埼玉中部環境保全組合において、第10回新たなごみ処理施設等建設検討委員会が次のとおり開催されましたので、その概要を報告します。なお、当日の資料は組合のホームページ(こちら)からご覧いただけます。
日時:令和6年8月21日(水)14:00~
場所:埼玉中部環境センター 4階 大会議室
主な議題
- 前回までの建設検討委員会の意見等に対する報告
- 事業方式の選定結果について(案)
- 概算事業費及び事業スケジュールについて(案)
第8回建設検討委員会の資料2『水害(浸水)対策における取りまとめ(案)』において、具体的な施工方法については「事業者提案とする」とした。
その検討の過程において「❶追加の部分盛土による対策」と「❷建築計画による対策」の2パターンに関して、「費用についてはメリット・デメリットの両方があり、総合的な比較評価結果が不明である」という意見があった。
意見を踏まえ、現時点での浸水対策に関する方針を設定するため、改めてメーカーへ浸水対策に関する追加調査を実施した。
メーカーアンケートの結果、❶主に盛土による対策を選んだメーカーはなく、❷主に建築物による嵩上げを選んだメーカーが5社、❸盛土及び建築物による嵩上げの両方で対策を選んだメーカーは1社だった。
費用についても合わせて確認したが、その提案が各社様々であり、盛土範囲、建物壁の部材、防水扉の基数等の建築物の増強に係る範囲や想定がメーカーにより大きく異なることから、単純な比較は困難であった。
本組合としては、プラントメーカーからの回答を考慮し、現時点での浸水対策に関する方針は❷とする。
また、今後土地造成の方法について更なる調査(地盤技術解析)を行う予定なので、プラントメーカーの提案だけではなくその結果も踏まえて設定する。なお、❶及び❸の方法も条件によってはコストダウンできる可能性もあるため、競争性確保の観点から施設の機能維持を前提としてプラントメーカーの提案によるものとする。
主な質疑の概要
費用についても回答していただいたが比較が困難とのことで公開されていない。入札の際に参考にされる恐れもあると思うが、各社の回答でなく、最高と最低、中間値のような形でも公開できないか。
資料にあるとおり、提案が各社様々で、盛土範囲、建物壁の部材、防水扉の基数等の建築物の増強に係る範囲や想定がメーカーにより大きく異なることから、単純な比較は困難であった。例えばランプウェイの費用だけを回答したようなメーカーもあった。
建築物により浸水対策を施した場合と、盛土により対策した場合とで、復旧までに掛かる時間はどれくらい異なるか。あるいは異ならないか。
盛土の方が水に浸かりづらい分、浸水には強い。機能維持という観点でとらえると、どちらも機能は維持されるので、復旧までの差は大きくでないと考えている。
新施設の整備・運営管理方式については、財政負担の軽減を図るため、DB方式、DB+O方式、DBO方式の3方式について、比較検討を行う。これまでの検討委員会で、比較は❶定量的評価と❷定性的評価により行うことになっていた。
❶定量的評価の結果、DB 方式と比較して、DB+O 方式及び DBO 方式はともに 1.0%の VFM があり、約 3.1 億円の公共負担額の縮減が見込まれることが分かった。
❷定性的評価の結果、DBO方式がもっとも高く、次いでDB方式、DB+O方式となった。
以上から総合評価として「DBO方式」を選定する。
概算事業費(❶定量的評価)
定量的評価において算出された概算事業費は次の表のとおりです。
❷定性的評価の結果
総合評価の結果
主な質疑
表4に収入として「法人税」が計上されているが、法人市民税の誤りか。
鴻巣市にSPCが設立された場合には鴻巣市に法人市民税が入るもので、法人市民税の誤り。
検討委員会としては、可燃ごみ処理施設をストーカ方式とすることに加え、剪定枝資源化施設、粗大・不燃ごみ処理施設・プラスチック類資源化施設を整備することまでを決定しているが、施設面積の範囲内で、可燃ごみの削減及びCO2の削減につながる他の処理施設の整備を事業者が提案することは可能か。事業者が提案できる部分を明確にしていただきたい。
基本計画で定める処理方式を基本として、補助する形の処理施設・設備については提案を可能とすることもできる。要求水準書や落札者決定の基準は、事業者選定委員会を設置して決めていく。生活環境影響評価と大きくずれる提案も認められないことになる。
先の話になるが、DBOの提案に当たって事業費を評価する場合には、総額だけでなく組合の負担額で評価する必要があるが、交付金や交付税措置の額についても提示してもらうことになるのか。
基本的な部分はここで決める。そのほかは事業者選定委員会の中で仕様や評価基準で決めていく。
概算事業費について
市場調査結果(8社回答)等に基づき整理した概算事業費は表2のとおり。
施設整備費について、可燃ごみ処理施設は約 303 億円、事業全体で約 422 億円(市場調査結果は約320~約550億円)となった。また、建設工事等と別発注を想定している内水対策のための造成工事費は約 41 億円。これを含めた事業全体の総概算事業費は約 463 億円となった。
運営・維持管理費については、市場調査結果(7 社回答)に基づき整理すると年間当たり約 12億円(DBO方式、税込)と想定されるが、一般財源で賄うものとする。
基本計画における概算事業費は、現段階での市場調査結果(見積)を踏まえた施設整備費についての整理であり、事業者選定までの業務委託費や用地費、周辺道水路の整備等は含まれない。今後の社会情勢や経済情勢により事業費は変動するものであるが、より経済的な施設整備や運営の詳細仕様等を検討する等、引き続き事業費の精査・検討を進める。
事業スケジュールについて
主な調査・計画として、令和6年度に施設整備基本計画の策定、令和7年度にかけて生活環境影響調査、令和6年度から令和8年度にかけて農業振興地域整備計画変更手続きや都市計画決定手続きなど、建設予定地の買収に係る手続きを行い、令和9年度に事業者選定及び造成工事着手を目指す。
建設工事期間については令和10年度から令和13年度の4年間としているが、市場調査では働き方改革や人材、資材不足による影響から、4.5~5 年間とする提案があったことも踏まえて、引き続き検討を行う。
令和10年度以降の交付金について
循環型社会形成推進交付金について、令和6年3月29日の環境省通知により、令和10年度以降新たに着工する事業では施設規模の算定方法が変更となり、施設規模に対応した交付金の上限金額が適用される。
同通知では、施設規模100t/日以上150t/日未満の可燃ごみ処理施設について、交付対象経費上限額は107百万円/(t/日)となっており、先に示した概算事業費に適用すると通知前後で約58億円の差が発生する(組合の負担が大きくなる)。
本事業は令和9年度に造成工事の着工を予定しているため本通知の対象ではないが、令和10年度以降に着工となる場合、本通知が適用されることになり、交付金が減額し一般財源への負担が増大する。
主な質疑
造成工事については地盤技術解析を経ないと詳細が分からないとの説明。解析はどの時点で行うのか。
予定としては今年度実施ができるように検討しているが、現状では予算計上していない。基本計画には反映しない。
造成工事費に交付金や一般廃棄物処理事業債は充当できるか。充当率と交付税措置率は。可燃ごみ処理施設は、高効率か、そうでないか。財源内訳の具体的な積算基礎を示していただきたい。
対象となる。地方債も充当できる。可燃処理施設は第9回で触れたが、現状は高効率で見込んでいる。施設ごとの財源内訳は手元にはない。出せるかどうかを確認したい。
用地取得費の見積もりは。盛土よりも先に用地取得が必要。事前の積算が不可欠ではないか。交付金の充当、起債の充当、交付税措置を含め、示していただきたい。
見積もりは買収時点での鑑定が必要になるので、現時点では行っていない。交付金はマテリアル施設推進施設のみ対象となる。交付率は3分の1。地方債の充当率は100%だが、交付税措置がないのでどこまで充当するかは検討が必要。
令和10年度以降の交付金は、施設規模によって交付金の上限が適用されるとのこと。想定している焼却施設の処理能力は日量147トンで150トンに近い。147トンでなく150トンとした方が有利に働く可能性があるのか。
環境省通知では、大きくなればなるほどスケールメリットが働くので単価が下がることになっている。150トンとした方が有利とはいえない。
地元協議会の開催が予定より遅れている。エネルギー利用や周辺整備に関する地元要望はいつまでにとりまとめるのか。また、どこまでを整備基本計画に盛り込むのか。
11月までには地元要望を取りまとめたい。施設内に整備する必要があるもの(温浴施設など)は基本計画に含まれるが、周辺整備は含まれない。