、旧鴻巣行田北本資源組合での新施設建設が白紙になった後も、地元との合意形成について、鴻巣市が新ごみ処理施設整備促進懇話会を継続的に開催し、意見交換が重ねられており、一定の理解が得られているため、早期の事業着手が期待できること。

4つ目として、北本市では、建設予定地の5.5ヘクタール程度の用地の選定が困難なこと

などを総合的に判断したことによるものです。

このうち、私が問題と考えるのは「2つ目」です。鴻巣行田北本環境資源組合が1位とした場所(現在の候補予定地である郷地安養寺地内)は、その後に判明した事実により、再度評価をしたら1位から陥落する可能性があります。私としては、構成市町の構成が変わったことや新たに判明したことなど踏まえ、再度評価すべきと申し上げましたが、叶いませんでした。

再度評価をしたら1位から陥落する可能性とは?

旧組合では53か所の候補地について評価を行いましたが、上位2位の点差はわずか2点。その差は、6.経済性の「建設コスト」で、1位地点(№22)が3点、2位地点(№21)が1点でした。他の項目は全て同点で、合計点は1位地点が65点、2位地点が63点でした。

「建設コスト」で2点の差がついた理由は、1位地点が「東京電力埼玉変電所からの距離は3km以内であり、新たな工事負担金の発生は予想されないと考えられる。」とされ3点と評価されたためですが、後になって約8.9億円もの特別高圧負担金が発生することが明らかになりました。つまり、1位地点も1点が正しい評価と言え、その場合には上位2地点は全くの同点となります

さらに言えば、2位地点は1位地点と比較して地盤が50cmほど高くなっています。このため、浸水対策という観点からは1位地点よりも安く建設できる可能性があります。

以上のことから、再度評価を行った場合には、1位と2位が入れ替わる可能性があると考えます。

鴻巣行田北本環境資源組合で建設予定地を郷地安養寺地内に決定した理由

鴻巣行田北本環境資源組合では、鴻巣市内で53地点を候補地に選出し、最上位だった候補地を建設予定地に選定しました。その場所が、郷地安養寺地内でした。具体的な検討は、鴻巣行田北本環境資源組合新施設建設等検討委員会で行っています。平成27年2月17日開催の第5回検討委員会において、建設予定地を決定する中間答申案を決定しています(詳細は第4回までの資料と議事録をお読みください)。

★構成市町が変わったことを踏まえ再評価を行ったとしたら?

結局のところ、鴻巣行田北本環境資源組合の建設等検討委員会で決定した場所が、埼玉中部環境保全組合でも建設予定地となりましたが、旧組合での評価をそのまま活かすことに問題はないのでしょうか?

鴻巣行田北本環境資源組合で行ったのと同様に評価する場合、構成市町が変わったことにより、3.利便性の3-1施設の位置を再評価しなければなりません(他の評価項目は、組合の構成市町が変わっても、そのまま活用できるはずです)。再評価では行田市に近い候補地の評価が下がり、吉見町に近い候補地(№11~17)の評価が上がります(最大で△1点→◎5点=4点上がる)。

しかし、1位65点、2位63点で、他に60点以上の地点はありません。2位地点は1位地点とほぼ同位置(県道を挟んで斜向かい)にあり、点数は変わりません。№11~17の中の最高点は№17の46点でした。よって、構成市町の変更を踏まえて再評価しても、1位地点は変わりません。

消えた候補地「21番」

当初資料では候補地が53か所あったものが、途中で1か所消え、52か所になったことが、組合議会平成30年第1回定例会の阿部愼也議員の質問で明らかになりました。その消えた1か所こそが第2位の評価を受けていた21番地点です。当初資料では第1位が22番地点で65点、第2位が21番地点で63点でしたが、21番地点が消され、新21番地点(旧22番)が65点で第1位、第3位は59点で2地点が並ぶ結果にすり替えられました。第2位地点が消された理由については、公開されている資料からは明らかではありません(議会運営委員会や非公開の全員協議会で調査をしたようです)。

この点を明らかにするため、平成30年5月29日に鴻巣行田北本環境資源組合の臨時会が招集され、金子眞理子議員らが「新ごみ処理施設建設候補地選定過程に対する調査に関する決議」(100条委員会の設置による調査)を提案し、審議されましたが、賛成少数で否決され、真相は闇に葬られることとなりました。

(参考)位置図と評価結果については、こちらのホームページに削除前と削除後のファイルが掲載されています。

鴻巣行田北本環境資源組合の評価は妥当だったのか

これは私見です。

鴻巣行田北本環境資源組合では、鴻巣市内の53地点を候補地として抽出し、6つの基本的条件を17の評価項目に細分化し、◎5点、〇3点、△1点、×0点で評価しました。その合計点で最高点を獲得したのが、現在の建設予定地である郷地安養寺地内でした。

しかし、6つの基本的条件の1つである「6.経済性」は評価項目が2つしかありません。つまり、いくら建設費用が高額になるとしても、他の評価項目が高得点ならば、より優れた候補地となります。

経済性については、他の項目よりも重視する評価方法にすべきだったのではないかと思います。

郷地安養寺地内は、浸水の恐れがあり不適当ではないか

下の浸水シミュレーショングラフは、国土交通省の『地点別浸水シミュレーション検索システム』により作成したものです。想定最大規模(1000年に1度)の最大浸水深は3.75メートルです。ただ、浸水してもおよそ60時間後には浸水深は1メートル程度まで下がります。

主要部が絶対に浸水しないように対策を施すことになると思います。また、敷地の全体や一部に土盛りをして、浸水する時間ができるだけ短くなるように対策を施すことになるのではないかと思います(こちらは費用対効果を踏まえて検討します)。上のグラフのとおり、1m土盛りすることでも浸水時間を大幅に短くすることができます。

どのような対策を施すかは、建設等検討委員会(第2期)において検討します。

★他の候補地も検討すべきではないか?

建設予定地以外に、地権者や住民の合意が得られる候補地(幹線道路沿いで5ヘクタール以上の広さがある高台の場所)があるのであれば、より適した候補地となり得ると思いますが、私も正直なところ「そのような都合の良い場所は無い」か「あったとしても大幅な手戻りが生じ、追加の時間と費用が生じるため、適当ではない」と思います。

郷地安養寺地内に建設すると、浸水対策で建設費が高くなるのではないか

鴻巣行田北本環境資源組合令和元年第3回定例会において、次のように説明(答弁)されています。

今回の見積り徴収では、粗造成費については31.2億円との回答があり、メーカーに工事内容を確認したところ、現況地盤から土を約1.5mすき取り、すべてを産業廃棄物として処分し、その後県道レベルまで約3mの盛り土をした場合で、この金額は粗造成をする場合の最大の金額を想定した場合

これは、敷地全体について、表土を取り除き、県道レベルまで盛り土をした場合の概算事業費です。

一方、埼玉中部環境保全組合では、第1期検討委員会(第3回)において、下図のとおり3つの対策例を示しています。どのような対策を講じるかについては、今後第2期建設検討委員会で検討されます。

現時点ではどのような対策が講じられるかも決まっておらず、浸水対策に要する費用は不明ですが、令和6年度に策定される『新たなごみ処理施設等整備基本計画』の中で、浸水対策も含めた概算事業費が示されるはずです。

(参考)資料1 当建設予定地で事業を進める場合の留意点について

行田市が提案していた小針に変更すべきだったのではないですか

これも私見です。

行田市にとっては、市が所有しているところに建設することになれば、市の土地を一部事務組合が買い上げてくれた上で、可燃ごみの収集運搬コストも少なくなります。地元住民の合意さえ得られれば、これ以上良い場所はありません。

一方、北本市にとっては、郷地安養寺まで運ぶのと比べ、直線距離でも2倍近く(※)になり、収集運搬コストが大きく膨れ上がります。収集運搬コストは長期にわたり市が負担しなければならず、大きな財政負担となります。

行田市にとっては大きなメリットがある提案ですが、北本市にとってはメリットよりもリスクが大きい提案だったと思います。

※北本市役所~鴻巣市郷地安養寺5.6km、北本市役所~行田市小針11.5km