令和6年度 埼玉中部環境保全組合議会 行政視察

埼玉中部環境保全組合議会では令和6年10月28日、29日の2日間の日程で行政視察を実施しましたので、その概要を報告します。

1日目 登米市クリーンセンター(宮城県)

施設の概要

登米市クリーンセンターは令和元年度12月に供用を開始した施設です。焼却施設(エネルギー回収推進施設)とマテリアルリサイクル推進施設(燃やせないごみ・粗大ごみ処理施設)が整備されています。ほぼ同時期に、隣接地に第2最終処分場埋立地を整備しています。

エネルギー回収施設の処理能力は日量70トン(35トン×2炉)。処理方式はストーカ方式です。焼却エネルギーを利用して発電し、施設内の照明、動力、冷暖房、給湯に利用しています。発電能力は700kWです。月100万円程度の売電収入があります。

マテリアルリサイクル推進施設は、燃やせないごみと粗大ごみを処理します。破砕して可燃物、鉄・アルミ等の資源物、その他に分類し、可燃物は焼却、資源物は売却、その他は最終処分場で埋め立てます。

管理棟、工場棟、ストックヤード、車庫棟からなり、管理棟には会議室が整備されています。工場棟には見学用のルートが整備されていますが、ガラス張りで場内の各施設が見えるようになっており、説明書きのパネルが設置されている他には特徴的な展示はなく、最小限の作りとなっています。

なお、登米市では平成9年度から一般ごみ収集の有料化を実施しており、可燃ごみ袋(大)は1枚30円、可燃ごみ袋(小)は20円、不燃ごみ袋(大)は1枚50円で販売しているほか、クリーンセンターに直接持ち込んだ場合でも家庭系10kg70円、事業系10kg140円の手数料を徴収している。

質疑応答

桜井
桜井

旧施設は平成元年に供用開始しており、24年後には新施設の整備に着手している。そのタイミングは震災直後と重なる。新施設整備に着手したのは老朽化だけが原因か。

登米市CC
登米市CC

老朽化も進んでいたが、震災時に他市町村から多くの災害廃棄物を受け入れて処理したことで、国から多くの交付税をいただけるタイミングだったことも大きい。

【財源内訳】循環型社会形成推進交付金 約29億円、震災復興特別交付税 約55億円、合併特例債 約11億円、一般補助施設整備事業債 約3億円、一般財源 約6300万円 合計工事費 約99億円

桜井
桜井

プラごみの処理方法は。

登米市CC
登米市CC

容器包装ごみは令和4年度から、製品プラも令和6年度から分別収集を開始している。

桜井
桜井

クリーンセンターと最終処分場の土地の所有者は。

登米市CC
登米市CC

元々市有地だった。

2日目 大崎広域中央クリーンセンター(宮城県大崎市・大崎地域広域行政事務組合)

施設の概要

老朽化が著しかった圏域内3か所の焼却施設を統合、令和4年4月に供用開始となった。旧施設の隣接地に建設、隣には江合川が流れており、建物に浸水対策を講じている。工業団地の一角にあり、隣にはリサイクルセンターとし尿処理施設がある。

焼却施設の処理能力は日量140トン。処理方式はストーカ式だが、逆傾斜ストーカという三菱独自の珍しい方式で、ごみが重力落下(手前に戻る)ことで撹拌され、燃えやすくなる。エネルギー利用として発電をして場内及び隣接施設で利用している。また、温水を職員用風呂に利用しているが、ユニットバスを10基整備しており、災害時には避難者が利用することを想定している。さらに温水を場外で利用できるよう、敷地の端まで配管されている(まだ利用はされていない)。

旧センターのときに駐車場が水没した経験から、新施設では施設全体を70cm嵩上げした上で、プラットホームはさらに2.5m嵩上げした。また1階で入口には防潮板が設置されており、浸水を防ぐ仕組みになっている。なお、これらの対策は50年に一度規模の浸水を想定したもので、減災を目的としている(あらゆる災害を完全に防ぐことはできないという発想)。※浸水ナビで調べたところ、想定最大規模でも最大浸水深は2メートル未満だった。

建設費は約130億円で解体費用(約8億円)を含んでいる。DBO方式で建設から運転管理までを一括して発注している。20年間の運転業務委託料は約81億円。受注者は三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社東北支社を代表としたJV。

施設面積は13,431.43㎡とかなり狭く感じるが、焼却施設単体で整備したため調整池を造る必要がなかったためである。粗大ごみ処理施設であるリサイクルセンターは道を隔てて隣接しており、電力を供給している。

見学ゾーンはかなり広く確保されており、展示も充実している。

質疑応答

桜井
桜井

圏域が非常に広い(1市4町で1,523.95㎢、埼玉中部環境保全組合は110.93㎢)が、ごみ収集車の積み替えは行っているか。

職員
職員

可燃ごみについて、積み替えは行っていない。遠いところだと50km程あるが、直接搬入している。

川崎議員
川崎議員

地元住民との調整における課題は。

職員
職員

旧施設運営時に地元に対する還元がなかったというお叱りをいただいていたため、新施設整備時には整備前から約束事を決めることにした。道路の拡幅や排水路等の整備は大崎市が実施する。初めに一定の理解を得ていたので、その後は安定している。また、国土交通省の事業であるかわまちづくり事業にエントリーして「江合川かわまちづくり協議会」を設置し、桜ノ目地区の環境整備について協議を行っている。